【あー。バイト行くの面倒くさいなぁ。と思っている人へ】アルバイトで接客するのが嫌いだった私が、アパレルショップの店員になった件〈スタッフ山中のつぶやき〉
あなたはとあるカフェにアルバイトとして働いています。
そこに一組のカップルがやって来ました。
彼氏の方は緊張して彼女と目を合わせるのもままならない様子。
一方、彼女はスマホをちらちら見ながら少し、ものぐさなようです。
あなたはまずマニュアルにある通り、席に座った二人にお水を運ぼうと動きます。
コップに水を注ぎ、テーブルに置く。しかし次の瞬間、緊張してこわばった彼の手が触れてしまったのか
「カッシャーン」と嫌な音が。
なんと、コップが倒れ水が彼の服にかかってしまったのです。
さて、あなたならこの時どのように対処するでしょうか?
A:自分の過失であると彼に深くお詫びする。
B:テキパキと動き、何事もなかったような状態にする
こんにちはスタッフ山中です。
みなさんは学生時代にどんなアルバイトをしていましたか?
(中には 遊ぶお金には困らないからしなくても平気! なんて羨ましい人もいるかもしれませんが)
誰しもが経験するアルバイト。その中でも”接客業”は一番メジャーなお仕事ではないでしょうか。
大学1年生の春から、私はとあるカフェでアルバイトをはじめました。
特にこのお店で絶対働きたい!と思っていた訳でも、時給がものすごくいい!という訳でもなく、
アルバイトはカフェでやりたいなーという漠然な思いと、
入り組んだ道の先にあり、あまり忙しくなさそうだなーと思ったのが、このバイト先を選んだ理由でした。
中高一貫の女子校。
化粧× 染髪× ケータイ× スカート丈× 黒以外のゴムで髪の毛を結ぶ× 学校指定以外の靴下× カミソリの使用×(特に厳しい先生に前髪をあげて眉毛をチェックされた人もいたほど)6年間厳しい厳しい校則に縛られていた私にとっては初めてのバイトです。
レジ作業、お客様との対応、食器の片付け。食材の仕込み作業。どれもこれもがはじめてて、一つ行動する度に、
まちがってないか。おかしくないか
と緊張しっぱなしでした。
そんな中とても頼りにしていたのが、 マニュアル です。
A4用紙10名程度。とても簡単なものではありましたが、文字と不自然なほどに笑顔のスタッフの写真の載ったその紙を大切に大切に、何度も何度も読みました。その度に自分のやっている行動は正しいのだ。間違っていないのだと納得し、自信をつけていったのです。
「こんにちは。いらしゃいませ。こちらでお召し上がりですか?」(笑顔 アイコンタクト)
「かしこまりました。」
「こちらアイスとホットがございますが」(品物を指す)
「サイズはいかがいたしますか?」
「かしこまりました」
「Tポイントカードはお持ちですか?」
「カウンターお進みになってお待ちくださいませ」(手でカウンターを指す)
「ありがとうございます。」(お辞儀)
この8項目。これさえ完璧にできれば接客はほとんどばっちりです。
まさにマニュアル通り。
それ以上でも以下でもない。
しかし、仕事に慣れてくるとレジにでてお客様とすることが少し嫌になっていく自分がいました。レジ以外にも洗浄や仕込み等の仕事がありましたが、できればその”接客ではない仕事”をやりたいと思うようになっていたのです。これは私だけではなく、バイト仲間ほとんど全員共通して思っていることでした。
接客が嫌いな訳ではない。でもできるだけしたくない。
人と接する仕事 よりも、
笑顔とかアイコンタクトとかを気にすることなくできる
人に接しない仕事 の方が”楽”と感じるようになったのです。
しかし、そうは言いつつも、バイトの仲間がとても仲がよかったこともあり、大学1年~大学3年の夏くらいまではほとんど毎日のようにそのバイト先に行っていました。仕事をする上で一番大事なのはやっぱり環境であり、仲間がとても仲の良いこの職場は私にとって最高だ!と感じていました。
しかし、大学3年の秋になり、いよいよ就職活動について考え始めた時、ふと思ったのです。
「私が頑張ってきたこと」って何だろう。って。
就職活動と言えば自己アピールの場。今まで頑張って来たことを振り返り、それを会社がわにアピールしていく場です。自己アピールで何を言おうかなと考えた時、3年間近く続けたこのアルバイトのことを話そう。とそう思っていました。
しかし、本当に私はこのアルバイトを”頑張って”いたのか。
考えてみれば3年間続けたのは仲間が好きだったからであって、仕事自体を精一杯頑張ってやって来た訳ではない。接客業ではあるけれど、マニュアル通りにこなしていただけだ。
世間でいう 自己分析 をした結果。私は自信をなくしてしまったのです。
