煮詰まったらサウナに行け
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:三浦みち(ライティング・ゼミ2月コース)
脳の新陳代謝が高まれば、あらゆる悩みは解決する、というのが私の持論だ。
数年前、私はとある書籍の執筆を手伝っていた。所属していたNPO団体が行っていた講座の内容を書籍として書き起こし、講座のテキストとして活用しようというアイデアがあがったのだ。私はその執筆担当の一人となった。すでにある講座の内容を書き起こすので、書くことは決まっていたが、1日で終わる講座を1冊の本にするためにより丁寧な説明文や内容の補足、例示などたくさんの肉付けが必要で、文章量もそれなりに書く必要があった。
しかも私の本業はIT企業の会社員だ。平日は仕事をして、休日になんとか時間をつくって進める必要があり、あまり時間がなかったということはあるが、ほとんどやったことがない慣れない執筆作業に、なかなか思うように筆が進まず、かなり行き詰まっていた。
そうこうしているうちにゴールデンウィークが近づき、どう過ごすかを決めるタイミングがやってきた。ゆっくり時間の取れるときに執筆を進めておきたいと思う反面、少しでもこの慌ただしい日々のリフレッシュになるようなことがしたいという2つの欲求が芽生えた。
私はその2つを同時に叶えるべく、都心からすぐに行けて、ちょっとしたリゾート気分も味わえるような場所に宿泊することに決めた。そこで執筆もリフレッシュもどっちもやってやろう、という魂胆だ。
私が選んだのは、千葉県浦安市に位置する「スパ&ホテル舞浜ユーラシア」だった。
舞浜ユーラシアは、天然温泉を使用した大浴場、エステサロンなどがあり、リラックスできるスパ施設が充実している。もちろん、全室無料Wi-Fi完備。パソコンで調べ物をしながら執筆を進める私でも安心して作業できる環境だ。
そして、さらに舞浜ユーラシアの大浴場には、サウナ設備が整っている。サウナの種類はフィンランド式ケロサウナ、塩サウナ、低音サウナと3つもあり、水風呂は水深1mもあるかなり深めの仕様、潮風を感じる外気浴場まで完備されている。ケロサウナはフィンランドからサウナビルダーが訪れて造ったという本格派。サウナーも納得の設備だ。
このサウナが、私が舞浜ユーラシアを宿泊先に決めた最大の理由になった。
執筆のためにホテルや旅館などの宿泊施設に籠もるというのは、数々の名だたる文豪たちが取り入れてきた方法だ。
夏目漱石は、『草枕』を自らが宿泊した旅館を舞台にして書き上げたことで知られている。宮沢賢治は『銀河鉄道の夜』を岩手県の花巻温泉にある旅館「小安峡荘」に宿泊して執筆したし、森鴎外は『舞姫』を書くために、京都の三条大橋近くにある旅館「三条楼」に滞在した。
昔も今もそういう方法を取る作家やライターは多く、めずらしいことではない。
ホテルや旅館に籠もって執筆する理由はいくつかあるだろう。
例えば、集中できる環境が整っていること。ホテルや旅館は、普段とは異なる環境で、自宅に比べて娯楽も少なく、SNSなど外部からの刺激からの切り離しやすいので、集中力を高めやすい。
また、真剣に取り組む時間を確保しやすい。食事の準備や掃除洗濯の心配をすることなく、執筆のためだけに時間を使うことができる。
そして、リフレッシュ効果だ。旅先で新しい場所や風景に触れることで、気持ちが切り替わり、新たなアイデアが生まれることもある。
正直、ホテルや旅館に宿泊するということだけでも十分にメリットはある。ただ、この最後のリフレッシュ効果についてだけ言えば、サウナの右に出るものはないと言っても過言ではない。
私はホテルに着くと、さっそく執筆を開始した。しかしやはり慣れない作業だ。2時間ほど作業を続けると、すぐに思考が煮詰まってくる。もしくは飽きがくる。そうなるとサウナの出番だ。
大浴場へ行って「サウナ→水風呂→外気浴」を3セット行う。はじめの1セットは、直前に執筆していた箇所のことが気になって、いろいろと考え事をしてしまうが、2セットめにはサウナの熱さに徐々にその思考が続かなくなり、3セットめには外気浴場のベンチに寝転ぶと、頭や目の奥までじわじわと力が抜けて、木々の間を通り抜ける風の音やお風呂場ではしゃいぐ子どもの楽しげな声にただぼんやりと耳を澄ませるだけになっている。
執筆にはストレスが多い。時間との戦いなので不必要に焦ってしまうこともあるし、いいアイデアが浮かばないことや文章がうまく書けないことに自己否定に陥ることもある。煮詰まってくると「自分はなんでこんなに書けないんだ」と、ついくよくよと余計なことを考えてしまう。
だが、サウナにはそれを押しのけ洗い流してしまうほどの威力がある。
サウナの熱気と水風呂は、その温冷刺激により心拍数が上がるため、運動と同様の効果でアドレナリンやエンドルフィンなどの脳内物質が分泌される。それにより、ストレスや不安が軽減され、集中力が上がり、さらには高揚感や幸福感などポジティブな気分になることができるとされている。これがいわゆる”整う”という状態だ。
しっかりと整ってから部屋に戻り再び机に向かうと、さてどうだろう。驚くほど新鮮な気持ちでまたその文章と向き合うことができるようになっている。さっきまでああでもないこうでもないと何度も書き直していた細かいことがあまり気にならない。下手でもとにかく先に進んでみようと、まるで初めて筆を取ったときのように前向きに書き進めることができるようになっているのだ。
結局、1泊2日の滞在でチェックインからチェックアウトまでの間に数度執筆とサウナを繰り替えしただけで、苦戦していた1章数十ページ分をまるまる書き上げることができた。
徹夜すらしていない。夜も早めに切り上げて施設内のレストランでビール飲んで寝た。いわずもがなこの時のビールは信じられないくらいおいしい。サウナのリラックス効果に加え、作業が捗った高揚感も相まって、最高の夜になる。朝も7時前にすっきり起きて、作業の続きを進められた。めでたく私は、執筆と日々のリフレッシュ、2つの欲求を叶えてみせたのだ。
執筆に限らず何かに煮詰まっているすべての人にお勧めしたい。宿に籠もるのであれば、ぜひサウナのある施設を選んでほしい。
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