チーム天狼院

新卒のエントリーシートには、文章の大事な要素がつまっている《スタッフ平野の備忘録》



*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:平野謙治(チーム天狼院)

 

「エントリーシートを、添削してもらえませんか?」

彼女からそんなことを言われたのは、確か先週のこと。
「パルコ心斎橋店」の営業を終え、店を後にしようかという時のことだった。

「夏のインターンに行きたいんですけど、書類選考があるんです」

そうか、もうそんな時期か。社会人になって4年目になる僕は、新卒の就職活動のタイミングをすっかりと失念していた。
アルバイトである彼女は、今大学3年生。面接を続けざまにこなすような時期は、まだ先だけれども。
この夏から、長期のインターンが本格化する。マストではないが、経験という意味では挑んでおくに越したことはない。

「暇な時に見るから、できたら送っておいて」

二つ返事で引き受けながら、過去を思い返す。

 

「エントリーシート」。懐かしい響きだ。

僕が就職活動をしていたのは、もう4年も前のこと。当時は上手く書けず、苦戦したものだった。
結果提出しては落選してを繰り返し、行きたかった会社からは見向きもされず、
たまたま内定を出してくれた会社になんとなく入社し、たったの一年三ヶ月で辞めるという結果になってしまったのだ。

だけど今ならわかる。いや、「わかる」だなんて言うと、偉そうだけれども。少なくとも当時の僕よりは、わかっている。

「新卒のエントリーシート」に求められるのは、何も特殊な技術じゃない。
文章における重要なポイントを抑えればいいということを。

 

まず勘違いしてはいけないポイント。
……そして当時の僕が、大きく勘違いしていたポイント。

それは、エントリーシートに書く経験の内容は、そこまで重要ではないということだ。
「学生時代に力を入れていたこと」のような質問項目が、大抵どの会社にもある。「やばい。そんな魅力的な経験なんて、何もしてないよ」と、当時の自分は焦りを覚えた。

合同面接で隣のヤツが、
「留学経験が1年以上ある」とか、
「〜のインターンでこんな実績を残した」とか言おうものなら、ついつい萎縮してしまっていた。

負けちゃダメだ。
そんな思いから、話を盛ってしまったこともあったと思う。

だけど社会人になった今、振り返ってみて思う。圧倒的な経験をしている学生なんて、ほんのひと握り。残りの学生は取り組んでいた内容こそ十人十色でも、会社から見れば大きな差はないというのが実情なのではないか。

そう考えると、中途採用とは違って、新卒採用では経験の内容は大きな差にはなりにくい。「いかに凄い経験を書けるか」ではなく、「いかにわかりやすく伝えるか」が重要だ。言い換えると、「何を書くか」より、「どのようにして書くか」が評価を分つ。

そしてこれは、「エントリーシート」に限った話ではないと、今では思う。ライティング記事にも通ずることだ。
文章の上手い人は、何も魅力的なネタをたくさん持っているわけではない。誰もが経験するような、日常的なエピソードすらも面白く読ませてしまう。それはまるで、料理上手な主婦のよう。高級食材が手元になくても、あり合わせの素材で絶品な料理をつくり上げてしまう。

当時の僕は、そこを理解できていなかった。
だから書類が落ちても「自分は魅力的な経験をしていないからしょうがない」と、自分の文章と向き合おうとしなかった。

 

そして重要なポイントの2つ目。
それは、相手の立場に立つことだ。

書類を読む人は、どんな立場の人だろう。
想像していくうちに、エントリーシートに必要な要素が見えてくる。

倍率の高い会社であればあるほど、ひとりの人事が大量のエントリーシートをチェックしなければならないだろう。そう考えると、最後まで読んでもらえるとは限らない。大前提として「読みやすい」文章でないと、途中で落とされてしまうかもしれない。
それから、「つかみ」となる強い引きが序盤に欲しい。なるべく早い段階で、「他の就活生とは違う、魅力的な学生」だと人事に思わせたいところだ。

続いてマストなのが、人柄や、役に立つ経験が具体的にわかる「エピソード」だ。
そしてエピソードを書く際に必ず注意しなければならないのは、その文章を読む人事が「会ったこともない他人」であるということ。
「何を当たり前のことを」と思うかもしれないが、かなり大事なポイントだ。友達や周囲の人に話すときと違って、どういう状況なのか、前提から丁寧に伝えていく必要がある。

