【ネタバレ注意】バチェロレッテ大暴露トークSPに、私が苦しみ続けたこの世の「生きづらさ」が全部詰まっていた《川代ノート》
*バチェラー・バチェロレッテ全シリーズのネタバレめちゃくちゃしてますので、これから観る予定の方はご注意を!
記事:川代紗生(天狼院スタッフ)
ああ、これだ。
この感じだ。
ぞくっとした。それに気がついたとき、鳥肌が立った。
私が今まで言語化できていなかった「生きづらさ」の全部がそこに詰まっていたからだ。
まず大前提として、私はアマプラオリジナル作品「バチェラー」シリーズ放送開始当初からの大ファンである。
今やレジェンドバチェラーとして君臨なさっているハイスペエターナル独身貴族くぼりんこと久保裕丈さんが「こんなに大好きになるなんて思ってもみませんでした」とサイコパス笑顔で跪き指輪を差し出すCMを観たあの瞬間から、私はもうバチェラー沼に浸かってしまっていたのだと思う。
はじめは適当な気持ちで観はじめたバチェラーだったが、バチェラーシーズン1ではもりもりに共感し応援しインスタのネイルネタバレで蒼川愛ちゃんが選ばれると知っていながらももりもりエンドを期待し、「泣いてる子いるよ?」となぜかおかんポジションをかっさらっていく鶴さんがいなくなったときは大号泣し、あまりのロスっぷりにしばらくTwitterで「鶴さんロス」を検索し続け、MC今田耕司と入れ替わり立ち替わり色々なゲストがやってくるトークコーナーはこの交互に観なきゃいけないめんどくさいシステムなんとかならんかなとずっと思っていた(事実、シーズン2からはなんとかなった)。
まあ、そんなこんなでバチェラーシリーズにハマりまくった私は、波乱はそれほどなかったもののドラマチックに美しく完結したシーズン2、大炎上したがエンタメとしては最高で岩間さんの小悪魔ぶりと北新地仕込み水田さんの気配りを兼ね備えた女神にならせてくださいと天に祈りを捧げたシーズン3と、どれも最高に面白く観させていただいた。たぶん全シリーズ最低3回ずつは観たと思う(シーズン2最終回choose you のところとシーズン3友永バチェラーの「恵さんがいいのに!」のシーンはピックアップして10回くらい観た)。
そんなわけで、バチェラー大好きっ子として、シリーズが終了したあとも出演者のSNSやYouTubeを追いかけ続けるくらいのバチェリストになっていたわけだが、いやー、まさか、これまでのバチェラーシリーズとは比べものにならないくらいこんなにどハマりするとはまったく予想してませんでしたよ、
そう、
バチェロレッテ!!!!!!(もはや予告みすぎてこの文字見るだけで「それでよろしいのですね?」っていう坂東さんのMC脳内再生されちゃう)
今度は男女逆転版ということで、ハイスペ男子が美女を選ぶ、のではなく
ハイスペ女子がイケメンを選ぶ
という趣旨になった。
予告を観ていた段階では、バチェロレッテ萌子さん、なーんかお嬢様で高飛車な感じだなあ、ちゃんと感情移入して観られるのか心配だわと思っていたのだが、
本編観たら
本編観たら
え
なんか
すいませんっしたああああああ!(眩しすぎて画面の前にひれ伏し土下座)
いやいやいやこんなに素晴らしい人っている????
え、いや
なぜそんな
なぜそんな
なぜそんな考え方ができるのか
もう
え
どゆこと?
ってな感じで、もう限界オタクですわ。この素晴らしさを表現する語彙力を私は持ち合わせていない……ギリ……!
まあとにかく萌子さんあらため萌子様は、ピュアで明るくて繊細で、全てを受け止める優しさと、不誠実さを見極めるいい意味での厳しさも持ち合わせていて、
こんなに素敵な女性が存在するんかと
よく見つけてきたなAmazonと
もはや萌子様が存在することよりも萌子様を見つけたAmazonの眼力に全力で敬礼する始末でありました。
「自己肯定感爆上げビューティ」と名指されるだけあって萌子様の言葉遣いや考え方は素晴らしくて、藤井さんと真正面から向き合ったときには号泣し、花火を眺めながら打ちひしがれるノッキーでさらに号泣し、過去に囚われていたヒトデアメリカンさんに「あなたにはそういう経験があるということだけ」と尊すぎるお言葉をかけられたときには
もう萌子様の人間性が素晴らしすぎて浄化作用があるんじゃないかというくらい感動しまくってチャミ脱落時に抱きついて大泣きする杉ちゃんにまた脱水症状起こすんじゃないかと心配になるくらい泣かされ
いやーーーなんというか
今までのバチェラーなんだったん?
