チーム天狼院

裏で死ぬほど悪口言ってたくせに平気で「大好き♡最高の友情」とか言える。それが女だ、わかったか!《川代ノート》


http://tenro-in.com/writing-20190802

私は、女子である。25歳の女である。社会に出たばかりの新人ではなく、かといって「働くとはなんぞや」ということを全て理解しきれているわけでもない、自分の肩書きがわからず、自分がどのカテゴリーに所属になるのかもわからない、これからの将来に悩みを持つ、ちょっと情緒不安定な一般女性である。

今日は、女についての話をしようと思う。しかも、女の友情についての話である。

さて、みなさんは、女という生き物について、どのようなイメージを持っているだろうか?
もしかして、「女は怖い」というイメージを持たれているのではあるまいか?

女とは、意地汚く、どれだけ仲良くしていようとも、裏ではお互いの悪口を言い合う。お互い、どちらの方が上か下かを競い合い、マウンティングし合う。仲良くなったと思ったら、別の友達に「あの子って服のセンスないよね」などと陰口を言う。
外面はいいのに、本音ではズケズケとお互いを貶しあっている。

そんな関係をキープしながら生きている。
女子は、そういう怖い生き物だ、と、そう思っているのではないだろうか?

そういう女子のドロドロした部分は見たくないし、被害をなるべく受けたくない、という風に、男性のみなさまは思われているかもしれない。

実際のところ、どうだろうか。

「女は怖い」というのは、本当なのか。
ドラマの中の世界みたいなことが、本当に起こっているのか。
ぐちゃぐちゃドロドロした感情を、女は常に抱え、持て余しているのだろうか?

そんなところを、考えていきたい。

えーと、まずは、結論から言おう。

その通りだ!!!!

その通りー!!! はい、正解!!! 大正解!!! 何も間違ってないよー! その通りだよー! 女ってね、怖いんだよ! 平気で人のこと見下すからね、あいつら! マジで! 女の友情とかねーから! めちゃくちゃ仲よかった友達でも、いい会社入ってる高年収の人と結婚した途端に連絡全然こなくなるとか普通にあるからね!「結婚式は絶対呼んでね♡」とか言ってたやつが、何の連絡もなしにSNSでいきなり名字が変わってるとか平気であるんだよ! 突然Facebookのタイムラインに「×田◯美さんは×田×亮さんと入籍しました」とか出てきて、「え〜×田さんって誰や……えっ!! ◯美かい! 名字早速変えてるよこの子! ってかあんなに仲よかったんだから普通に報告してよ!」ってなることとか超日常茶飯事ですからね。「女は怖い」論は間違いなく事実! 事実です〜! はい終了〜〜! この論題終了〜〜!!! 怖いよ〜!!! 嫌だよ〜〜!!! ひえ〜〜〜!!! 女でいることが怖い〜〜〜〜!!!

……

……

……

などと発狂したくなる程度には、女は怖い、と私は思っている。侮れないと思っている。
私は精神がとても弱く、信じていた友達にあとから裏切られた気分になるのが嫌なので、基本的に「自分の友達は全員一回は私の悪口を言っている」とめちゃくちゃハードルを上げて付き合いをしているくらいだ。

まあ、どうしてそこまで「女は怖い」と断言するのかというと、実は高校生の頃にあったある出来事がきっかけなのだ。

私が高校生の頃、そこそこ仲の良い1人の友達がいた。使い回しになるが、仮にその子を◯美としよう。◯美はとても人あたりが良いタイプだったので、基本的に誰とでも友達になれるタイプだった。私以外にも仲の良い子がたくさんいた。

私も私でもちろんその子だけと仲良くしていたわけではなく、クラスにも部活にもその都度おしゃべりをしたり遊びに行ったりする友達もいた。が、そのときたまたま仲のよかった別の友達(仮に△子ちゃんとする)のことを、◯美は毛嫌いしていた。
ときどき◯美と一緒に帰ることがあって、「さき〜帰ろ〜」などと言って声をかけてきたときにちょうど私が△子ちゃんと話していたりすると、その日はもう彼女の悪口祭りだった。

「えーもう△子って本当無理! なんで仲良くできるのか理解できない!」
「だってさーなんていうの? もう相性の問題だと思うんだよね!」
「ちょっと本当人間性が違いすぎる。マジで5分話しただけでイライラする〜」

