チーム天狼院

プロフェッショナルのプロフェッショナルたる所以?落語家の極意!《スタッフ石坂の落語体験》


先日、初めて高座に上がり落語を披露いたしました。そう、落語です。

 

元々落語には微塵も興味がなかったのですが、そんな僕がなぜ落語に興味を持ったのでしょうか。なぜ落語を披露するまでになったのでしょうか。

 

天狼院には落語部というものがあります。狭い店内に高座を作り、実際に落語家の方をお呼びし、目の前で落語を披露していただく。後半には実際に教えてもらい、参加者が皆さんの前で披露する、という部活動があるんですが。

 

今まで3回開催しておりますが、以前は落語に興味の無かった僕は第1回目に参加いたしませんでした。そして第2回目。その日はたまたまシフトが入っていましたので、参加したい、したくないに関係なく落語部の場にいたわけです。当然それまで落語を聞いたことはありませんでしたので、その日が僕にとっての初体験でした。すると落語家の泉水亭錦魚さんのお話がまあ面白かったのです。休憩を入れて約1時間、お話を聞いたでしょうか。

その後は実際に私たち参加者が落語を披露するというアクティビティがありました。といっても私たちは何も用意しておりません。まずはお試しにと、希望者が一人ずつ裏へ下がり、1分ほどのネタを即興で教えてもらいます。1分くらいのものだったらすぐに覚えることが出来ました。一番最初に僕が披露したのですが、1分とはいえ、ちゃんとしたネタです。最後のオチの部分では、皆さんがポッと笑ってくださいました。それが気持ちよくて。僕はこの瞬間、完全に落語の虜になりました。他の参加者の方も錦魚さんに教えてもらったネタで笑いを取っていました。自分の話で人が笑ってくれる。これはかなりの快感なんですよ。

 

落語部の最後、錦魚さんが10分程度のネタでシメてくださったのですが、その際に録音許可が下りたのです。そして次回このネタを実際に披露してくれたら、その場で指導していただけると。実際のネタを教えてくれる機会ですらそんなに無いのに、指導までしていただけるなんて、こんなチャンスは滅多にありません。次回にぜひお願いしたいと思い録音させていただきました。それが第2回落語部のことです。

 

そして約1ヶ月後の第3回落語部。いつものように錦魚さんのお話の後に、いよいよ僕の番が回ってきました。ネタの道順と言いましょうか、話す順番は8割方覚えてきましたので、難なくとはいかないまでも、ある程度は出来る自信がありました。

 

しかし実際は、僕がイメージしていたものとはかけ離れていました。話の中には小さなネタ、いわゆる小ネタがいくつかあります。そのたびに小さな笑いが起きる。そんなイメージをしていたのですが、その小笑いが起きません。心の中で「ここだよ~。ここで笑うんだよ~」と教えたくなるほど。

確かに僕は台本を完璧に覚えた訳ではありませんので、所々つっかえた部分はありましたが、重要な箇所ではなかったので、あまり気に留めておりませんでした。最後のオチも期待していたほどの笑いは起きず、「ははは」程度でした。「おかしいな~」と思いつつ高座を下り、次の参加者の話を聞きました。

するとなぜ?と、予想していたほど笑いが起きなかったのか、それがわかりました。

 

まず、僕も、僕の後に披露された参加者も、共通していたことは、完璧には覚えていないということでした。ですから所々つっかえたり止まったりするのですが、そうすると聞き手とすれば「頑張って!」という気持ちになってしまいます。話を聞くと言うよりも応援しているようなイメージ。そんな心理状態では、心から笑うことは出来ません。「面白い」という感情よりも「よく言えたね!」という安堵の方が上回るからです。

 

では、完璧に台本を覚え、スラスラ言えればいいのでしょうか。否。仮に台本を覚えるだけでいいのなら落語家というプロフェッショナルとしての職業は存在しません。暗記だけでは足りない部分。それがプロフェッショナルのプロフェッショナルたる所以です。

 

落語は当然ですが、すべてを一人で話します。つまり複数の人間を一人で「演じ」なければならないのです。口調や声色をかえるだけでなく、仕草も変えねばなりません。そして一番重要なこと。これは落語を聞くだけでは気が付きませんでした。

実際にやってみて分かったことですが、「話す方向」が大切なのです。つまり、話の中に登場するAさんは常に左側を、Bさんは右側を向きながら話します。これは話を通して、基本的には変わりません。口調・声色・仕草・方向。これらを意識すると、聞き手は登場人物を混乱することなく理解でき、物語に集中できるのだとおもいます。言い換えれば、聞き手が安心できるということかもしれません。

 

しかし実際にやってみると難しい。話しているうちに、方向がごっちゃになってしまうのです。Aさんは左向きで話さなくてはならないのに、急に右側を向いたり、かと思えば左に向き直したりと。まさにプロの技ということでしょうか。

 

前座とよばれる修行期間は5年ほどと聞きました。5年かかるものを、僕はたった1ヶ月でやろうとしていました。そりゃ出来るわけありません。まさにこれが、プロのプロである理由です。

 

しかし、1ヶ月後の第4回天狼院落語部では今回指摘してもらった修正点を改善し、またやってみようかな。やはり人に見てもらうことが一番成長できると思いますから。

 

そんな次回、第4回天狼院落語部は8月28日(木)を予定しています。プロフェッショナルの技をぜひ見てみてください。いきなり寄席に行くのは敷居が高いかもしれませんが、天狼院落語部ならお気軽にお越しいただけますね。実際、天狼院落語部で初めて落語を見て、「落語にハマった!」というかたも多くいらっしゃいます。最初はぜひ、天狼院落語部でいかがでしょうか。もちろん、僕の落語もお楽しみに。

では、8月28日にお会いしましょう~

 

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2014-08-02 | Posted in チーム天狼院, 記事, 部活

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