メディアグランプリ

出会いのかたちと嘘とホント


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:九條心華(ライティング・ゼミNEO)
 
 
そもそも期待していなかった。マッチングアプリというものに。
そんなので、いい人に出会えるの?
 
友だちから散々勧められてもしなかった。いい出会いがあるとは思えない。
 
先月、ボイストレーニングの合宿で、たまたま同室になった美人の先輩が、会社を寿退社して、パートナーと一緒に海外に行くという。
素敵。
先輩は、ちやほやされて生きていた女性で、モテるから異性に困らない。そんな方が人生をともにしようと思うパートナーとどうやって知り合ったのか? 尋ねてみたら、
「あ、アプリ」
え! びっくりした。
 
まず、先輩はアプリをする必要がなさそうだし、出会いはどこにでも転がってそうだから、どうしてアプリを始めたんですか? と質問した。
きっかけは仕事だったという。恋愛目的でなく出会った人と気が合ったのだ。
「へー。お相手の方から、好意をもたれてですか?」
「どっちだろ、忘れちゃった」
そんなものなのか。
 
その先輩がパートナーと出逢ったアプリは、Dineというアプリで、レストランと提携していて、まずは食事をすることが前提らしい。最初にレストランの予約から始めるから、ごちそうしてもらえるから、女子には勧めると言われた。おいしいものごちそうしてもらえるのなら、やる! (色気より食い気!?)先輩に教えてもらいながら、その場で登録した。
行きたいレストランを登録する。わー楽しい。(ただ食べたいだけかも)行ってみたい高級レストランを片っ端から登録したら、「マッチング可能性が下がります」と出た。値段設定が安いお店と高いお店を組み合わせて登録しておくと、高いレストランでリクエストこなくても、安いお店でリクエストがくるそうだ。
なるほど。
そんなわけで、マッチングアプリを始めた。
 
最初は全然しくみがわからなくて、前から他の人から勧められていた東カレのアプリにも登録して、アプリ慣れしようと思った。東カレは、東京カレンダーのマッチングアプリで、東カレロマンスというのが、大人世代の審査制マッチングアプリだ。東カレデートというアプリが先にあって、こちらは高収入の男性が若い女性と出会うためのアプリになっている。東カレデートは、男性に年収条件があって、20代500万円以上、30代750万円以上だけれど、東カレロマンスにはないらしい。それでも、料金がほかのアプリよりも高いので、自然とハイスペックの男性が多い。
東カレには両方入会審査があって、既存の異性会員による審査と、運営側の最終審査がある。第一印象でOKか×かを判定されてしまうので、奇跡の1枚を用意して審査にのぞむといいらしい。
とにかく、大人世代の上質な出会いをとうたっている東カレロマンスに登録した。
 
いかにもあやしい人もいる。でもまあ、嫌でなければ、いいねしていたら、マッチングして
最初のメッセージで、新宿で待ち合わせてお寿司を食べに行きませんかとのお誘いだった。
いきなりのメッセージで、簡潔に、ペペの1階のエスカレーターの前で待ち合わせしましょうと決められている。何度もやりとりするのが面倒だから、もうこのお誘いメッセージをみんなに送っているんだろうなと思ったら、本当にそうだった。というのは、友だちにもアプリを勧めて、彼女も同じように始めた。もう1人の前からアプリをしている友だち3人と会って話したら、新宿のお寿司屋さんというだけで、「あ、ゲンさんでしょ」と一致した。
やっぱり。でも、興味深い。何者だ。ギラギラしている写真で、高級腕時計を写真に載せていて、北海道出身、経営者で年収4,000~5,000万円、175cmというプロフィールだった。怖いもの見たさで、その誘いに乗ってみた。
 
 
まず、最初の待ち合わせからおかしかった。私は3分遅刻した。遅刻しますとメッセージをしたら、ゆっくりきてくださいと返事があった。それで、待ち合わせ場所に向かうと、47歳らしき金髪の男性が立っていて、「申し訳ないです、今日は仕事が入って、行けなくなりました。日をあらためて会いたいので、連絡先交換してください」と言う。え? それなら、メッセージでそう伝えてくれればいいのに。
わかりましたと言って、帰った。いや、帰ろうと2分ぐらい歩いていたら、追っかけてきて、「スミマセン! 仕事キャンセルしたので、行けるようになりましたから行きましょう」と言う。変だなと思いながら、とりあえず同行する。向かった先は西武新宿駅近くのお寿司屋さん。それが、回るお寿司屋さんだ。え? わざと高級寿司と誤解させるようにメッセージしているのだ。別に回転寿司もいいんだけれど、へー、こういうふうに誘うんだーと思った。知り合いのお店でね、と説明された。
座ってすぐ、100円ショップの札つき保冷バッグを渡されて、これ料理をつくってきたから食べてと言う。
???
クエスチョンマークがたくさん飛んだ。どういうこと? 中を確認すると、100円ショップのシールの貼った容器が真空パックになっている。タケノコを料理したのだという。ふーん。
これって、さっき私が帰っていたら、どうしたの? と思った。本当に渡すつもりだったら、最初に会った瞬間に渡すよね。全然辻褄が合わない。
 
私は好きなお寿司をいただいて、ひとしきり彼の話を聞いた。いろんな仕事をしているらしい。ますます怪しい。中学1年で同級生を妊娠させた話をしていた。さらに怪しい。
 
とにかく、その回転寿司屋さんの会計はしてくれて、ごちそうになった。その後、帰るつもりで歩いていたら、タクシーを呼び止めていた。駅まで少しあるから、タクシーなんだろうと思ったら、社交ダンスしにいかないかと言う。ダンス? 全然得意じゃないけど。1万円だけ払ってねと言われた。着いた場所は、ホストクラブだった。ホストクラブに初めて入った。きらびやかなホール、キラキラ光るシャンデリア、中央に黒くて大きなライオンの像がそびえ立っている。いかにもな場所だ。
 
ソファーを案内されて、関西弁のお兄さんと若い男性とゲンさんに囲まれて座った。私が何をしても、大袈裟に褒めておだてる。へー、全然嬉しくないや。褒められて嬉しくないってこともあるんだな。あ、そっか、気持ちで褒めているのではなくて、お金で褒めているからか。嘘っぽい。話もつまらない。ホストの人って、どんなに話上手なんだろうかと想像していたけれど、全然おもしろくなかった。実りがない。意味のない会話を2時間していた。きっと、私がこういう場所と気が合わないだけだろう。
 
ゲンさんは、駅までタクシーで送ってくれて、ついてきてねと言った。どこに?
 
翌日、アプリをしている友だちに会って、ゲンさんに会った報告をしたら、笑われて、2人で納得した。ホストやホステスさんが、お客さんを出会い系アプリで見つけるのね。ゲンさんは私のアプリからすぐ消えた。
 
本気の出会いを見つけるのは、なかなか難しいものだ。
天狼院書店のブックラブ/恋愛目的読書会に行こうかな。出会い系アプリに勝ちます!! という言葉を信じて。
 
 
 
 
***
 
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2022-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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