帰り道、私と◯美2人だけで帰っているとき、そんな風に死ぬほど△子ちゃんの愚痴を言うのだが、私は「はあ」としか言いようがなかった。別に△子ちゃんは悪い子では全然なかったし、友達もたくさんいた。どちらかといえばみんなに好かれるタイプの子だったと思う。

にも関わらず、◯美は死ぬほど△子ちゃんの悪口を言っていた。何がそんなに◯美を苛立たせているのか、私にはよくわからなかった。だいたいそんなに悪口を私に言ってきてどうするつもりなのだ。私に一体何をどうしろと言うのだ。私に△子ちゃんと仲良くするなと、そう言いたいのだろうか? と、ずっと疑問だった。

◯美の△子ちゃん嫌いは結局ずっと続いていた。ただ彼女たちには仲の良い共通の友達もたくさんいたから、どうしてもグループで遊ぶとなると2人が顔を合わせないわけにはいかず、△子ちゃんは全く何も気にしていなかったのだが、◯美は△子ちゃんと話すたびに、そのイライラポイントを逐一私に報告してきていた。私はもう半分聞き流していた。

で、卒業してもう会うこともなくなったから、あーよかった、で終わればまあ単純に相性の悪い人同士のお話、で済むのだが。

恐ろしいのは、そのあとである。

高校を卒業してしばらくしたあと、私は大学の新しい友人と遊ぶのに夢中になって、あまり高校の友達と会わなくなっていた。ただ、◯美の方は頻繁に高校時代の友達と遊んでいるようすだった。へー、まだ仲良いんだ、などとさして気にしていなかったのだが、ふと◯美のFacebookを見ると、△子ちゃんと一緒に自撮りをしている写真が流れてきた。

高校生の頃に仲のよかったグループみんなで遊んでいるのだろう、嫌いな子がいるのによく行くなあ、と私は思っていた。まだイライラしながらも、グループからハブられるのは嫌だから、我慢してみんなで遊んでるのか。私があまり会わなくなった今は、誰に悪口を言っているのだろう、とそのときはふと思ったくらいだった。

しかし、彼女と写っている写真を見たのは、その日だけではなかった。
どういうことだろうか。Facebookやインスタグラムにあげられる写真の数々。◯美と△子ちゃんはいかにも仲よさそうに写真を撮っていた。ん? なんだこれは。猛烈な違和感が私を襲った。あれ? なんかすごい仲よさそうなんですけど。なんか「#今日もオール」とか書いてあるんですけど。「#ずっと笑ってる笑」「#6時間語っても足りない」「#らぶ!」とかめっちゃ仲よさげなハッシュタグ死ぬほどついてるけど、何これ?
ぞぞぞ、と鳥肌が立った時の私の気持ちを想像してみてほしい。だって◯美は本当に、△子ちゃんのことを心底嫌がっていたのだ。し、ん、そ、こ、嫌がっていたのだ。どうしてそこまで悪口を言う必要があるのかと思うくらい悪口を言っていたのだ。なのに、これは、なんだ? え? なんかもうマブダチっぽい感じになってるんですけど。しかも、見ればインスタグラムのコメント欄には「早くごはんいこ!」などとコメントまでついていやがる! え? マジでわからん。マジでわからん! 女って何? 本気で怖い!

SNSを見る限りだが、◯美と△子は結構頻繁に会っているようだった。あるいは、高校という限られた空間に縛られるのではなく、大学に入って自由になったおかげで距離ができ、「たまに話す友達としては良い」と認識されたのかもしれない。私は卒業して以来、ほとんど会っていないので真偽のほどはわからないけれど、その瞬間に「女って怖いってこういうことだったんだ」と実感した。

たまたまその子がそういう子だっただけでしょ、と思う人もいるかもしれない。たしかに私もそう思っていた。けれども、よくよく観察していると、別にその子だけではないのである。というか、もはや「あ、こういうもんなのね」と思うようになった。

あるバイト先では、全員の悪口を必ず言うので、もはやこの人は公平性を持って悪口を言っているのではないかと思えるくらい悪口を言う人がいた。悪気なく悪口を言っているのだ。

そして、先日実家に帰ったときのことである。祖父母や親戚が一堂に集まり、みんなでご飯を食べながらお正月の特番を見ていた。そのときたまたまやっていたのは、素人ののど自慢大会だった。一般人で歌がうまい人が、得意な歌を歌って得点を競い合う、よくあるあれである。

