メディアグランプリ

地球上の人間は「麺類」のタイプで分類できるけれど


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大橋秀喜(ライティング・ゼミ 10月コース)
 
 
私はパスタやそばになれなかった「うどん人間」だ。「パスタ」君のようにどんな人とでも仲良くなることはできず、しかしオシャレな「そば」さんのように洗練されてはない「うどん」。人間も麺も、ほとんど「同じような材料」でできているけれど、交友関係や性格などの視点で比べると、人間は「麺類」のタイプで分類できる。とはいえ毎日パスタを食べていたら飽きるように、麺類にも、人間の属性にも「勝ち負け」はないのだ。
 
パスタ人間は、「誰とでもすぐに仲良くなることができる人」だ。いわゆる「コミュ力」がある「陽キャ」。トマトソースやチーズ、豚肉や魚、野菜などと一緒になれば、即座に素晴らしいハーモニーを奏でることができる。トマトと絡めばナポリタン、濃厚なクリームに包まれればカルボナーラ、ニンニクの香りをまとえばペペロンチーノ! 自身の存在も主張しつつ、相手の素材の「味」を大切にできる人。だから集団で何かをする時に「とりあえずパスタ君を呼ぼう」と言われて、誰からも信頼されている。会社の飲み会や会議、大学や就活のグループワークなんかでもコミュ力を発揮する。とんとん拍子で出世していくタイプだ。
 
羨ましい! 私は、こういうパスタ人間が会社の良いポジションに就いていくのを何度も見てきた。一方でうどん人間な私が、唯一仲良くできるのは、昔から付き合いが長い「めんつゆ」君と、ちょっと背伸びして「カレーソース」ちゃんくらい。特定のタイプの人としか仲良くできなかった。私は高校時代ずっと独りで弁当を食べていたくらい内気だったから、誰とでも仲良くなれて何にでも染まる「パスタ」のポテンシャルに、嫉妬でイラついてしまう。こういうパスタ人間はきっと友人とパーティーをして、おしゃれなキッチンでパスタを茹でる。悔しい。私はうどんを踏めるスペースもない狭い部屋に独りで住み、うどんを踏むように踏ん張って生きているのに。
 
とはいえ、都会のお店の「そば」みたいに「なんとなく洗練された雰囲気」を持つこともできない! 「そば人間」は「自分の努力でオシャレな自分」を手に入れた人。というのも、歴史を振り返れば、そばは江戸の「ファストフード」だったから。現代でいえば牛丼のようなポジション。そんなそばが、時代に合わせて「高級路線」に進んでみたところ、都心部にはびっくりするほど美味しくて、びっくりするほどお値段の高いそば屋が増えてきて、人気を集めている(もちろん、そうでないそば屋もたくさんあるけれど)。
 
都会で生きる、そんなオシャレな「そば」さんは輝いている。地方部のスーパーなどでは、そばは1袋何十円で売っているのに、自分の努力で上京して、おしゃれして、覚えたてのファッションに身を包んで。そして「柚子胡椒」とか、「ラー油」とか「一流の薬味」なんかをアクセサリーのようにまとえば、あっという間に値段は爆上がり。私は、思わずこう漏らす。「あの頃のアンタは、どこに行ったんだーーー」。自分のセンスを身につけて、みるみるおしゃれになるそば人間が、羨ましい。そして、そばさんは30代になると、趣味の陶芸教室で作った手作りのお皿にそばをのせて「丁寧な暮らし」を実践する。
 
もちろん「うどん人間」にも良いところはたくさんある。派手だったり、すごくおしゃれではないけれど、何よりも親しみやすい。腹持ちがいいので、「安心感」がある。風邪をひいた時にも、恋しくなる存在だ。
 
 
さて、皆さんは自分を麺類にたとえると、どの麺になると思いますか?
そしてどの麺になることが、一番良いと思いますか?
 
 
パスタでしょうか? でも、毎日パスタを食べていたらいつか飽きますよね。うどんばかりすすっていたら、何だかそばが食べたくなりますね。やっぱり、熱々のラーメンも食べたいし、暑い夏にはそうめんがないと生きられないーーー。だから、地球上の人間たちも麺も、どの麺が一番かなんて「勝ち負け」を決めることはできない。
 
 
でも、白状したい。私はパスタ君になろうとして、学生時代は頑張って明るいキャラを装ってみたり、そばみたいに背伸びしたオシャレをした時期もあった。そんな努力をしても、どうあがいても「うどんっぽさ」はぬぐえない。しかしそれは恥ずべきことというよりも、自分が誇るべき「個性」かもと思う。20代半ばになれば、諦めと共にそんな「うどん」を受け入れつつある。派手な交友関係やおしゃれなセンスは手に入らなかったけれど、長く続いている友人たちの「つゆ」とは相性がよく、時々飽きるが和食らしく心地よい関係になってきたと思う。
 
皆さんは、自分の「麺」を受け入れることができていますか?
 
 
私はうどんな自分を受け入れて生きていますーーーなんてかっこいい言葉を言いたいところだけれど、私も本心としては、「地球上の人間、みんなうどんになっちゃえばいいのに」と思っている。そして私が「うどん界でもっともスマートなうどん」になって、チヤホヤされてみたい。ただ、多種多様な人間がいる地球上でそんなことは無理なのだから、やはり自分自身が持つ個性という「味わい」を、いつか誇りに思えるようになりたい。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2022-10-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事