メディアグランプリ

5年間働いた会社で学んだ「いいひと」の定義。

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記事:横山玖未子(ライティングゼミ・4月コース)
 
 
わたしは、この春新卒から5年間お世話になった会社を辞めた。
理由は、ひとことで言えるものではないので、今回は、わたしが5年間で出会った「いいひと」について語ろうと思う。
 
わたしが5年前の春、ドキドキしながら門をたたいたのは、”ソーシャルビジネスしかやらない会社“ボーダレス・ジャパンだ。社会問題をビジネスで解決するという目標で、国内外問わず、現在40以上の事業が立ち上がっているベンチャー集団の会社である。
 
そして、みんな何かしら社会問題解決に関心があり、良いことをしようと志しているのでみんな「いいひと」なのである。手前味噌ながら、みんな誰かに会社を紹介するときに、社内のひとのことを「いいひとだ」と説明するくらいだ。
 
ところで「いいひと」とはどんな人なのだろう?
 
都合の「いいひと」
なんでも請け負ってくれるひと
いつも味方でいてくれるひと
 
そのひとによって、きっと定義は異なるし、わたし自身ずっと考えてきた難問だ。
わたしは、5年たって振り返ったとき、この難問の答えをやっと見つけられた。
 
働いているときに、びっくりしたことは、困っているひとがいたら、助ける文化だったこと。
誰かが困っていたり、悲しんでいたら、本人以上に周りが、当事者のことを大切に扱ってくれるのだ。
 
どんなに仕事が立て込んだ状況でも、風邪をひいたら、すぐに帰らせる。
こどもが熱をだしたら、親はすぐに帰りなよ! と半ば強制的に帰宅させる。
 
どんな職場でも、きっと同じだ。と思われるかもしれないが、その空気感が異常に暖かい。帰りなさい!といくら言われても、自分が帰ったら、いま持っている急ぎの仕事はどうなる? という不安を、びっくりするほど鮮やかに拭い去ってくれる。そんな協力体制が、チーム全体で感じられた。
 
新卒1年目のとき、わたしは歓送迎会の幹事担当だった。
同期は1人だけで、店舗勤務だったため、オフィス勤務のわたしが必然的に、準備を請け負うことが多かった。そして肌寒くなり、もうすぐ12月となるころ、幹事担当のわたしにとっての一大イベント「忘年会」の季節がやってきた。
 
当時わたしは、毎日オフィスを駆け回り、気付いたら17時……。という日々を過ごしていたので、忘年会が近づいてくるにも関わらず、何も手をつけられていなかった。しかも毎年恒例の忘年会は、大人もこどもも参加の100人以上の大規模パーティー! オフィスで開催するのだが、大変なのが、食事の用意だった。
 
当時オフィス近くのケータリング業者もなく、Uber Eatsなんで便利なものは存在しない。100人近くの食糧を手に入れるには、コストコが毎年恒例だったのだが、コストコはオフィスから車で数十分かかる距離にあり、当日早退して、買いだしにいく必要があった。
 
忘年会の食事を用意するというミッションには、多くの壁が立ちはだかった。まず車が必要だが、わたし免許をもっていない。そしてコストコのカードも持っていない。さらに、日頃の仕事状況から、早退して買い出しに行くなんで、まったく予想できないほど日々ナニカに追われていた。
 
なのでわたしが、このミッションを達成するには、まず車の免許を持っている方に依頼をし、レンタカーを借り、コストコのカードを手に入れなければならなかった。お願い相手は、先輩しかいなかった。小心者のわたしは、自分以上に忙しく仕事をしている先輩に、車を出して欲しいなんて言えるはずも、度胸もなかった。
 
誰に相談しよう……。と悩んでいる間に、忘年会は近づいてくる。どうしよう。でもどうしようもない……。
そんなある日、仕事中に他事業部の先輩が声をかけてくれた。今まであまり話したことがない、正社員のママさんで、新卒で独身のわたしよりも、きっと何倍も忙しい方だ。
 
なんだろう? と思ったら、なんと忘年会の買い出しを手伝ってくれるという内容だった。
わたしは、とってもびっくりした。
きっと目がまんまるになっていたと思う。
 
そして驚くべきことに、まったく違うタイミングで、別のママさんからも買い出しに行くよ。と提案の声をいただいたのだ。
「えええええええ! なんで!? 今までほとんど話したこともなかったのに。」
 
当時の率直な感想だった。
「ありがとうございます!!」と全力で感謝を述べ、大変恐れ多くも買い出しをお願いできることになった。
 
仕事と家事を両立していて、わたしよりも絶対に忙しいママさん。
何度もお礼を述べると、「全然いいよぉ!」とカラっとした笑顔で言ってくれたあとに「だって一人じゃ大変でしょう?」という一言。
 
なんだか今思い出しても泣けてくる。当時も、わたしは泣きそうだった。そのとき、ここのひとたちは、「自分以外のひとにも寄り添い、思いを馳せられるひとなんだ」と強く感じた。
 
優しさとか、いいひとだとか、10人いれば十通りの解釈があると思う。
このあとも4年以上この会社に勤めたわたしだが、胸の奥がきゅーっと締まって、泣きそうになるほどの優しさを思い出すときは、いつも誰かが当事者以上に、そのひとに寄り添い、自分にできる行動に移していたときだった。
 
そんな優しさに包まれた5年間を過ごしたからこそ、周りのひとに寄り添う気持ちを忘れないでいようと思う。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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