「あ〜あんまりうまくないなこの人」
「歌はうまいけど顔がなあ」
「これはあざとくない?」

それを見ながら、親戚のおばさんたちは好き勝手に色々とテレビに向かって感想を言っていた。よくやるなあ、と思いながら私はお寿司を食べていた。

「いや〜これ選曲がイマイチだよね。もっとみんなが知ってる歌にすればいいのに」

そのとき、はっとした。
それを言っていたのは、私だったからだ。

私も普通に悪口を言っていた。口からそんなコメントが飛び出していた。

あれ、やばい、私普通に悪口言ってる? と思った。
しかも、無意識にである。私はそのとき自覚がなかったのである。悪口を言った後に気がついたのだ。自分の口から他人への批判の言葉が出ているということに。

そして、私は気がついた。

もしかして、悪口を言っている人間というのは、自分が悪口を言っているという自覚などないのでは? と。

あるいは、今、◯美にもう一度会ったとして、◯美に「あのとき△子ちゃんのことすごい嫌ってたよね」と言って、覚えているのだろうか?
自分が死ぬほど裏で悪口を言っていたということなど、何も記憶にないのかもしれない。

人は、思っているほど、頭がいいわけではないのかもしれない、と最近思うようになった。

そこまで自分を客観視できているわけではないのかもしれないと。そこまで真剣に物事を考えて行動している人など、ほんの一握りなのではないかと思う。

だって、私だって、ある意味、ここに書いていることは、「女といういきもの」全体に対する悪口だ。

私は、女というものがどういう生態をしているのかを解説する記事を書きたい、と思いつつも、心のどこかで、女を貶めたいという気持ちでこれを書いてしまったのかもしれない。

本当に信じられるものは、何もない。

女は怖い。
女は、裏で人の悪口を死ぬほど言うくせに、その翌日にはけろっと忘れて「ねーねーごはんいこ!」「大好き!」「最高の友情!」とか、そういうことを平気で言える、怖い生き物だ。

けれども、本当に一番怖いのは、そうやって「女はこういういきもの」「女はこういうことをする」と断言し、決めつけ、「でも、私は大丈夫だけどね」とちょっと離れたところから見ようとすることだ。

もしかしたら、私だって意識しなければ、裏で死ぬほど悪口を言っているかもしれない。
私の自覚していないところで、勝手に私が暴走して、悪口を吐き出しているかもしれない。
それはわからない。

人間は、頭が悪く、そして、弱い生き物だ。

重要なのは、「他人の悪口を言うやつなんて最悪!」「女って意地汚い!」と決めつけて批判することではなく、自分もそうなる可能性があると、きちんと自覚することだ。

裏でギャーギャーと誰かを貶める。
陰口を言う。
自分の方が上よ、とマウンティングをする。
SNSで流れてきた写真に写る、指輪がキラリと輝く同級生の薬指を見て、「ケッ」と思いながらも、バッチリと「いいね!」を押し、「おめでとう〜♡自分のことのように嬉しい?」とコメントをする。

矛盾している。
バカバカしいと思うくらい、矛盾している。

でも、それが、女だ。
女なんだ。

そして、人間なんだ。

人間は、矛盾した生き物だ。
弱くて、頭が悪くて、ダメダメな生き物。

正論をいくら言っているからって、「誰が見ても正しい」人生を送れるやつなんて、誰もいない。悪口言ってる人達をバカにして見下してちゃ、ダメなんだ。だって自分も同じなんだから。

自分は弱いということを、自分だって間違っているのだということをきちんと自覚して、その上で、生きていこう。
弱い自分とちゃんと、向き合っていこう。

そうだ。
それがいい。

人間は弱い。矛盾だらけ。汚いところだらけ。

それが女だ。それが人間だ。

わかったか!
ちゃんとわかってるか、私よ!

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❏ライタープロフィール
川代紗生(Kawashiro Saki)
東京都生まれ。早稲田大学卒。
天狼院書店 池袋駅前店店長。ライター。雑誌『READING LIFE』副編集長。WEB記事「国際教養学部という階級社会で生きるということ」をはじめ、大学時代からWEB天狼院書店で連載中のブログ「川代ノート」が人気を得る。天狼院書店スタッフとして働く傍ら、ブックライター・WEBライターとしても活動中。
メディア出演:雑誌『Hanako』/雑誌『日経おとなのOFF』/2017年1月、福岡天狼院店長時代にNHK Eテレ『人生デザインU-29』に、「書店店長・ライター」の主人公として出演。
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2018-01-17 | Posted in チーム天狼院, 川代ノート, 記事

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