さらに何と言っても重要なのが、「クライマックス」。読者の立場から考えても、「どう終わるか」が印象を大きく左右するのは間違いないだろう。
経験から何を得たのか。それらを通して、入社してからどのように活躍していきたいのか。
ここを熱量高く、説得力を伴って書き切れるかどうかが、迷ったときの合否に関わってくるのではないか。

そして、限られた文字数の中で、それら全てを簡潔に伝え切るだけの「要約力」。
今挙げた要素全てを持ってして、「受かるエントリーシート」は成り立つのだろう。

こうして挙げてみると、これもエントリーシートに限った話じゃない。
エッセイや、記事においても大事なことばかり。

……なんて、社会人になった今は偉そうに言えるけれども、当時の僕は少しも気付いてはいなかった。

でも考えてみれば、それも当然のことだと思う。

僕らは義務教育で、「読み書き」を習った。だから文章を読めるし、書ける。でもただ、それだけなんだ。
どうすればより面白い、魅力的な文章になるか、とか、「読みやすさ」の正体とは何であるか、どうすれば読みやすくなるのか、とか、そういう細かいテクニックは習ったことがない。だから出来なくて、当然なんだ。
誰か教えてくれたらいいのに。書類の落選通知が携帯を鳴らすたびに、強くそう思ったものだった。

 

だから社会人デビューしてから、天狼院の「ライティング・ゼミ」に出逢ったときは、思わず声をあげそうになった。
「読みやすさ」の正体が何であるか。魅力的な「つかみ」や、「エピソード」、「クライマックス」はどのようにして構築されるのか。当時僕が行き詰まってしまった部分を、すべて理論で学ぶことができたからだ。

「学生時代に受けておきたかった……」
心の底から、そう思ったものだ。

そしてライティング・ゼミで学んだことがある。
それは、アウトプットの重要性だ。

それはまさに、スポーツのようなもの。
バスケットボールで、正しいシュートフォームを習って頭で理解したとしても、試合中すぐに実践できる人はいないだろう。

文章も同じだ。理論を知ったとして、すぐに使いこなせるわけではない。
何度も何度も繰り返して、フォームを身体に沁み込ませていく。
次第に文章が変わっていく。そして実感と共に、理解する。
「そうか、あの理論はこういうことだったのか……」と。

その点においても、ライティング・ゼミを受けて良かったと思う。週に1回、全部で16回の課題提出がついているから。
毎週必死に取り組んで、フィードバックをもらって。そのサイクルを回していくうちに、文章力の向上を実感することができた。

学生時代の僕は、とにかく「アウトプット」が足りていなかったのだと思う。当時は当時なりに、必死になって書類を書いたさ。極端にダメだったわけではないとは思うけれども。やっぱり言語化する力が、圧倒的に足りていなかった。

今でも身についたとは言えない。まだまだ勉強中であることには、変わりはないけれども。
受講生としてライティング・ゼミに参加した。毎週欠かさず、課題提出をした。その後天狼院のスタッフになり、文章を書き続けた。
半年前から「ライティング・ゼミ」のフィードバックも担当するようになり、受講生の方々の文章がどうすればもっと魅力的になるのか、日々言語化を繰り返している。それらすべての経験が、僕の血肉となり、文章になっていく。

だから今新卒になって「エントリーシート」を書けば、当時よりは上手くいくはず。
……だなんて、社会人4年目の僕がしても意味のない妄想だけれども。

第一志望の「エントリーシート」を書くときのような緊張感で、これからも文章に向き合っていきたいと思う。

 

そして同時に願う。2021年現在、混沌とした世の中だけれども。
一人でも多くの学生さんが、希望した進路へと進めますように。

面接は今時、リモートが主流なのかな。
どうか体調には、お気をつけて。

 

◽︎平野謙治(チーム天狼院)
天狼院書店「パルコ心斎橋店」副店長。
1995年生まれ26歳。千葉県出身。
早稲田大学卒業後、広告会社に入社。2年目に退職し、2019年7月から天狼院スタッフに転身。
入社以来「東京天狼院」を中心に勤務。その後2020年10月に大阪心斎橋へと異動。
2019年2月開講のライティング・ゼミを受講。16週間で15作品がメディアグランプリに掲載される。
メディアグランプリ33rd Season, 34th Season総合優勝。
『この街には、君がいない。』など、累計5作品でメディアグランプリ週間1位を獲得。

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