メディアグランプリ

面倒くさいを片付けること


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:森田敦子(ライティング・ゼミ1DAY講座)

私にとって「書くこと」とは「散らかった部屋の片付け」である。
それは着手するまでに「面倒くさい」という気持ちが沸き起こり、だがその一方で完了すると気持ちがスッキリするという点が似ていると思うからだ。

散らかった部屋を目の当たりにすると、多くの人がネガティブな気持ちになるのではないだろうか。「あー汚い、片付けなきゃ……」と。しかし、山積したものや、どこから手を付けたらいいのか分からないことに対しては、やはり「面倒くさい」が沸き起こる。
それはまさに「書くこと」についても同じで、自分の中の散らかった思考を相手に伝わるように言語化する作業は「片付け」そのものである。それを完了した時のスッキリ感は、部屋をきれいに片付けた直後のあの清々しい気持ちに近いと思うのだが、着手するまでがとにかく面倒くさいと感じてしまう。
そうなると、私が「書ける人」になるためにはまず、着手前に沸き起こる「面倒くさい」を乗り越えることが第1歩である。
部屋の片付けも着手するまでがとにかく面倒くさいのであって、ものの5分も動けばそれなりに片付けられる。そう考えると、書くことも同じなのではないかと思う。

じゃあどうするか?
面倒くさいに向き合う考え方として、私が有効だと感じているのは「まず話す」ということ。当てにならない自身のモチベーションなどは無視し、音声入力アプリを起動してとりあえず5分間スピーチする。
具体的な順序として、まずは天狼院のライティング・ゼミで学んだ「ABCユニット」を設定する。そして「えー」とか「うーん」など詰まりながら、めちゃくちゃな文章でいいからとりあえず5分間、文字通り、頭の中の言葉を吐き出すように1人スピーチを行うのだ。
すると音声入力アプリが話す言葉を自動的にテキスト変換してくれる。おおよそ1分間に400文字のイメージで、5分話せば大体2000字の下書き文章が出来る。
当然、その後で話し言葉を書き言葉に修正する作業は必要となるのだが、「5分話すだけで2000字!」これは書くことへの着手ハードルを一気に下げてくれるパワーワードだと私は思う。

例えば、新規で立ち上げた空白のワード画面を目の前にこれから2000字の文章を書こうとしている場面をイメージしてみていただきたい。書き慣れていない人ほど、「面倒くさい」が沸き起こってくるのではないだろうか。何なら、テスト期間中の学生のごとく、今やらなくていいことトップにランクインするであろう部屋の片付けなんかを無性に始めたくなるかもしれない。
だが、「5分話して音声入力」に取り組めば、そこにはすでに2000字近い下書きが出来上がっている。カーソルだけが虚しく点滅する空白のワード画面に比べたら、それだけで着手への心理的ハードルはグッと低くなる。
書ける人になるためには毎日のライティング練習が必要不可欠だと思うが、私のように着手するまでがとにかく面倒くさいという人に、この方法はとてもおすすめである。

部屋の片付けと同じで、着手前の「面倒くさい」さえ乗り越えてしまえばこっちのものなのだ。あとは完成に向けて、ひたすら手を動かしていけばよい。人間やり始めてしまうと、最後までやり遂げたくなるから不思議だ。

ちなみに、この方法における注意点を挙げておくと、いきなり完璧なスピーチを目指すというのはよろしくない。つい、下書きを意識しすぎて最初から上手く話そうとしがちだが、それをしてしまうとなかなか先に進まないので結果的に面倒くさいに負けてしまう可能性が高い。ここではあくまで完璧主義ではなく、成長することを重視して日々継続していくことが大切だと思う。
そしてそれを継続していった先には、5分話すだけで本文2000字が書けてしまうという神の領域に達することだって夢ではないのだ。

とは言え、面倒くさいに向き合う時、自分1人だけでは負けそうになることがある。
そんな時には、同じ目標を持つ仲間と共にゲーム感覚で取り組めたら楽しいだろうと思う。これを機に「5分間スピーチ部」を立ち上げてみたい。書くことに対して面倒くさいが沸き起こる私みたいな人はどこかにいないだろうか。
そんなことを思い描きながら、私は今もこうして書くことに向き合っている。
そうしてまた明日も「5分話すだけで2000字!」と脳内標語を掲げて、面倒くさいを乗り越えていく。
 
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2019-01-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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