「ブログが書けない!」 そんなとき、どうすればいいの?
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:赤木 広紀(ライティング・ゼミ日曜コース)
「あぁぁ、ブログが書けないぃぃ……」
何を隠そう、私の長年の課題。
ブログだけではなく、書くことに対する苦手意識が昔からあった。
ライティングの本も読んだし、文章講座も受けた(あっ、ライティング・ゼミじゃないよ)
「よし、今度こそ、週に1回は書くぞ!」
そう固く決意する。でも続かない。
もって3か月。早いと2週間。
つまり、2回書いただけでまたピタッと止まってしまう。
「なんで書けないんだ……」
「なんで続かないんだ……」
と頭を抱えた後、
「よし、今度こそ、週に1回は書くぞ!」
と一念発起するが、また、もって3か月……
ブログを書き始めたのは2002年。
それから15年以上、この「よし、今度こそ!」を繰り返してきた。
とはいえ、さすがにこれだけ「よし、今度こそ!」を馬鹿の一つ覚えのように繰り返すと、いくらノウハウを学び、気合を入れても、それだけでは乗り越えられない……
さすがに馬鹿な自分でも気づく。
回し車の中のハムスターでも、走っても走ってもどこにも行けないと気づくのに、いくら何でも15年かかることはないだろう。
と、まあ長い時間がかかったが、それに気づいたことで、
「なんで書けないんだ……」
「なんで続かないんだ……」
と自分を責めるのではなく、
「書けないとき、一体何が自分に起きているのだろう?」
と、初めて、冷静に自分自身に問いかけてみることができた。
そうしたら、わかったのだ。
自分の中に、「二人の自分」がいたことに。
一人の自分は、「早く書きたい」「さっさと書きたい」「スラスラ書きたい」と思っている。
この自分を「スピードくん」と名付けよう。
それに対し、もう片方の自分は、「じっくり書きたい」「いい文章を書きたい」「わかりやすく丁寧に書きたい」と思っている。こちらの名前は「じっくりさん」
ブログが書けないときは、この「スピードくん」と「じっくりさん」の二人が、お互いの言い分を通そうと綱引きをしていたのだ。
例えば、「スピードくん」が出てきて、すばやくさっさと書こうとする。
すると、すぐさま「じっくり書かないと」「丁寧に書かないと」「ちゃんと構成を整えないと」と言う「じっくりさん」が出てきて、「スピードくん」から主導権を奪おうとする。
そうなると、書くスピードが落ち、手が止まる。
じゃあ今度は「じっくりさん」が丁寧にじっくり書こうとすると、
「早く書けよ」「さっさと書けよ」「もっとスラスラ書けよ」という「スピードくん」が出てきて、なかなか書かない「じっくりさん」の態度にイライラし始める。
「じっくりさん」もびくびくして、やはり手が止まる。
まさに、勝負がつかない綱引き。
この綱引き、一体、どうすれば終わるんだ?
綱の引っ張り合いじゃなくて、二人三脚で協力し合うことはできないのか?
頭を抱えて、途方に暮れる。
が、その答えは……
あったのだ。
「どちらの自分も満たすやり方で書く」
という答えが。
いやいや、それは無理だよ。だって真反対じゃない。
あちらを立てれば、こちらが立たず。
こちらを立てれば、あちらが立たず。
「両雄並び立たず」じゃないの?
だが、この「どちらの自分も満たすやり方で書く」ことは可能だったのだ。
あるとき、「とにかく頭の中にあるものを書き出す」ということをやってみた。
つまり、最初から人様にお見せできるような文章ではなく、文字の間違いも、文章の構成も文脈もちゃんとしていなくていいから、ただ頭の中にあるものを一度、紙の上にぶちまける感じで書いてみた。
とにかく書く。途中で一切、推敲せずに。
そうすると、あっという間に、原稿用紙3枚分ぐらいの文章が書けた。
「なんで書けないんだ……」
「なんで続かないんだ……」
そんな声は、頭の中に一切聞こえずに。
結局、「自分は書けない」のではなく、「最初から本に書かれているような文章を、自分は書けない」だけであって、体裁などを気にしなければ書くことはできるのだ。
冷静に考えたら、そんなのは当たり前のことだ。
あの村上春樹氏も、何度も推敲に推敲を重ねて、ようやく本になると話していたそうだ。
彼のような文豪でも、最初から本になるような完成された文章を書けるわけではないのだ。
そう考えると少し、いや、かなりラクになった。
ラクになったら、書くことが楽しくなった。
体裁を気にせず、キーボードを打っていると、どこかでノッてくる瞬間がある。
ランナーズ・ハイと似ているかもしれない。
脳からアドレナリンが放出して、どこまでも書き続けられるような多幸感とともにキーボードから文字が紡がれる。そう「スピードくん」が疾走しているようだ。
しかし、いずれアドレナリンは無くなり、ランナーズ・ハイも終わるときがくる。
そこからが、「じっくりさん」の出番だ。
「スピードくん」が疾走した文章を、「じっくりさん」が丁寧に見直し、体裁を整えていく。どうすれば読みやすくなるかと、丁寧に配慮しながら文章を整えていく。
この順番なら、「スピードくん」と「じっくりさん」の二人ともが、満足してくれる。
「スピードくん」から「じっくりさん」へのバトンパスがうまくいった瞬間だ。
この二人の大事にしているやり方やペースは違う。でも、目的は同じ。
そう、「読んでくれる人に何か一つでも読んで良かったと思ってもらいたい」という目的は二人とも同じなのだ。
とはいえ、この二人、ちょっと目を離すとすぐに綱引きを始めてしまう。
仲良く手を取り合い、お互いに二人三脚で協力して書けるようになるには、もう少し暖かく見守る必要があるようだ。
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