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子どもを医学部へ入学させる方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:白須絵里子(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 
「タケシ、早く勉強しなさい!」
 
ここは地方都市の住宅街にある総合病院、地下1階にある売店(コンビニ)の前。
お店の前には、外来患者さんが、お昼ご飯を食べたり、休憩できるように、テーブルと椅子が8組ほどおかれている。
 
午後4時を少しまわった頃、診察の順番待ちで疲れた身体をいっぷくさせるために、コーヒーを飲もうとしたときだった。
 
声のする方向へ目をやると、小学校4年生くらいの男の子と、その母親らしい女性の姿が目にはいった。
 
お店の前と横に配置されたテーブルと椅子。お店の横にあるテーブルのところに、男の子と母親は腰掛けていた。
男の子はランドセルから筆箱と、漢字のドリルを取り出した。左の肘をテーブルにつき、ほおづえをついて、渋々勉強をはじめた。
母親はその横のテーブルで、椅子に腰掛けてあしを組み、コーヒーを飲みながら、スマホをいじっている。
 
しばらくして、男の子を覗き込み、
「もっと綺麗に書きなさい!」
声を荒らげた。
 
その様子をじっと見ていた私は、心の中で呟いていた。
 
このお母さん、なんでこんなにイライラして云うのだろう?
疲れているのかな~
でも、自分はスマホ触って好きなコトして、子どもに勉強しろ、勉強しろ!
と、言ったって、するわけないやん!
子どもを勉強させようと思ったら、親もそういう態度をみせないと、するわけないやん!
 
 
私には5歳違いの息子が2人いる。
自慢ではないが、どちらも東大、公立の医学部へ現役で入学した。
だが、子ども達に「勉強しなさい!」と云ったことは一度もない。
そのかわり、勉強が楽しくなるような仕掛けはたくさん作った。
 
きっかけは上の息子が保育園年長さんのときに読んだ“幼児期に学力の土台を”
という本だった。これは神戸の小学校の教員だった岸本裕史先生が書かれたものだ。
岸本先生は、100ます計算で有名な陰山英男先生の師匠だった。
 
家庭学習の重要性、日常生活、家庭環境が子どもの学力に大きく影響するとのことだった。
その本には家庭で取り組める具体的なことがたくさん書かれていた。
 
その中にひとつに、家庭学習は毎日、学年×10分間、長くても20分まで行う。勉強が終われば、しっかり遊ばせる。
勉強する時は、テレビを消す。子どもが勉強する間は、大人も子どもの傍らで、読書をする。
テレビは見る番組を決めて、番組が終われば消す。
テレビをつけっぱなしの家庭で学力の高い子どもは育たない、というものだった。
 
今の時代なら、ゲームをやりたい放題にしている家庭では、子どもの学力は伸ばせないとというところだ。
 
机の上の勉強だけでは面白くない。地域で行われる、ムササビの観察会、昆虫の観察会
博物館めぐり、動物園のは虫類館めぐり。
息子たちの興味のあるもの、面白そうなものに、とことん付き合った。
そんな仕掛けが功をそうしたのか、こんな出来事があった。
 
「お母さん、いったいどんな子育てをしているのですか?」
下の息子が小学校6年生のとき、休んでいた担任の代わりに入った先生が私に尋ねた。
 
学校の自習時間のときのことだ。息子は与えられた課題が終わると先生にこう言ったそうだ。
「先生、終わったら、別の勉強していいですか?」
 
普通だったら、課題が終われば、遊んでいい? というはずなのに、「勉強したい」と云うなんて。
 
ちょうど、その頃息子は中学受験の勉強をしていた。志望校は自分で決めていて、どうしてもその学校へ進学したいと思っていたようだ。
 
自分が知らない事を知ることが楽しい。勉強だってやり方がわかれば楽しい。頑張っただけ出来るようになれば、もっとやりたくなる。その事が、わかりはじめた時期だった。それで余った時間に塾の勉強をしたかったのだ。
 
大人でも、子どもでも人に強制されてする事は苦痛になる。こころから自分でやりたい!
達成したい! と思ったとき、人は本気になれる。
 
私は息子たちに、「勉強しなさい!」と言うよりも、興味がわく、本気になれる、もっと知りたい! そう思える環境を整えることが、最善だと思っていた。
 
東大や医学部に進学することだけが、いいとは思ってはいない。
だが自分のやりたいことがハッキリしていて、それを叶えるための基礎学力、やればできるという肯定感があれば、たいていのことは達成できると考えている。
 
これは、子どもだけでなく、大人だって同じだ。
 
自分がやりたいと思うことがあるなら、同じような目標をもっている人たちと過ごす、時間の時間の使い方を考える、どうすればそれが達成できるか考える。
自分が身を置く環境が大事だと思う。
 
逆をいえば、やりたいことが達成できるかどうかは、身を置く環境に左右されると思う。

 
 
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2018-07-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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