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「マドンナ古文」の1000年分の恋愛テクを学ぶ本

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記事:村人F (ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
古文をなぜ勉強しなければならないのか?
こう叫びそうになったのは、私が大学入試本番で50点満点中5点を取った事実と関係が深い。
別に興味がないわけではなかった。
ただ国語の授業中、同じ日本語のはずなのにまるで意味がわからない文字列に苦戦するのが嫌だった。
 
参考書を買って対策しようとしたけれど、やはり初歩的な文法がどうしても頭に入ってこなかった。
そういうのもあって古文の大嫌いな学生時代を過ごし、結果コンプレックスになっていた。
 
ただ、そのおかげで大人になってから学び直したいという思いを持ち続けられた。
あの意味不明なミミズ文字が本当は何を言っていたのか。
この興味を保てたのも、わからなすぎたからである。
 
そして『マドンナ先生古典を語る〈2〉おとこ・女・いま・昔』という私の需要にピッタリ一致する書籍と出会うわけだ。
 
本書は大学入試業界で有名な古文教師「マドンナ古文」こと荻野文子先生が、周りの恋愛話と古典を絡めて紹介するエッセイ集だ。
しかし、この内容は一般的な予備校講師によるそれとはかけ離れたドロドロだ。
 
まず先生周辺が強すぎる。
夫から10年以上離婚を迫られているが「別の女と幸せになるのが許せない」という理由で判を押さない妻。
妊娠した瞬間に冷めて、彼氏と別れる決意をした女。
紹介する古典の前座に位置する話なのに、すでに強烈なのである。
やはり周りから「マドンナ」と呼ばれるだけあって、そういう人間が寄り付くのだろうか。
 
そして引用する古典も負けていない。
いや、これらがマシに見える強烈なキャラクターばかりだ。
 
『今昔物語』の「平中(へいちゅう)」という男は、何度求愛してもOKを出してくれない美人「本院侍従(ほんいんのじじゅう)」に嫌気が差し、従者にこう命令した。
 
「彼女のおまるを持ってこい!」
 
別にそういう趣味ではない。
要は彼女を嫌いになりたいから、最も汚い物を見て幻滅しようという論法だ。
全く意味がわからないが彼はそう考えた。
 
しかし女の方もクセ者だった。
あえて盗ませたおまるには高級なお香などゴージャスなデコレーションが施されていた。
男の目論見を全て見抜いた上で更に煽ってきたのである。
こんなキャラクター、現代でも中々思いつけないほどの強烈さだ。
 
本書の古典に出てくるのはこのような方々ばかりなのである。
それもそのはず。
登場するのは時の権力者のみなのだから。
ゆえに最高峰のインテリばかりが登場することになり、現代の下々を生きる我々には想像できないほどハイレベルな思考が目白押しになる。
そのため読んでいる最中も、スケールの大きさに笑いが止まらなかった。
 
更に面白いのは、そんな彼らがやっていること自体は私達とあまり変わらないことである。
浮気の理由をそれっぽい表現で披露し開き直る男。
好きな人に振り向いて貰えなくて傷つく女。
この本で紹介された古典に出てくる恋愛話は、今と大して変わらない。
そう考えると、昔から権力関係なしに考えることは同じなんだと、時代を超えた親近感が湧いてきた。
 
そして、だからこそ「マドンナ」と呼ばれる先生になったのだなと、改めて思った。
著者の荻野先生は、1000年分の恋愛テクを誰よりも学び倒しているわけだから。
もう彼女の中には大量の「男と女」がインプットされているのだ。
それも周りにいる情けない男どもや、独特な感覚の女だけではない。
平安時代から紡がれ続けた、時代を超えて共感される愛憎物語が。
 
だからこそ皆を魅了するのだ。
彼女にも紫式部や清少納言といった伝説級のキャリアウーマンから学んだ矜持があるのだから。
喫茶店にて「援交して何が悪いの?」と母に文句を垂れる娘に対し、通りがかりに「心はすり減るよ」と耳打ちする。
そういったことを自然にできるのも、昔から受け継がれてきた好例を誰よりも学んだからである。
この先生のカッコよさが、なによりも古文の大事さを語っていた。
 
そして私が通っている天狼院書店でも、古文を学ぶゼミが始まるらしい。
発表されたタイミングが本書を読み終えた直後だったから、笑ってしまうほどの運命を感じる。
年齢的に私も本腰をいれて恋愛をしなければならない段階になってきた。
だから、しっかり「男と女」について学び直そうと思っていたところである。
 
その中で『マドンナ先生古典を語る』と、天狼院書店の「オトナのための『国語ゼミ』古典編」が出てきた。
これは学生時代のリベンジを果たす最高の機会である。
 
1000年分の恋愛テクを熟知した先生たちの講義を徹底的に叩き込み、お互いが幸せになる恋をできるよう学んでいきたい。
 
 
 
 
***
 
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2023-08-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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