名古屋から茨城の音楽フェスに突撃し気付いたここにしかない最高
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記事:村人F(ライティング・ゼミ6月コース)
正直、なぜ茨城県の音楽フェスに名古屋から参戦したのかわからなかった。
もちろん大学が茨城だったので、思い入れはある。
出演するアーティストも好きな「サンボマスター」、「打首獄門同好会」がいた。
だからといって新幹線と特急を乗り継いで約3時間かかる距離を、わざわざ移動する必要があったのか。
そこに疑問を持っていた。
そのため友達に誘われてノリでチケットを買ったのに、なぜ行く選択をしたのかという後悔が直前まで残っていた。
ただ会場で聴いた瞬間、こんなことで悩んでいた僕が愚かしくなった。
流れてくる音楽全てが最高だったからである。
「打首獄門同好会」のヘヴィメタルに乗せて「ラーメン二郎」愛を語る『私を二郎に連れてって』。
超満員の会場で皆と叫ぶ「サンボマスター」の「愛と平和」
大トリで見せた未だ衰えぬ「大黒摩季」の圧倒的なパフォーマンス。
全てが完璧だった。
7月の炎天下での野外フェスでペットボトル5本分の水が爆速で消える過酷環境だったが、その熱を忘れさせる程の熱狂がこの場所にあった。
ただ、これはある意味で当たり前の感動だ。
名古屋でも東京でも実家の秋田でも「サンボマスター」は絶対ブチ上がるはずである。
この意味ではどこでも味わえる最高体験と言える。
そのため、わざわざ茨城まで行く理由としてはこれだけでは弱い。
しかし今回のフェスは、その回答を提示する要素もあった。
土地の色が色濃く出ていたからである。
参加した茨城の『LuckyFes‘23』は、地元のラジオ局である茨城放送が主催したフェスだ。
数年前まで『ROCK IN JAPAN』が開かれていた国営ひたち海浜公園で行われたが、地元からの参加者が非常に多いイベントだという。
そのためか登場するアーティストにも、この場所ならではの色を多く感じた。
「磯山純」という方は、地元の水戸市出身であり、茨城放送のラジオ番組にて約9年間MCを勤めているという。
全国的には知名度はまだまだだが、おそらく県内のリスナーにとっては馴染みの深いアーティストなのだろう。
そういう土地ならではの色が、フェスの中に表れていたのである。
他にも会場内に配置された絵やオブジェクトなどの芸術作品も茨城出身?のアーティストによる物であったし、出店も地元の名店が多くあった。
いずれも、この場所に行かなければ見ることもできない良さだろう。
これらに触れることも、地方のフェスに行く醍醐味なのだ。
そして、この経験が気付かせてくれる。
僕の住んでいる名古屋にも、固有の魅力があるのだと。
毎朝放送される東海地方限定の番組『ドデスカ!』で語られる地元の素晴らしさ。
絶大な人気を誇るご当地男性アイドルグループ「BOYS AND MEN」
観光地がないとバカにされている名古屋だけれど、この土地に行かなければわからない良いところもたくさんあるのだ。
この当たり前を再認識できるのも、県外で別の空気感を味わったからだろう。
これは色々な場所に行くことで更に実感するだろう。
出身地の秋田県や、韓国やアメリカなどの海外。
それぞれに行かなければわからない良さがあるのだから。
この時、音楽ほど感じやすいツールは他にはないだろう。
例えば観光の場合は土地ならではの言語を予習していなければ会話ができず楽しめないケースが出てくる。
しかし音楽は違う。
言葉がわからなくったって感じられる良さがあるのだ。
バンドが奏でるリズムも、土地に根付いた独特なサウンドだろう。
この国でしか聴けない伝統楽器だってある。
もちろん、国で絶大な人気を誇るアーティストもいるだろう。
これらは、音楽で届けられる言語の壁を超えて身体に染み込んでいく感動なのだ。
だから、話せなくても理解できる。
この土地ならではの息吹を。
これらを実感することこそ、遠くのフェスに行く醍醐味なのだ。
そして、この事実を最高にわかりやすい形で理解できたのも、茨城で行われた『LuckyFes‘23』が最高の空間だったからである。
会場に車で行く過程で見える海。
フィナーレで打ち上げられた花火の美しさ。
そしてサンボマスターなどの一流アーティストが本気でブチかましてくれる圧倒的パフォーマンス。
スタッフ全員が、全力で楽しませようと頑張ってくれたから、僕も最大限に喜びを分かち合えたのだ。
この場所で気付いた最高の体験は、これからの毎日をより楽しくしてくれるだろう。
音楽はいつだって、魂を震え上がらせてくれるから。
そういう活力を手に入れるために、また次のフェスまで全力疾走しよう。
***
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