READING LIFE
2012-07-25
『経営の教科書』/『負けない力』新将命著《READING LIFE》
先日、打ち合わせのため丸の内に行くと、思いがけず、ある先生の姿をお見かけする。
僕は走り寄って、こう挨拶をする。
「新先生、ご無沙汰しております!」
僕が声をかけたのは、コカ・コーラやジョンソン・アンド・ジョンソンなど、いわゆる外資系エクセレント・カンパニーのトップを歴任した、伝説の経営者にして、数多くの有名企業トップのメンターとして活躍されている、新将命先生だ。
おお!と新先生は僕の顔を見て破顔する。
「本当にあなたに会えなくなってさみしくなったよ」
実を言うと、新先生とは、祐天寺の書店にいた時代に本当にお世話になっていたのだ。
当時、先生はヒット作となった『経営の教科書』という名著を書かれていて、その本についての疑問を、いつも丁寧に教えてくれていたのだ。
たとえば、「胆識」に関する質問を、僕はこんな風にする。
「それは脳細胞のニューロンに対するグリア細胞のようなものでしょうか」
すると、新先生は、真剣にじっと聞いてくださり、しばし考えてくださり、こうお答えになったのだ。
「確かに、ここでいうところの『実学』は、脳細胞におけるニューロンのようなもので、そうだとすれば、『胆識』は、まさにグリア細胞のようなものですね、その解釈で間違いありません」
じっと聞いてくれて、じっと考えてくれる。
この数値にすれば、数秒の間こそが、途方もなく価値があるように思えた。
僕が高田馬場に異動になったときは、「さみしくなるね、本当にさみしくなる」と何度も言ってくれた。とても温かい方なのである。 馬場に行ってからも、『READING LIFE』を制作することになった時には、快く特別寄稿文の執筆を引き受けてくださった。
そう言った意味で、密かに「先生」と慕う方である。
そうだ、と新先生がカバンから出されたのが1冊の本だった。
「実は今から講演会が名古屋であって、人にあげようと思ってたんだが、あなたの方が大事だ、これを差し上げるよ」
それが、新先生の新刊、『負けない力』である。
『経営の教科書』において、実際に使える学問だけではなく、いついかなるときに光を放つかわからない「胆識」を蓄えるべきであると説いた新先生は、この本において、新たに勉強法について語っておられる。
まずは「聞く」。座って講師の話を聞いているだけでは、100聞いたうち、身につくのは5%だそうだ。これは限りなく無駄だし、はかない。二番目は「読む」。これは10%だそうだ。聞くだけの場合と違って、何かを読むときは、とりあえず目と頭を積極的に使う。だから、効果が倍増するのだろう。それでもたったの10%である。三番目は「実験してみる」。これは30%。四番目は「話し合う」。聞いたことや学んだことをグループでいろいろ議論すると、50%になる。五番目は「やってみる」。学んだこと、覚えたことを、実際にやってみる。そうすると、75%になる。効果大と言える。六番目が最も効果が高いのだが、何をすればいいかわかるだろうか。答えは「やってみると教えるの組み合わせ」だ。まず自分が実践し、次に他人に教える。そうすると90%も自分のものになるという。これは限りなくパーフェクトに近い。
そう言った上で、新先生はこう言うのだ。
「座学で学び、修羅場で成長しろ」と。
まずは、ぜひとも、『経営の教科書』(ダイヤモンド社)を読んで頂きたい。これは名著といって差し支えないだろう。
そして、合わせて、新刊の『負けない力』も読めば、さらに理解が深まるはずだ。
改めて考えてみても、この本を買わない理由が見当たらないのである。
*ぜひ、おちかくの書店でお買い求めください。
2012-07-25 | Posted in READING LIFE