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貧乏で携帯とWi-fiが止められた私の三日間金策バトル


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:青梅博子(ライティングライブ東京会場)
 
 
使用料金が払えず、携帯とWi-fiを止められた。
ネット環境を失うと、生活にすさまじく支障が生じる。
とくにインターネットのやりとりで生計をたてていると「てきめん」だ。
メールの受信ができないから仕事の依頼が来ても分からない。できた仕事をクライアントに送れない。電話がうけられない、かけられない。
……情報のやりとりが一切できない。
都心で暮らしているのに、絶海の孤島に居るようだ。一人暮らしなので余計に孤立感は増す。なくなって初めてわかる不便さに、しばしの間、途方に暮れた。
 
3月末で仕事を辞めて、あまり計画性なくフリーランスとなった。
そこそこ大きな仕事を終えて、翌月振り込みがあると安心し、呑気に業務を続けていたとき、突然ネットが使えなくなった。
「あれ? 」と思い、調べようとすると携帯も通じていない。嫌な予感がして、面倒で確認していなかった携帯契約会社からのメールをみると、
「口座から引き落としできませんでしたので、25360円を指定口座にお振込みください。お振込みがなかった場合、携帯とwi-fiの停止手続きをいたします」
とある。
えっ、ちょっ、まった。先月した仕事の振込が入っているから、引き落としできるはずだよと、慌てて銀行口座を確認してみたら、なんとすっからかん。
あれ? と、新しく仕事をいただいた企業様との契約書を確認したら、なんと「末締め翌翌月払い」の文字が。
しまったああああ、勘違いだ! 「翌月」だと思い込んでいた! 「翌々月」だから、振込は来月で、別の企業からの振込が10日後に入るまで口座の残金はゼロだ!!
ずぼらに生きているので、定期的にこのような事態が発生するが、携帯は初めてだ。
手っ取り早い方法は「借金」だが、死んだ親から「たとえ近親からでも、お金は借りてはいけません、あらゆる争議のもととなります」と言われており、できればやりたくない。
30秒悩んだ結果、即金で報酬をもらえるバイトを探すことにした。
しかし、バイトの申込にも検索にも、ネット環境が要る。
フリーWi-Fiを使うしか手はないので、近くのコーヒーチェーンに行き、一番安いコーヒーを頼んで必死で検索したところ、丁度いいバイト斡旋サイトが見つかった。
「登録さえすれば、即日申し込めて、仕事が終わると即金で振り込まれる」今の私のためにあるような神サイトだった。
即座に登録を済ませ、バイト会社から登録確認の返信が来るまで、コーヒー1杯で3時間居座った。家では返信の確認ができないし、2杯目のコーヒー代はもうないのだ。
早速、募集案件を探してみると、家からそう遠くない場所で、本日の夜中、宅配業者の倉庫バイトがみつかった。夜23時から翌朝6時まで働いて8600円だ。こんなことがなければ、この種のバイトすることもなかったので、興味津々で現場に向かった。
着いた場所は、飛行場近くの巨大物流センターだった。
飛行機から降ろされた荷が、身長の二倍くらいの高さがある車輪付きボックスに、パンパンに積まれて運ばれてくるので、それを1個ずつ、バーコードを読み取りやすいように上に向け、ベルトコンベアーに乗っけていくのが今日の仕事だ。
全長1070メートルのコンベアの上を、時速9.7キロとランニングくらいの速さで荷物が流れていく。女子だからって仕事に容赦はない。ボックスから引きずり下ろした荷物はどんどん投げる。次から次へと来るので、上品に下ろしていると間に合わないのだ。スイカと生花と小さい荷物以外はどんどこ投げる。(スイカはだめで他の果実は良いのが謎だったが、おそらくスイカは投げるとすぐに割れるからだろう)
パソコン、水などが超重いが、躊躇していると「遅いぞ」と注意される。
腕の内側が重い荷物を受け止めて青黒い内出血だらけになり、床に汗の水たまりができ、軍手が擦り切れるころ夜明けがきた。
一緒に働いている人はみんな親切で環境の良い職場だったが、腰が痛み、酷い筋肉痛で手があがらなくなった。土砂降りの雨の中、身体を引きずるように帰宅した。
仮眠をとって、昼からおでん屋のホールバイトに入った。ホールバイトも生まれて初めてだ。身体がギシギシ痛むが、必死でメニューを暗記して笑顔で対応した。2時間で2600円。有難い。
一日おいて翌夜。もう物流センターは身体がもたないと思い、弁当盛付のバイトをすることにした。夜0時30分から、翌朝8時30分までで約1万円である。調理現場経験2年以上の人限定で、さらに夜間手当がつくので報酬が良い。
調理経験を持っている自分に感謝しながら、終電で目的地に向かい、500個の弁当盛り作業にとりかかる。前職でおせちを盛り慣れているので仕事の勝手はわかる。初対面のバイト仲間たちも気さくで有能で、雇い主さんもおおらかで親切な方だったので、このよい雰囲気を壊さないように、みんなの足をひっぱらないようにと必死になって働いた。普段の100倍くらい気を使ったと思う。
そして訪れたまばゆい朝。10000円が無事に振り込まれた。
手持ちと合わせて、満額達成したので、早速銀行から携帯契約会社に振込み、3時間後に我が家のネット環境は無事「再開通」した。
ピロンと音を立てて、仕事の依頼メールが届く。社会とのつながりが復活し、スマホがスマホとして稼働している。
涙が出そうだ。コーヒー店の外壁に張り付いて、フリーWi-Fiのおこぼれで仕事の進捗確認メールのチェックをしたり、夜中にこっそりノートパソコンを抱えて店の前にしゃがみこみ、慌ててデータ送信したりすることも、もうしなくていいのだ。
これしきのことで、こんなに生活に支障が出るのだから、世界中のネットが全停止したなら、都市部は大混乱になるだろう。今の仕事と別途で、ネットがなくても生きられる手段を確保しておくようにしとかないとなあ。私は脳の片隅で小さく決意した。
 
行きつけの飲み屋で、この顛末を話したら「うちでバイトしたらよかったのに、先払いしてあげたよ」と言われて、まず周りの人に報連相も大事だったなと、知見を深めた次第である。
ずぼらな家計状態をばらすのが恥ずかしくて、此度は誰にも言わず解決したのだが、少額のことだったので、バイトも金策に知恵をしぼるのも、実はけっこう楽しかったのだった。

 
 
 
 
***
 
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