と言いたくなるくらいには別物でした。
なんかもう神棚に入れておきたいって感じ。奉りたい。萌子様の像を奉って毎日ブートキャンプしたい。
という感じでどハマりしてるんるんで観ておりました。
ええ、ルンルンで観ておりましたとも。
そう、観てたんです。観ていたんですよ。
先週の大暴露トークSPが配信するまでは!!!
来たる配信金曜日、0:00に観ると眠れなくなるから(2話+そのあとのエゴサタイムで)なんとか我慢して早めに寝て、朝一番に実家訪問回を観て、例によって杉ちゃんのりんごの木のくだりで大泣きして(なんであんたそんな真っ直ぐ目見れるようになっちゃったの……)、いやー今回も面白かったいよいよ次最終回かわくわく、とテンション上がったその流れで再生した「大暴露トークSP」、そこで事件は起きた。
バチェラーシリーズでは、振られた女たちが不満をぶつけまくるトークSPは最終回配信前の定番コンテンツで、今までは全く問題なく楽しんで見れていたのだけれど、どういうわけか今回は、観られなかった。いや、観ていられなかった、という表現の方が近いかもしれないな。
なぜか。
そこには、私がこれまでの人生でひしひしと感じ、そして悩み続けてきた「生きづらさ」そのものが全部詰め込まれていたからだ。
ああ、これだ、と思った。
そうだ、これだ、これなんだよ。
私が今までずっと「なんとなく嫌」だと思っていたものって、これだったんだよ。
暴露トークSPの雛壇には、振られた男たちが座っている。
MCのナイナイとシェリーが彼らをいじる。
ちょっとちょっと〜とボケをかます男子たち、突っ込むMC。
それを見て笑う観客。
そして、
なんとなく、「いじれない」キャラとして扱われている、萌子さん。
そう、これまでの人生で、高校のクラスルームで、学生時代のサークルで、バイト先で、入社した会社の飲み会で。幾度となく感じ続け、けれども言語化できていなかった微妙な「気持ち悪さ」がそこにはあった。
なんかもう心臓の奥が、痛かった。
本当に痛かった。
萌子さんが真剣に話そうとすればするほど、男性陣の質問に答えようとすればするほど、周りの「笑い」に対比した萌子さんの「真剣さ」が驚くほど浮き彫りになっていく。
そうして少しずつ、MCも男性陣も萌子さんから距離を取り始めて、「あ、これいじっちゃいけないやつだ」的な雰囲気がどんどん漂い始めて、この回が進めば進むほど萌子さんが「いちいち真面目に返してくるめんどくさいやつ」みたいなポジションに追いやられている気がして、もうあまりにも辛くて、正直最後の方はほとんど観られなかった。
だって私は、そういう萌子さん的立場になってしまったことが、これまでの人生で幾度もあったからだ。
真剣に聞かれていると思うことだから、真剣に答える。
真面目な顔をして答える。
真面目な顔をして話を聞く。
けれど、話している途中で、
「そんな怖い顔するなよ〜」と言われてしまう。
結局みんなに好かれるのは自分の考えを話して、相手の考えをちゃんと聞きたい、何を思い、どんな価値観で生きているのか知りたいと思う私ではなくて、その場を盛り上げたり笑いに持っていける人たちだ。
ああ、そうだ、こういうこと、何度もあった。
まるで走馬灯のように、記憶がフラッシュバックしていく。今までに何度も、何度も何度も何度も何度も、過去に言われたセリフ達が頭の中に浮かんでは消えていく。
ほらほら川代ちゃん、めっちゃドン引きしちゃってるじゃん!
やべーごめんね?
ほらこの子真面目だからいじっちゃだめだって!
そんな重く考えすぎないでよ。
大丈夫? 楽しくない?
顔、こわっ!
え、怒ってる?
