5万投資して執筆効率がめちゃくちゃ上がった意外なツール《ライティングTIPS》
記事:川代紗生(天狼院書店スタッフ)
違うんです。
本当は買う予定じゃなかったんです。ええ。
そもそも私は貧乏である。自分で言うのも恥ずかしいが、貯金は20万円もない(いや、ホントは10万も……げふん)。
だから買う予定はなかったのだ。
まさかフォントに5万円もかけることになるなんて思わなんだよ!!!!
そうなのだ。昨年、思いがけずフォントワークスの年間契約(LETSってやつ)をしちゃったのである。
きっかけは、雑誌『READING LIFE<文章特集号>』の制作が佳境に入ったときのことだった。こりゃどうがんばっても入稿日までに間に合わない、もう私がデザインの一部を請け負うしかない!! と息も絶え絶え、徹夜明けの頭で追い込まれた私は、何を血迷ったか勢いでフォントワークスの契約をしちゃったのである。雑誌のデザインにこだわった結果、デザイナーさんに無理を言って、文庫によく使われる「筑紫Aオールド明朝」というフォントを使ってもらっていたからだった。
まあ冷静に考えればちょっとInDesign触ったことある程度の、デザインど素人の私がプロのデザイナーの仕事を引き継ぎできるわけなかったんだけど、もうね、ほら、死にかけだったし……。ま、結局、デザイナーさんがなんとか全部やってくれることになって(マジでその節はすいません)私がデザインすることはなく、5万円で投資したフォントだけが私のPCに残されることになったのだ。
いやー、なんで買っちまったんだ、高すぎだろと思ってめちゃくちゃ後悔してたんだけどさ、ところがどっこい、せっかくだから使ってみるかとWordに反映させてみたら、死ぬほどいいのよ!!!
え!? なにこれ!? フォント使うだけで書くのってこんなに楽しくなるん!? ってめっちゃびっくりしたからね。
この記事も今、「ニューロダン」っていうフォントで書いてるんだけど、絶妙な丸っこさがすごく心地いいんですよ。いや、予想外だったけど、マジで投資してよかったなあ。
というのも、普通の記事を書いているだけでなんだか文豪になったみたいな気分に浸れちゃうのである。うへへ。
じゃあ、試しにWordに打ったものを見ていただこうか。
まずは今お気に入りの「ニューロダン」から。
ね! なんかころんとしてて可愛くない!?(例文それかい)
じゃあ次、縦書きで書くときのお気に入り、ギュッと詰まった感じが気持ちいい「筑紫新聞明朝」。
やっぱりこれもめちゃくちゃ好き。一気に文豪感が出る「筑紫オールド明朝」。使用頻度は一番高いかな。
次は大正ロマン味が急に漂う「筑紫アンティークS明朝」。
あと、古本屋にある数十年前の学術書みたいな絶妙なノスタルジー感が最高な「セザンヌ」。
「専門的な内容をわかりやすく書く」タイプの文章を書くときにぴったりな「学参丸ゴ」。
参考書っぽくていいよね!
お次はちょっと変わり種。手書き感があって、手紙を書いているみたいな気分になれる「てんとう虫」。
あとは、これで愚痴を書くとめっちゃスッキリする「コミックレゲエ」。
映画のレビューとかこれで書きたい「ニューシネマ」。
フォントだけでツンデレお嬢様になれちゃう「マティスえれがんと」。
最後に、こぢんまりとした喫茶店のメニュー表とかに使われてそうな「つばめ」。
とまあ、こんな具合で、書きたい記事のジャンルによって私はフォントを使い分けている。
気分転換にもなるし、何よりテンションが上がるから集中力もアップした。
ライターって体力仕事だし、ずーっと座りっぱなしで同じ画面見続けてると腰も痛くなってくるから、自分が集中して書き続けられる環境作りって必須だよなあ。
思いがけない出費だったけど、2021年、買ってめちゃくちゃよかったツールでした。たぶん買う前より執筆効率1.5倍くらいにはなってると思うから、いやー、何がいい影響をもたらすかわからんもんですな。
フォントが書き手にとって何がいいかというと、簡単に「人格の着せ替え」ができることなのだ。そのフォントがまとう雰囲気に力を借りて、こちらも書くスイッチを入れることができる。文豪風味なフォントの力を借りればもっと心を揺さぶる文章が書けるかもしれないし、よりわかりやすく説明する力も身につくかもしれない。
というわけで、普通はデザイナーが使うものなのだけど、書き手にとっても超武器になるツールだと思うので、今ライティングで悩み中という人はぜひ、投資してみてはいかがでしょうか。
私もこれからは、誰にも見せたくない自分のためだけの文章とかメモはマティスえれがんとで書こうかな。なんか上品な人間になれそうな気がするわね〜おほ!
❏プロフィール
川代紗生(Kawashiro Saki)
ライター。 天狼院書店スタッフ。ライティング・ゼミ講師。東京都生まれ・早稲田大学卒。WEB記事「親にまったく反抗したことのない私が、22歳で反抗期になって学んだこと」(累計35万PV)等、2014年からWEB天狼院書店で連載中のブログ「川代ノート」が人気を得る。レシピを考案したカフェメニュー「元彼が好きだったバターチキンカレー」がヒットし、天狼院書店の看板メニューに。メニュー告知用に書いた記事がバズを起こし、2021年2月、テレビ朝日『激レアさんを連れてきた。』に取り上げられた。天狼院書店で働く傍ら、ライターとしても活動中。2022年2月にエッセイ本『私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)を出版予定。
ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
❏2月上旬、エッセイ本が出ます! 目次詳細&ご予約はこちら!
❏息も絶え絶えで製作した雑誌『READING LIFE<文章特集号』の通販はこちら!
★800冊突破★雑誌『READING LIFE』vol.3 『自分史上最高の文章を書くための「文章術会議」』各店&通販にて好評発売中!《2021年11月14日発売!》
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00
■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168
■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」
〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325
■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984
■天狼院書店「湘南天狼院」
〒251-0035 神奈川県藤沢市片瀬海岸2丁目18−17 2F
営業時間 10:00~22:00
TEL:04-6652-7387■天狼院書店「天狼院カフェSHIBUYA」2020.8.4 OPEN
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前6丁目20番10号 MIYASHITA PARK South 3階 天狼院カフェSHIBUYA
営業時間 11:00〜21:00
TEL:03-6450-6261■天狼院書店「名古屋天狼院」2020.9.18 OPEN
〒460-0002 愛知県名古屋市中区丸の内3-5-14先
営業時間 10:00〜22:00
TEL:052-211-9791■天狼院書店「パルコ心斎橋店」2020.11.20 OPEN
〒542-0085 大阪市中央区心斎橋筋1丁目8-3 心斎橋PARCO 9F
営業時間 10:00〜20:00
TEL:06-6563-7560