メディアグランプリ

知識よりも意識!


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:kenken(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「普段は勉強させていただきます、って言っているクセに何も学んでないんですね笑」
 
会社の先輩からチャットが送られてくる。
アドバイスを求めたらこんなチャットが返ってきた。
質問しない、わかったフリ知ったフリをする、人の話を理解しようとしない、そんな私に対する軽蔑がチャットから滲み出る。
仕事のできない無能に対する軽蔑。
けれども私は言い返せない。
なぜなら先輩は、何社も渡り歩いてきて、エンジニアのスキルとマーケーターのスキルを併せ持ち、ウチの会社でバリバリ活躍している人だから。
今の部署に2年もいてろくに仕事ができない私とは天と地ほどの差がある。
 
先輩曰く、知っている、わかる、できる、この3段階で人は成長するらしい。
知っているだけ、わかったつもりになっていて、なぜ自分でできるようにならないのか?
当事者意識がないから。
 
「自分事化していない」
「誰かがやってくれるから、それに甘んじている」
 
先輩の音葉がナイフのように私の喉元に突き出された。
当てはまる。
色んなことが当てはまる。
子供の頃から「自分がいなくても世の中は回る。むしろいない方が上手くいく」 なんて考えて、自分が怠ける言い訳を正当化してきた私だ。
当事者意識のかけらもなかった。
イベントとか飲み会とかの企画は、いつも他人任せで自分から企画しなかった。
いつも誰かがやってくれるだろうと思って、何事も自分から動こうとしない。
その割に知識を得ることだけは人一倍好きだった。
本を読んだり、ネットサーフィンしたりして、いわゆる「意識高い系」 の情報ばかり集めて悦に浸っていた。
有名人の言葉、自己啓発、そんな知識ばかり集めるから、頭でっかちになっていた。
誰かに質問されて初めて、自分の頭の中にある知識がお披露目されて、自分がすごいんだと悦に浸るけれども、実のところ何も役に立ってなくて、自分から知識を活用することもなかった。
さらにいえば、私ごときが知っている知識など、実は周りの人たちも知っているものだったりして、むしろ周りの人の方が私よりも深く理解して実践していたりする。
だから私は知ったかぶりをするのだ。
自分もこんなに知っているんだぞ、と見せつけるため。
しょうもない自尊心を守ため。
知らない、わからないことを素直にいえない、というか見つけられない。
 
仕事ができなくて会社の人たちから距離を置かれた。
そんな時、先輩から言い渡された軽蔑の言葉。
これを読め、と渡された1冊の本。
無知の科学。
「おまえが知っていることなんて、世の中のほんのちょっとのことなんだぞ」
「世の中、知っていることよりも知らないことの方が多いんだぞ」
「全部は無理だけれども自分のこととして考えるんだぞ」
そんな先輩のメッセージが込められていた本だった。
 
ああ、そうか。
自分のこととして考えていなかったのか。
もっともっと色んなことを知らないといけないのか。
大人になった今になって、こんな当たり前のことに気がついた。
 
その日以来、仕事への取り組み方が変わったのかもしれない。
前よりもわからないことを質問するようになった。
恥ずかしくても、できない自分、わからない自分を曝け出した。
時には陰口を言われた。
バカにされた。
けれどもやめなかった。
仕事の依頼が舞い込んだら、自分から動くようになった。
勝手に動くんじゃない、とたびたび叱られたけれども、叱られるたびにどこまでなら自分で動いていいのか、線引きが考えられるようになってきた。
自分から会議で発言するようになった。
わからない単語は自分で調べノートにまとめるようになった。
意識が変われば知識は勝手についてくる。
知識があっても意識がなければ、知識は何も活用されない。
周りからすれば当たり前のことかもしれないけれども、当事者意識のなかった私にとっては大きな変化だった。
 
「最近、変わったな。当事者意識が出てきたな」
 
面談の時、上司にこんなことを言われた。
見ている人は見ているんだな。
嬉しかったと同時に気持ちが引き締まった。
なぜか?
 
「人は、無視、賞賛、非難の順番に評価される」
プロ野球で活躍された、故野村克也氏の言葉だ。
つまり褒められているうちは二流三流なのだ。
褒められたからといってやめてはだめだ。
非難されるまで続けないと。
また元の自分に戻ってしまう。
当事者意識のない自分に。
 
「俺がゴルフをやっている理由は出世するため」
「いまだに接待でゴルフやっているところ多いから」
 
「kenkenさん、キックボクシングやってますけど、大会とかでないいんですか?」
「私ゴルフやっていて、次にプレーする時の目標を決めておいて、それに向かって練習するのが楽しいんです」
 
ゴルフを楽しむ会社の同僚たちからこんな言葉を聞いてピンときた。
そうか! 目的か! 目標か!
知識はあくまで手段。
なんのためにそれをやるのか?
目的が私の中になかったのだ。
私の中にぽっかり穴が空いた状態で色んながむしゃらに頑張っても、頑張って覚えたことが吸収されずに穴から落ちてしまう。
目標がないから、何をどう頑張れがいいかがわからず、ただがむしゃらに頑張ってしまう。
知識だのスキルだの言っている前に、ここが自分に足りないものか!
 
「目標があると目標を達成するためにどうしらいいか自分で考えるじゃないですか。それが楽しいんです」
 
ゴルフをやってる同僚たちは仕事ができる人たちだった。
仕事でも目的を考えて、目標を定めているから上手くいくのだ。
ひたすらにがむしゃらにやっている自分とは大きな違いだ。
今後は仕事の目的を考えよう。
自分がやることは何のためにやるのか、はっきりさせよう。
目標を定めよう。
目に見える数字で成果がわかるようにしよう。
そうすれば、もっともっと当事者意識が芽生えて、仕事ができるようになると思う。
 
知識よりも意識。
私は知識ばかりを求めて悦に浸り、知ったかぶりになっていた。
けれども違う。
当事者意識があれば、目的意識があれば、目標があれば、勝手に知識が入ってくるのだ。
自分が生きるために本当に必要な知識が。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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