ブックセラー・グランプリ

発狂するほど悩んだ私は、この本を読んで転職を決めました。《ブックセラーズ・レビュー》

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*この記事は、「1シート・リーディング」講座にご参加のお客様に書いていただいたものです。

1シート・リーディング講座〜本を人生に染み込ませる12の読書術〜読書は最強の思考術だ!マガジン・ノートに読書と思考をまとめる!

記事:(1シート・リーディング講座)
 
 
そうか、具なしパスタがあれば、大丈夫だ。
そう思った瞬間、私の中でストン、と落ちた。本を閉じ、私は自室の机に向かった。ノートパソコンを開き、あるワードを検索ボックスに入力する。
 
退職願い 書き方
 
私は、この本を読んで、退職を決意した。
これまでに、著名なコンサルタントや心理学者の書いた本をたくさん読んだ。今の職場を離れたいと思うのに、踏ん切りがつかない臆病な自分を納得させるためだ。
だが、どの本も決定打にはならなかった。
ある日、私は本屋さんでこの本に出会った。
 
『仕事にしばられない生き方』著者・ヤマザキマリ
 
彼女は、実写映画にもなった漫画『テルマエ・ロマエ』の作者である。漫画好きの私にとって、とても興味が惹かれ、また、取っつきやすくもあった。
書かれていたのは、正直と言うより、赤裸々に語り過ぎる彼女の半生。まるで、漫画や映画、創作の物語のように、波乱万丈のストーリーだった。
幼少期に、破天荒な実の母に振り回されながら、お金のシビアさを実践的に学んだ話。人生初のアルバイトで、働くことの厳しさを学んだ話。そして、日本を飛び出し、イタリア、キューバでもさまざまな経験を積み、多くの人のあたたかさに触れる。
特に、油絵を学ぶために滞在したイタリアでの日々は、衝撃的だった。わずかな仕送り、浪費家のパートナーとの間に挟まれながら、彼女は懸命に生きていた。路上での似顔絵描きや、露店の手伝いなどさまざまなことで、その日その日を懸命に生きていた。そんな極貧の生活の中で、彼女の心に光が射した。
イタリアの文学サロン「ガレリア・ウプパ」で出会った、ピエロ・サンティという青年は、彼女にこう語った。
 
「いいかい、マリ。ちゃんと考えるんだ。そして考えたことを、自分の言葉で人に伝えること。そうすると、ひとりで頭の中で考えているのとは、まったく違うことが起きることに気がつくはずだ。」
 
自分の考えたことを自己完結させない。他人に話すというアウトプットをすることによって、アイディアに化学反応が起きる。それが、他人のアイディアと混ざることで、想像以上のものが生まれることがある。「ガレリア・ウプパ」に集まる人々は、みんな裕福ではない。肩を寄せ合い、具なしパスタを囲みながら、対話して、思考をより深いものにしていった。目に見えない、けれど価値ある時間を彼女は彼らと共に過ごしたのだという。
若き彼女たちの姿は、輝いて見えた。お金や衣食住などの社会的な裕福さを持たなくても、一人の人間として、自分の意志を持ち、大切な人たちと繋がって成長をしている。
過去に、日本でも彼女は、同じような体験をしていた。人生はじめてのアルバイト。一日はげんだちり紙交換という肉体労働のお給料はたった五百円だった。そこでも彼女は、おにぎり一つは買えるじゃないか、そう思ったという。
お金という社会的な価値観より、人との繋がりや自己成長を重要視し、国を跨ぎ、多彩な職業を経験する彼女。
油絵画家、イタリア語教師、漫画家、温泉レポーターなど。生きるため、自分を見つめるために挑み、飛び込み続ける彼女のなんとたくましいことか。
 
「どんな仕事も、出会った人達とやれることをやるだけのことで、それがうまくいくかどうかだって、やってみなきゃ、わからないですから。」
「反対に、やってみたけど「あ、違うな」「これじゃなかったな」ってことだってあるかもしれない。そうなったら、我慢ばっかりするんじゃなくて、また次に行けばいいんです。」
 
私は、ドキリとした。実は、心の奥にこっそり抱いていた夢があった。だが、その分野は、現在より給金と休みが不安定だった。そして、ブレーキをかけている一番の理由は、異職種であったこと。新しい場所に飛び込む。それがどうしても、私はできずにいた。
だが、どうだろう。彼女の勇ましい生き方を読んでいると、手足がうずうずして来た。私にも、やれるんじゃないか、そう思えてきたのだ。
国内外を旅し、人との出会いと、体験の中で、自分の強みと弱みを見つけ出した彼女の生き方。それは、堅実な人が見たら、驚くかもしれない。しかし、それを見て、ハラハラしつつも心が踊る私は、彼女と同じなのだろう。
自分の可能性を知るためには、冒険が必要なのだ。例え、それが、多少の藪道でも、その先に価値ある出会いと経験が得られるなら。
それは、進むしかないだろう。
 
私も、彼女ほどではないが、これまで多くのことを体験して生き抜いてきた。多少のすり傷なら、死にはしない。目の前に道があって、信じる未来があるのなら、それを見つけるために歩み出そう。止まっている時間の方が惜しいのだ。
まぁ、多少貧乏しても、なんとかなる。
パスタとおにぎりかじりながら、食らいついていこう。
一度きりの人生、飛び込まなきゃ損だ。
 
彼女は、人と職の、出会いを繰り返し、漫画『テルマエ・ロマエ』の大ヒットで、世界的にも一躍有名となった。だが、反面、それがもとで、トラブルにも見舞われている。
人生、順風満帆にはいかないようだ。それでも、その苦難を乗り越え、前へ前へと進む彼女の姿は勇気をもらえた。
現在も連載で漫画を描いている彼女。こちらも『テルマエ・ロマエ』同様に、独創的な内容となっている。彼女にしか描けない題材だ。次は、彼女はどんなことに挑むのか、楽しみにしつつ、心の師として応援していきたい。
 
さて、私はというと、晴れて自由の身となり、新天地になんとか無事転がり込んだ。三十路を越えての挑戦を、心配し、唖然とする人もいた。だが、親しい友人たちは、「いいね、おもしろいやん!」と笑って応援しながら送り出してくれた。
はじめは、私自身、胃がひっくり返るくらいの不安と恐怖があった。
だが、いざ、飛び込んで見ると、なんて清々しい。
転職前に抱いていた、発狂しそうなほどの不安が、もう思い出せないくらい。職場の先輩方に、ご指導いただきながら、毎日ドタバタしつつも、楽しみながら働いている。
 
まぁ、失敗しても死にはしないし。ここでこけても、次へ行こう!
 
開き直ったら、人は無敵だ。何でもできるし、何にでもなれる、そんな気がするのだ。
また不安に押しつぶされそうになったら、彼女の本を開こう。そして、新しい出会いと、自分の可能性をつかみ取りにいけばいいのだ。
旅するように人生を進む、不屈のアーティスト、ヤマザキマリ。
彼女の言葉を胸に、私もカラッと笑いながら、仕事と人生を楽しみつくしたい。
 
 
 

【紹介本】
『仕事にしばられない生き方』

著者:ヤマザキマリ
出版:小学館
¥ 964

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この記事は、天狼院書店の大人気講座「1シート・リーディング」講座を受講した方が書いたものです。「ブックセラーズ・レビュー」を書いて実際に全国の天狼院書店の「1シート・リーディング」の棚で一定期間販売し、販売数を「ブックセラー・グランプリ」で競い合います。

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