パーティは嫌いの嘘
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記事:ギール里映(ライティング・ゼミ 平日コース)
「ああ、またパーティの季節になってしまった……」
街中がクリスマスソングの音色とライトアップ一色になる12月、常識的な社会人生活を送っていると、忘年会やら、パーティやら、何かとお誘いが増えるのがこの時期だ。
私は、パーティが嫌いだ。
こじんまりした会食や飲み会ならまだしも、大人数が集まるパーティはひときわ苦手で、お付き合いで参加することも多々あるが、できればもっともやりたくない仕事の一つだ。そう、パーティは私にとって、苦行でしかない。
よく知りもしない人たちが集まり、大して美味しくもないパーティ料理をつまみ、飲み放題だけどアルコールが飲めない私はウーロン茶の選択しかない。なんとなく出会った人と、なんとなくの自己紹介やらよもやま話をしながら、ただただ数時間がすぎるのを待つ、それがいわゆる一般的なパーティだと思っている。そもそもどうでもいい話を、何時間も知らない人同士ですることが、不毛に思えてならない。パーティを楽しむコツというのがもしあるなら、一度訊いてみたいぐらいだ。
世の中にはパーティピープル、という人種が存在するらしい。あちこちのパーティに顔をだし、高級なシャンパンを飲み、社交を楽しむことが好き、という人たちのことだ。彼らは私からみたら火星人以上に遠い存在。何がそんなに面白いのか、教えてほしいとすら思う。
母親になってからは、さらにパーティの種類が増えた。つまり、子どもたちとのパーティだ。誕生日やクリスマスといったイベントは、子どもたちにとったらパフェにのってるサクランボ。子どものために、と思うと頑張れるが、自分が我が子のパーティを盛り上げられるか、といったら全く自信がない。
しかしそれでも、会社の代表をしていると、パーティに行かざるをえない。代表という立場もあるから、隅っこでひっそりしているわけにもいかず、最大限社交的な自分の一部をフル稼働させて、これも大切な仕事の一部と割り切るようになってから、少しはパーティ嫌いがましになったものの、まだ楽しめるまでには程遠い。私はなぜこんなにも、パーティが嫌いなのだろう。
小学生のころ、私はいじめられっ子だった。当時は自分がそうだという自覚はなかったというのが正直なところだが、友達関係で辛い思いをしていた記憶がたくさんある。
もう、何歳のころかは忘れてしまったが、多分小学校低学年のころだろうか。友達が、とても楽しそうに誰かの誕生会の話をしている。お母さんがどんな料理を作ってくれるかとか、どんなプレゼントをもらうとか、どんな風に遊ぶとか、そんな話をみんなでしているのだ。だけどそこで私は、そのパーティに誘ってもらえなかった。なぜかはわからない。友達に問いただすほど、私は勇気があったわけでもなかったし、どうしていいのか、本当にわからなかった。ただただ単純に、「私はお誕生会に誘ってもらえないんだ」という、小さいけど深い傷が心に残ったのである。
まだ子どもだった私は、そんな気持ちをどう処理していいのかわからなかった。親に相談してみる? 先生にきいてみる? もしくは姉に伝えてみる? 当時まだ小さかった私は、誰かに相談するなんてこと、全く考えもしなかった。ただただ心に湧き上がる悲しい感情を、どう処理していいのかわからず、自分のなかで、何らかの答えを出そうとしていたのだ。
そこでたどり着いた答えが、「パーティは嫌い」である。
期待に胸を膨らませてワクワクしているのに、仲間はずれにされてパーティに誘ってもらえない時に感じたチクリ、と痛い想いを二度と味わいたくなくて、私はパーティが嫌いなんだ、と、自分に暗示をかけていたのだ。本当は、仲間に入れて欲しくて仕方なくて、一言「私も行きたい」って言ってみればいいのに、断られてさらに傷つくのがいやで、だから「パーティは嫌い」だって、自分に予防線をはっている。そんなスキルを若干8歳の私は身につけてしまった。自分を守るための、精一杯の背伸びだったのだ。
今年私は、自社で2つのパーティを企画し、参加した。会社の設立記念パーティと、大阪でのクリスマスパーティだ。そこには、私の想いや仕事に共感し、ともに祝い楽しみたい!と願うメンバーが、合わせて200人ほど集まった。一人一人がどうやったら楽しい時間になるかを考え、準備してきてくれた。ゲームやプレゼント、スピーチなど、随所にお客様を飽きさせない、楽しませる工夫が散りばめられていた。お客様の健康に配慮した、美味しい料理が準備され、誰もが温かい言葉を伝え合った。私たち主催者側だけでなく、参加者も一体となって、誰もが心から楽しめる素晴らしいパーティを作ることができたと、我ながら自負している。
私は、パーティが嫌いなんかじゃなかったのだ。
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