ほしいなと思ったけれど。
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:井口敦子(ライティング・ゼミ5月コース)
買い物帰りに、ふと、お気に入りの雑貨屋さんに入った。
何度も来たことはあって、お店のセンスや置かれているものの感じはある程度わかっていた。その日は藤で編まれた小ぶりのバックが目に入った。
「かわいい~!」一目見てテンションが上がった。
そのバッグを持った自分を想像して、なんとなくおしゃれになった姿が見えた気がした。そして、私の好み!なんだか夏がワクワクするじゃない!
タグをみると、税込み8,000円を超えていた。
「かわいくない……」
は~、そう来たか……。その場で即買いする気にはなれなかった。
ひとまず、午後からの仕事に向かうため、お店を出た。
その後も、私はバッグのことで頭がいっぱいだった。
デザイン的にちょっと凝っていたから、そのくらいの値段は妥当か、いや、でもあの小ぶりのバッグで8,000円は高いな。でもかわいかったし……今日は占いでもお買い物◎だったから買ってもいいのかな等々。
悶々とした気持ちを抱えながら仕事を終え、閉店時間になんとか間に合いそうだったので、私はもう一度そのお店に足を運んでみたのだ。「うん……かわいい」でも、その時でさえもすぐ買う気にはなれなくて、一旦持ち帰ることにしたのだった。
これは何も8,000円をケチる話ではない。
もちろん、買おうと思えば買える金額である。でも、私の中では迷っていた。
「本当にこのバッグが私にとって必要なのか?」それは単なる衝動買いなのか、それとも本当に価値のある選択なのかを見極める必要があった。物欲と実際の価値との狭間で揺れ動く自分に戸惑いを感じていた。一般的にはこれを優柔不断というのだろうか。
買い物は私たちにとって単なる物の購入を超えた意味を持つことがある。何かを買うことで新しい自分を手に入れたような気がすることもあるし、逆に買わないことで自己制御の力を感じることもある。出来るだけ物を増やしたくないという抵抗と新しい自分への期待。
どこか自分の中で、いままでの選択ではなく、新しい試みをしたいという感情があった。久しぶりにテンションが上がるバッグと出会い、買いたい気持ちを抑えながら、まずは家に眠っているバッグを引っ張り出して、あらためてそのバッグたちを再確認したいと思った。
焦ることはない。
私は買わないで、一旦、家に帰って持っているバッグを見てみることにした。
家に帰って、手持ちのバッグを出してみた。
そう、これも散々迷って、でもやっぱり気に入って買ったんだった……いま見てもやっぱり気に入っている……あらためて、自分が気に入ったバッグに囲まれていることに気が付いた。
そして、その夜、実家で母の使わないバッグを見て
「これ、私、使えそうじゃない?」
母もそうして構わないと言ってくれて、なんだか嬉しくなった。
女性はバッグ好きな人が多いと思う。服装や気分によって変えたいし、いくらでもおしゃれなバッグを見つければほしいと思ってしまう。もちろんワンシーズンを流行もので遊ぶのも楽しいし、シンプルで長く使えるバッグを大切に使い続けたい気持ちもある。
持てるバッグは1つなのに、いくつも揃えたくなってしまう…それが女心というものなのだろうか。
どこか冷静に考えて、あの小ぶりの藤のバッグに8,000円をかける気持ちが薄れている自分がいた。いや諦めたわけではない。でも、いまのバックたちで十分じゃないか……そんな気持ちも感じていた。
これは私が年をとったということなのか?
いや、たしかに歳を重ねて、新しいものへの飛びつき方は変わってきたかもしれない。でも、それはある意味、自分が何を大切にしたいかということが明確になってきたということではないか。いまあるもの、自分がいままで大切にしてきたものを振りかえり、あらためて選択を考える。
結局のところ、胸ときめくウィンドウショッピングできたことが満足だったのかもしれない。それと、改めて自分のバッグを再確認できて、気持ちが整った気がする。そして、母のバッグに挑戦してみるという新たな楽しみもある。もしかしたら、そんな発見が一番の収穫だったのかもしれない。
***
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