いやー、ほんとにさ、
川代さんって
真面目だね。
……ああ。
そうか、私がこれほどまでにバチェロレッテにハマっていたのは、私ができなかったことを、萌子さんがやってくれているからだったんだ。
真面目なのはダメだと思っていた。
真剣なのは「間違い」で、「嫌われる」と思っていた。
この社会で要領良く、みんなに好かれて生きていくためには、ちゃんとその場を盛り上げるキャラクターを演じなくちゃいけなくて、自分の本心を出しちゃダメで、嫌なことを言われても、嫌だと言っちゃいけないんだと思っていた。
そう思っていた私の固定観念を、萌子さんは全力で気持ちよくぶんなぐって、粉々にぶち壊してくれていた。
楽しいときは楽しいと笑い、納得できないことは納得できないと言い、自分のした決断を曲げない。後悔しない。
それがあまりにもかっこよくて、私がしたくてたまらなくてもできなかったことをしてくれていて、まぶしかった。
あるいは、まっすぐにやってくる萌子さんを「羨ましい」と言った藤井さんも、そういう気持ちだったのかもしれないな。
そう、そうなんだ。
ふつうの人は、萌子さんみたいに生きられない。
嫌われたくないし、仲間外れにされたくない。だから周りにいる人たちが自分を必要としてくれそうな方向に、自分の「キャラクター」を調整していく。少しずつ、少しずつ。
本当の自分とはずっと遠く離れた場所に、そのキャラクターがいたとしても。
何よりも私が辛かったのは、誰も悪くないということだった。
べつに女性差別がどうのとか、ミソジニーがどうのとか、そういう話をしたいわけじゃない。
誰がむかつくとか誰が一番の悪者だとか、そういう話がしたいわけでもない。
ただ、一つのコミュニティにおいて「異物」となる存在が現れたら、輪を乱すようなことが起こりそうになったら、危機感を覚えてなんとなく排除しようとしてしまう、
それが人間であり、そして、私が感じ続けてきた「生きづらさ」の答えなのだと、気がついたのだった。
最後まで再生し終えたあと、しばらく放心状態だった。
ぐるぐるとずっと考えていた。怖かった。誰も悪くないということが。誰も意図してそれをしていたわけではないということが。人間とは、一個人ではなく「社会の一部」になった瞬間に、その意思を失ってしまうものなのだ。よほど強い軸や自信を持っていない限り。
私はどうだ? と思った。どうなんだよ。私はどうなんだよ? あの雛壇にいた人たちを批判できる立場か? MCを批判できる立場か? そんなことないと思った。私もおんなじだ。抜け出したい。でも抜け出せない。ぐるぐると回り続ける社会のなかで、民衆のなかで、なんとかここからはぐれないようにと、私を嫌わないでと、排斥しないでと、ずっとずっと、生まれてからずっと、私の居場所を探し続けている。
もうこんなのやめにしないか、と思った。
やめにしないか。やめにしたいよ。もうこんな思いしたくない。
「生きづらさ」なんてふわっとした言葉でカテゴライズして、そうしてまた同じ「生きづらさ」を持つ仲間を求めて彷徨い続けるのか? そこでまたコミュニティをつくって、そこから「異物」が出てきたら「あの人ちょっとやりづらいよね」と陰口を叩くのか?
もううんざりだ、こんな社会も、こんな社会に依存し続けて、結局ずっと抜け出せないまま、文句ばっかりたらしている情けない自分自身も。
もうそろそろ、そういうのやめないか?
時代は変わった。
令和なんだ。
令和なんだよ。
いい意味でも悪い意味でもカテゴライズしてキャラ付けされた隠れ蓑に覆いかぶさらないとやってけなかった平成の時代は終わったんだ。
もう戻らなくていい。
二度とあの場所に戻る必要はない。
進み続けていいんだ。
自分が信じる自分になるために生きていい。
いやー、もうそんなこんなで、ハマりまくってしまったバチェロレッテ。
あともう少しで最終回なんて信じられないけれど(残ったふたりとも愛おしすぎるから萌子さん頑張って分裂してくれんかなと思ってるけども)、まっすぐに進み続ける萌子さんの決断を全力で支持したい。というかこんな最高傑作をつくってくれた製作陣のみなさま本当にありがとう!! マジで!! まだ終わってないけど!!
「生きづらさ」なんて言葉で誤魔化して社会のせいにばかりしていないで、自分の人生に責任を持つ。
例のごとく、また何度も繰り返して観てしまうと思うけれど。
10回目を再生する頃には、萌子さんのようにかっこいい自分になれていたらいいなと、そんなことを、思った。
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