私のアピールしたいポイントである「人あたりのよさ」「人の話を聞く所」を伝えるにはどうしたらいいのか。
そこで私は新たにアルバイトをはじめることにしました。
人と1対1で接して、ニーズを聞き出す仕事。”洋服の販売員”
大学三年の10月、新たな挑戦の始まりでした。
初出勤の日。今までいちよう接客はやって来たけれど、訳が違うんだろうな。なにかやり方があるのかな。なんて考えながらお店に行って、初めましての方と挨拶。ニックネームを決めてもらい、仕事内容の説明を受けるのかな?と思っていたのもつかの間。
「じゃ、とりあえず店頭でてやってみよっか」
え。うそ。
説明なんて一切なし。場慣れというのはこういうことをいうのですね。
マニュアルなんて存在すらしませんでした。
幸い、人見知りをする方ではなかったので、見よう見まねでお客様に話しかけ、会話して、洋服をすすめました。
その日は本当にあっという間に時間が過ぎて、びっくりしたことを今でも覚えています。
しかしなにより驚いたのは「接客ってこんなに面白いんだ!!」と感じたことでした。
「いらっしゃいませ」(声高め)
「どうぞご覧くださいませ」(声高め)
「ありがとうございました」(声高め)
これは必ず言うと決められています。
しかし逆に言えば決められていることはそれしかありませんでした。
マニュアルなんてあるはずがありません。仕事のやり方の説明なんてできません。だってそこには正解がないのですから。
自分で考え、自分で言葉を選んで、接客する。
もちろん全く同じお客様なんて1人もいません。
明日デートに着ていく服を探しているお客様もいれば、オフィスでもプライベートでも着られる服を探しているお客様もいるのです。
中には普段着ない色に挑戦したい人もいるでしょう。ファッションに関して強いこだわりがある方もいるでしょう。
一人一人探しているものは違うし、好きなものも違う。
その人のニーズに合わせて求めているものを提供しなければいけないのです。
会話のなかからその人の求めているものを聞き出して、提案する。
この”一人一人を思いやった接客”はなにより面白いものでした。
そこでふと思ったのです。
私がカフェでの接客を楽しめなかったのは
”すべての人に同じ接客”をしていたからなのではないか。と
マニュアル通りにすれば正解。それ以外は不正解。そんな決められて中での仕事。
しかし本来接客というものは人を相手にしている時点で、一人一人違うことを求められるもの。
”正解”なんてないのです。
正解のない問題に、無理矢理正解をつけて、こなしていこうとする。
そんなの辛いに決まっています。
正解のない問題に、自分なりに答えをだして、試行錯誤していく。
だからこそ楽しめるのです。
マニュアルはあります。店で接客する上でその通りにやることは大切です。
しかし相手にしているのが 人 である限り、その上でその場その場に合った行動を自分で考えてとっていくことが必要なのです。そして、私はそれがなにより楽しいと感じました。
お客様は一店員にそんなことは求めていないかもしれません。
しかし、カフェにくるお客さんだって、仕事の休憩中でできるだけ早く品物が欲しい人もいれば、家族連れで広いスペースをゆっくり利用したい人もいる。
Tポイントカード投げつけてくるおじいちゃんも、レシートを受け取ってくれないお兄さんもそれぞれに求めているものがある。
お客さんって一人一人違うんだ!
お客様は絶対で、マニュアル通りにしなくちゃいけないのだ。店側に押し付けられるよりも、そっちの方が楽しんでお仕事できると思うのです。
毎回違う人に対して仕事をしているんだ!と当たり前のことだけど、そう考えるだけで今までなにかいやだったレジ業務もわくわくしてきました。
接客業って面白い。
最初にあげた問題にも実は正解はありません。
彼の着ていた服がこの日のために用意した一張羅で、濡れてしまったことに大変憤っているようであれば A:自分の過失であると彼に深くお詫びする。 が正しいかもしれないし、
彼女に対してかっこわるい姿を見せたくない!おおごとにしないで欲しいようであれば
B:テキパキと動き、何事もなかったような状態にする が正しいかもしれません。
もしかしたら「大丈夫?水かからなかった?」と彼が彼女を気遣ったのであれば
C:まず彼女に新しいフキンを渡す という新たな選択肢が出てくるかもしれません。
人と向き合って、考えて。自分の中で答えをだして。
正解がないからこそ面白い。
たかがアルバイト。されどアルバイト。
改めて尋ねます。最初の問題、あなたならどのように対処しますか?
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