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なんかもう無理に痩せようとしなくていいかなーと思えてきた。


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記事:櫻井 るみ(ライティング・ゼミ)

「るみちゃん、また太った?」

大学を卒業した辺りから、顔を合わせるたびに実家の家族にそう言われ続けた。
太っていても、太っていなくても、である。

あの人達の脳内には部活をやっていた高校生までの私の姿しかインプットされてないらしく、結局のところ、実際に体重が増えてようが減ってようが、高校時代の体型でなければあまねく「太っている」呼ばわりである。

学生時代に運動部、それも体育会系の割りと厳しい部活をやっていた人なら分かると思う。

運動部の食欲は半端ない。
そして、部活を辞めた元・運動部の悲劇はそこにある。

中学・高校時代は良く食べた。
「成長期」の名のもとに食べたものは全て血となり肉となり身体となり、なおかつありあまるエネルギーは「部活」で発散させ、足りなくなればエネルギー補給とばかりにまた食べる……。
それの繰り返しだった。
しかし、それでも、どれだけ食べても太らなかった。
好循環すぎるくらい好循環だった。

だけれども、いつまでもその好循環が続くことはない。

時が経てば、自然と運動をする機会は減ってくる。
その最初の一歩が「部活の引退」だろう。

社会人になっても実業団に入ったりプロになったりする人はほんのごく一部で、ほとんどの人は高校受験か大学受験か就職活動か……、何らかの節目を迎える前に部活を辞める。

「受験勉強」や「就職試験」に頭を切り替えるのだ。

でも、頭は切り替わっても、身体はそんなにすぐには切り替わらない。
特に、胃袋は……。

部活を辞めても、胃袋の大きさは部活をやっていた頃のままなのだ。

なので、たいして運動をしていないのにも関わらず、お腹が空く。
そして大量に食べることができちゃうんだな、これが。

そうなるとあっという間に体重増加への道が出来上がる。
今まで、『運動量>食事量』だったのが、『運動量<食事量』になるのだから、それは当然。
『どんだけ食べても太らない』神話はもろくも崩れ去る。

私がそれに最初の危機感を覚えたのは20歳くらいのことだった。
元々が細くて筋肉質だったので、太ったといっても多分、標準的な体型だったと思う。
それでも、20歳のうら若き乙女にとって「太る」ということは由々しき問題だった。
実際の数字やスタイルよりも「太る」ということが大罪だったのだ。

が、そこに一条の希望の光が差し込んだ。

当時入っていた、社会人サークルの先輩の言葉である。
「24,5歳くらいになれば、自然に体重が落ちて、女性らしい身体つきになるから、今そんなに悩まなくても大丈夫だよ」
小柄で華奢だった先輩はそう言っていた。

単純な私は、『そっかー。後4,5年すれば、自然に痩せるのかー』と、その言葉をそのまま信じた。

そして、迎えた25歳くらいの頃。
私は自分史上MAXに太っていた。
先輩の言葉が嘘だったとは思わない。私の食欲が自然の摂理を上回っていたのだと思う。
思えば、子供の頃からお肉が大好きで野菜嫌い。
一人暮らしで食生活もひどかった。
太るべくして太ったようなものだと思う。

本格的にそれをどうにかしようと思ったのは27歳の時だった。
一念発起してスポーツジムに通い始めた。
結婚式までに体重を落としたかったのだ。

そしてここから今日に至るまでの長い長いダイエット生活が始まる……。

結局、結婚式には間に合わなかった。
パンパンの顔とパンパンの腕で、ウェディングドレスを着て笑っている私の写真は、まあそれはそれで可愛いと思うことにした。
間に合わなかったことに関しては、もうどうしようもない。
綺麗なドレス着て、綺麗にメイクしてもらったんだから、それだけでも良しとする。

結婚式には間に合わなかったけれど、スポーツジムが楽しくなってきたのでそのまま通い続けた。
運動するのは好きだったし、友達も出来たので足繁く通った。
一番通っていた時期で週6日も通っていた。
この頃は『運動量>食事量』だったので、次第に痩せていった。

だけれども、ある一定のところまでくると、体重は減らなくなった。
運動だけで痩せるにはそこが限界だと、トレーナーさんに言われた。

それでも、食事の量を減らしたくなかった私は、ジム通いだけで何とかしようとした。

その後、とある理由からジムを辞め、次に興味を持った合気道を始めた。
ダイエット目的というわけではなかったけれども、ジムの代わりになれば……とは思っていた。

しかし残念ながら、そういう意味で言うなら、全然ダメだった。

それまで何もしていない人ならばダイエットになっただろうけれども、私の場合はそれまでの運動量の方が圧倒的に多かったのだ。

私の体重は、またしてもみるみるうちに増えていった。

そうしてまた、スポーツジムに戻っていった。
が、今度は以前ほどの体力がない。
週6日も通っていたなんて遠い昔のことで、その頃には週3日通えればいい方だった。
仲の良かった友達や懇意にしていたスタッフさんやインストラクターの先生がいなくなっていたのも大きかった。
要するに久しぶりに戻ったジムは、つまらなくなっていたのだ。

ここにきてようやく私は、食事によるダイエットをしようと決意した。

3ヶ月間、プロに見てもらい、食事制限やファスティング、食に対する考え方や脳科学的なことも学んだ。
これは上手くいき、最初の1ヶ月で5kg痩せ、その後も緩やかに体重が減っていき、終わることには-7kgのダイエットとなった。

これが、2年前の話。

そして今、私の体重は……。

少なくとも2年前のダイエットを終えたときよりも増加しているのは確かだ。
いわゆるリバウンド。
緩やかに痩せた分、緩やかに戻った。
ここ半年ほどの食生活がとてもひどかったものであることは否めないけど。

長い長いダイエット生活で分かってきたことがある。

痩せるのは意外と簡単だということ。
本当に難しいのは痩せた身体を維持することだ。

今流行っている、コミットする某スポーツジムで頑張れば、短期間に痩せることはできると思う。
だけれども、痩せたからと言って、そこで辞めてしまったらまた短期間で元に戻るだろう。
その体型を維持するには、自分でコントロールするしかないのだ。

だけど、私は最近思う。
なんかもう無理に痩せようとしなくていいかなーと。
2年前のダイエットの時、先生が教えてくれたことがあった。
ダイエットでいちばん良くないことは『ストレスをためること』と『罪悪感を持つこと』だと。
ストレスを溜めて、ドカ食いして、食べてしまったことに罪悪感を持つことが悪循環になってしまうらしい。

ならばいっそ開き直って、好きなだけ食べて食べて、『もう飽きた。しばらくいらない。もう充分』って思うまで食べ尽くしちゃえば、案外痩せるのかも。

もしくは、自分を『ポチャ可愛い』として、ニッチな需要をついていけばいいか。

 

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2016-10-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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