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夫から見る、初めてのつわり体験記


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:増田拓実(ライティング・ゼミ1月コース)
 
 
「妊娠」という言葉に、とてもポジティブで、神秘的で、明るいイメージを持っていた。そして、語弊を恐れずに言えば、赤ちゃんはお母さんの身体で、勝手に、元気に、すくすくと育って生まれてくると思っていた。
 
女性にとっての「つわり」がこんなに大変で、負担が大きくて、辛いものなんてことは妻が妊娠して初めて知ったことである。
 
だって、職場で「これから産休に入りますー」って言ってた人は、それまで平気な顔をして仕事をしていた。知り合いが妊娠の話をしているのを聞いても、「ちょっと洗剤の匂いが駄目になって気持ち悪いんだよねー」みたいな話しか聞かない。
 
だから、「人によってはつわりで全然寝ることができなくてメンタルを病んでしまうケース」もあること、「つわりから脱水症状を引き起こし、入院するケース」もあること、なんて知らなかった。
 
だって、誰も教えてくれなかったのだ。
 
つわりは病気ではないらしい。菌やウイルスが悪さしているわけではなくて、妊娠、という行為が引き起こす生命の神秘なのだ。
 
ちなみに、私は「つわり」をめちゃめちゃ軽視していた。「妊娠」という赤ちゃんを育てるための神秘的な行為が引き起こす症状なのだからそんなに辛いはずがない、割と真面目にそんな風に思っていた。
 
こんな夫婦生活に亀裂を及ぼしかねないことなら、早めに教えてほしかった。
 
なので、第一に私みたいなつわりに対する知識レベルが底辺の男性につわりについて知ってもらうために、第二にこんなアホな夫もいるんだよと世の中の女性に知ってもらうために、妻のつわり中(絶賛継続中)に避けるべき2つのことを記したいと思う。
 
1つ目は、「いつ治るの?」と無邪気に聞かないことだ。
 
冒頭でも書いたがつわりは病気ではない、らしい。吐いてしまったり、まるっきり食欲がなくなったりする様子を見ているとそこら辺の風邪よりよっぽどたちが悪いと思うのだがあくまで病気ではない。
 
妊娠すると、お母さんと赤ちゃんをつなぐ「胎盤」という、ざっくり言うと新しい臓器のようなものがお母さんのおなかの中に作られる。
この胎盤は妊娠7週から15週にかけて作られる。作られる過程で分泌されるホルモンが影響してつわりという症状が起きる、と言われている。
 
「言われている」と書いている通り、つわりが起こる仕組みは実は解明されていない。また、つわりが「いつまで続くか」には個人差がある。
 
なので、無邪気に産婦人科の先生に、
「妻のつわりはいつ治りますかね?いつまで続きますかね?」
とか聞くと、少し冷たい顔をされたあとに、
「人によりますからねえ」とか言われる。
 
「こいつはこんな常識も分かっていないのか」とでも言いたそうな顔をされることもある。(あくまで主観)
 
あと、妻に対して、
「いつになったら、つわり治るかな?」
これを聞くのも厳禁だ。
 
いつ治るか、なんてつわりで苦しんでいる妻自身が一番知りたいのに、苦しんでいる本人も分からない。
 
「辛い思いをして赤ちゃんを育ててくれてありがとね」
「これだけつわりで苦しんでいるんだからきっと元気な赤ちゃんが産まれるね」
伝えられるのは、「苦しい思いをして赤ちゃんを育ててくれている日々の感謝」と「これからの将来に向けた希望」、これだけだ。
 
あと、本当につらい時に「元気?」みたいなことを聞くのもNGだ。とても当たり前の話だが辛そうな人に「元気?」って聞いても、「元気じゃないことくらい見たらわかる」でしょって、思われてしまう。
 
人は誰しも自分が苦しいときは、心のキャパシティが狭まるものだ。迂闊な発言をする前に、「自分は妻の気持ちに寄り添えているかな?」と問いかけることを大事にしたい。
 
2つ目は、ちゃんと報連相をするということだ。
 
つわりで苦しい時は、
「食べたいものがない、なんなら食べて吐きそうになることが怖い」とか
「気持ち悪くて何も考えたくない」とか
「体がしんどくてベッドから動きたくない」
みたいな気持ちになるようなのだ。(私は察しが悪いのでもっとあるかもしれない……)
 
だから、「友達とご飯を食べてくる」とか「ちょっと買い物に行ってくる」とか、そんな体調が良ければ普通にできることが、妻にとってはかなりしんどい。なので、夫側が普通に遊びに行こうとすると、それだけで羨ましがられるし、ちょっとイライラされる。
 
だから、夫の皆さん、報連相はちゃんとしよう。
 
「今日はだれだれと会うためにどこどこに遊びに行ってくるね」とか
「お土産なんかほしいものある?」とか
「20時までには帰ってくるね」みたいなコミュニケーションはとても重要だ。
 
個人的に、特に帰ってくる時間を伝えて、ちゃんと伝えた時間に帰ること(大事!)はめちゃめちゃ重要だと思う。
 
身体がしんどいと心もしんどくなってくる。特に夜はつわりもしんどくなるらしく、そんな時にそばで支えてくれる人がいるかどうかはとても重要なこと、らしいのだ。
 
ここまで読んでくださった皆さんに私は伝えたいことがある。
 
私は決して皆さんに「つわりにビビってほしい」などとは思っていない。
 
私が伝えたいのは、特に夫側の皆さんに伝えたいのは、「妊娠中の夫の態度は、それからの夫婦生活に決定的な影響を及ぼすよ」ということだ。
 
妻がつわりで苦しむようになってから、つわりを経験した何人かの女性と話した。
 
「つわりの時に優しくしてくれなかったから愛情が冷めた」とか「なんなら妊娠して以降、旦那のことをATMとしか思ってない笑」みたいな、かなり辛辣な意見もお聞きした。
 
逆に「夫がつわり中に支えてくれたから子育ても乗り切れそうだと思えた」とポジティブな意見を伝えてくれる人もいた。
 
好きで結婚して、好きで子供を授かったのに、妊娠が原因で夫婦仲が悪くなるなんて嫌だ、と私は思う。
 
そうなりたくなければ、妊娠中は妻を一番大事にしよう。
だって、この10ヶ月でこの先長ければ60年の夫婦関係が決まってしまうかもしれないのだから。
 
 
 
 
***

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2025-01-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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