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寒い家は、恐怖の館である。


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記事:MDR(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
寒い家は、恐怖の館。どんな恐怖かといえば、健康にまつわる恐怖。
寒い家は、家の中でさまざまな危険に遭遇するリスクがとても高い。
寒い家は、おばけ屋敷よりもずっとずっと怖いのです。
 
設計事務所を主宰する建築士として、寒い家のリスクを多くの人に知ってもらいたいと思っています。しかし、かく言う私の70代両親の住まいも、断熱性能の低い家。築25年で窓はアルミサッシのシングルガラス(ガラスが1枚)、冬は家の中でマフラーをして暮らしています。それでも本人たちは「別に寒くない」と言っており……。実はこの断熱問題、今住んでいる家への愛着や慣れもあって、多くの人にとってなかなか向き合うことが難しい問題でもあるのです。
 
まずは両親を説得するつもりで、寒い家の恐怖をお伝えしたいと思います。
ゾ~っとするお話、はじまりはじまり……。
 
1・ヒートショック
お風呂に入る時、裸になって寒い寒いと言いながら、熱いお湯にドボンとつかる。そんな入り方をしていませんか。ヒートショックとは、暖かい部屋と寒い浴室などの温度差により血管が収縮し、失神や心筋梗塞が起こることです。年間19,000人以上が亡くなっており(平成25年)、その数は交通事故死者数の約5倍にものぼります。時期を見ると、1月の入浴中心肺停止者数は8月の10倍以上で、浴室の寒さが直結していることがうかがえます。脱衣室と浴室などを移動する際、10℃以上の温度差は危険といわれます。あなたのおうちはいかがでしょうか。
 
2・高血圧
日本人の死因はがんを除けば、心疾患・脳血管疾患・肺炎が多く、その危険因子は高血圧です。寒い家で、暖かいふとんの中から意を決して寒いトイレに行くようなとき、汗が蒸発して体温が下がる→血管が縮む→血圧が上がる、といった血圧の変化が日常的に起こっています。実は研究によって「高血圧は室温との相関性がある」ことが明らかになっているのです。断熱改修をして起床時の室温が10℃から20℃に上がると、60歳の人で8.5mmHg血圧が下がるという研究成果もあります。
 
3・アレルギー・ぜんそく
窓がアルミサッシのペアガラス(ガラスが2枚)という程度の家で多いのが、「結露」です。結露は、室内の余分な水分が冷たい窓などで冷やされて水になったもの。その水分とホコリの栄養分で、カビを発生させます。結露は、窓だけでなく壁の中でも発生するので、壁をはがすとカビだらけ……ということも、リノベーション現場では良くあること。カビは、呼吸器官に悪影響があり、アレルギー疾患やぜんそくの原因となってしまうのです。
 
そのほか、冷え性になって免疫が下がるとか肌荒れがひどくなるなどまだまだ挙げられますが、健康以外の恐怖もありますよ。それは、暖房が使えなくなる可能性があること。
日本のエネルギー自給率は約6%。暖房の熱源である灯油やガスは、ほぼ外国に頼っています。ということは、世界情勢の変化によって、灯油が無くなる、またはあっても価格高騰で十分に使えない、ということも起こりえるということ。また、高齢になって灯油を運ぶのも負担になる可能性も、ないとは言えませんよね。
 
ゾ~っとする寒い家の恐怖、ご理解いたただけたでしょうか。これを聞くと、じゃあ暖房をふんだんに使えばいいと思うけれど、家じゅうの温度差を無くすほどの暖房はもったいない気がして続けられないもの。ここは一つ思い切って、新築やリノベーションの段階で、建物に十分な断熱性能を持たせることを考えてみてほしいと思います。
 
方法はたくさんあります。家全体ではなく主要な部屋と風呂・トイレだけ断熱したり、窓は既存のものを残して二重窓にしたり。エアコンの性能も一昔前とは比較にならないほどアップしていて、きちんと断熱された家ならエアコンだけで暖房もまかなえます(ちなみに電熱式ヒーターは非常に効率悪いのでNGですよ)。
 
建築業界も、ここ数年で断熱気密に関する意識がぐぐっとアップデートされました。10年以上前なら、断熱材をただグイグイ入れただけの施工もありましたが、今はそれだけでは結露の危険があることも知られてきました。まっとうな業者さんを探すのはなかなか難しいことですが、断熱や気密の施工法を質問してみて、真面目に答えてくれるというのを一つの判断基準にするのもいいかもしれません。断熱気密は方法も価格帯もバリエーション豊富で、どこまでを求めるかは悩ましいですが、今ならきっとちょうどいい断熱が形にできると思います。
 
冬でも、我慢や無理はしなくていい。
おだやかな室内環境のなかでゆっくり暮らすのが、これからの豊かさなのだと思います。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-09-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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