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メディアグランプリ

カカア殿下のススメ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:月見里悠季(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「えいこさん、買ってきたよ!」
嬉しそうに母に買い物してきたことを報告する父、
初めてのお使いじゃあるまいし、そんなに嬉しそうに報告しなくてもいいのに……
そんな事を私はぼんやり考えていた。
 
思い返せば、私が両親と一緒に暮らしていた頃は、いつ機嫌が悪くなるか分からない父に、いつも弟と一緒にびくびくしながら、気を使って暮らしてた子供時代。両親のケンカも絶えなくて、いつ爆発してもおかしくない地雷の上で暮らしてる様な毎日だった。
 
あの記憶は嘘なのかと思うくらい、私が大人になってからの父は以前とは違って、母との激しい夫婦ケンカを見た覚えがない。
 
私が子供の頃に見たケンカはいつも私たち子供のことが理由でした。
普段、余り家にいない父が、子ども達の言動が気に食わないのか急に怒りだし、さっきまで凪いでいたその場の空気が荒れ狂う。どこが発生ポイントか分からないまま、何の準備も無く大海に出てしまった手漕ぎボートの様に一気に心細くなる。風で飛んできた小枝が命中して、ケガするかのように、両親の言動に心がどんどん傷ついていく。
 
私や弟の事で怒りだした父を止めようとして口を出してケンカになる母、身代わりにケンカしてくれて居る母を残し、その場に居られなくなった私は弟と一緒に2階に隠れるのがいつものパターン
 
何でいつもこうなんだ!何で仲の良い家族になれないんだ!
友達の家に行くと、いつも仲良さそうな両親と笑顔で会話してる、まるでリカちゃんハウスの様にキラキラしてスマートな関係が、理想の家族像を見てるようで憧れました。
 
でもうちの場合はそうはいかない……。
同い年の両親は学校で接点のない小学校の同級生、父はガキ大将、母は優等生の真逆な2人、お互い気が強くて、自分の意見が正しいと思い、はり合う両親、これじゃケンカが多くても仕方が無い。子供たちの事でいつも言い合いする両親を見て、「早くこの家を出ていこうね!」と、弟によくそう言っていました、それは子供心ながらにわたし達が居なければこんなにケンカすることないんじゃないかと思ってたから。
 
一度母に「なんで離婚しないの?」と、聞いてみました、すると母は「あなた達の生活費を私一人では稼ぐの大変だからだよ」と教えてくれた、「ならば私が中学校に行かないで働くから離婚して!」そう言ったけど、母は首を縦に振らずに悲しそうな顔をするだけでした。
 
いつもその場の感情で怒りだす父に、そんな父の愚痴を私に話す母、5歳年の離れた弟、母と弟は私が守らなくちゃ!と思い、どんどん年を取るごとに歯向かっていきました。
 
私が高校生になったある日の事、父とケンカになり手をあげた瞬間、「殴りたければ殴れば! それでも私は自分の考えで生きていくから」そう言うと父はぼそっと一言、「もう殴らない……」そう言って去っていった後ろ姿は何だか寂しそうでした。
 
思い返せばその頃から父は少しずつ変わっていったのかもしれません、怒る事はあっても私に手を出すことが全く無くなりました。
専門学校に通い出した私は家に寄りつかなくなりました、学校から家までの距離が遠いという事もありましたが、いつ噴火するか分からない父に、気を使う生活に無意識に疲れていたのかもしれません、家族に気を使うなら自分の事に気を使いたい。
 
最初は心配していた母も少しずつ理解してくれて、時々連絡入れれば平気になっていきました、母は私のことを分かってくれる良き理解者、いつも私達子どもを守ってくれて有り難い存在だけど、父と一緒じゃ幸せにならないと思っていました、でもその考え方が一変する日が来るなんて思いもよりませんでした。
 
私も結婚適齢期になり、無事に結婚して子どもも出来ました。慣れない生活に戸惑い、育児や家事を行っていく中、自分が親になると不思議なもので、両親の行動や言動が分かる様になってきます、父が厳しい仕事でも頑張って長年同じ場所で働いて、稼いできてちゃんとわたし達を育ててくれた事、母が切り盛りして、子ども達の事を守り、正しいと思う方向へ導いてくれた事、2人の愛情が分かる立場になった時に、私は長年嫌ってきた父の事が本当は大好きだったんだと気が付きました。
 
私がそう気づいたからこそ、平等に両親を見られるようになったからか、それまで母は父にいつも怒鳴られて、可哀想な人だと思ってたのですが、よく良く見てみると結構好き勝手なことを文句言ってる母、それを苦笑しながらも歩み寄ろうと努力してる父、それでも2人楽しそうにしてる両親を見て愕然としました……実はトムとジェリーだったの!?
 
母が言っている事も結構キツイ言葉だったりして、父が可哀想だと思う日が来るなんて本当にびっくりしました。私が言われてもカチンと来そうな言葉を苦笑しながらでも寄り添おうとしている父、一時期、熟年離婚なんて言葉が流行り、うちもそうなるのではないかと心配していましたが、今はむしろ形勢逆転!?毎日外に飛び回る遊びに忙しい母に、家の中にこもって料理や家事をしている父
 
今の時代を表すかのように、男尊女卑から男女平等の様に、今まで父の世話をしてきた母も今は父から世話をされたりして……お互い好きな事をしてる生活だからこそ、ストレスためずに好きな事に言うようにしてる様で、この夫婦の間には入れない絆がある様に私には見えました。
 
手の付けられない狂犬の様な父が、飼い主に褒められたい子犬の様に見える日が来るなんて……私の目の錯覚だと思いたいが、これが今の2人の現実なのだろう。長年2人を見てきた子供の私としては、一緒に暮らしてる時にそうなってもらいたかったと思うが、これもきっとお互いの時を重ねたからこそ出来上がった絆なのだろう。
 
亭主関白よりもカカア殿下の方が家族はうまくいくなんて言葉があるが、まさにこの2人が見本の様に、この言葉の立証を長年かけて体現した両親を見て、世の中にぜひとも伝えたい。
 
女性の夢を男性が叶えて上げたことで、家が出来たり、道が出来たり、家電が出来たり、世の中は良くなっていきました。大きなことでも小さなことでも、女性の困ったことを解消したいという夢を現実化させていく男性にどんどんなって行くと結果、幸せな家庭になっていくのではないかと思っている私です。
 
 
 
 
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2019-11-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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