メディアグランプリ

ボーナスが増えても嬉しくなかった

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:楢原 直人(ライティング・ゼミ5月開講通信限定コース)
 
 
「何のために、この仕事を続けているのか。」
特に何もない、ふとしたときに分からなくなること、ありますか?
 
新卒で入社した会社に勤め続けて、それなりに仕事もできるようになった。
恋人がいる、あるいは結婚していて、一緒に将来のことも考えている。
両親も遠くないところに住んでいて、大きな心配もない。
仕事終わりにはたまに飲みに行くし、職場の人間関係も悪くない。
 
けれど、何のためにこの仕事を続けているのか、明確な理由がない。明確な目的がない。
良くも悪くも、変わり映えの無い毎日を繰り返している……。
 
楽しいだけの毎日なら、これでも良いかもしれない。
けど、そんな毎日はあり得ない。
仕事でミスをして怒られる日もあるし、付き合いで気乗りのしない飲み会に参加しないといけない日もある。理不尽な理由で仕事を投げられることもあるし、頑張ったところで誰にも感謝されずに終わる日もある。
 
そんなとき、仕事から家に帰る電車の中で、胸の奥にあった疑問が浮かび上がってくる。
 
「何のために、この仕事を続けているのか。」
 
――――
 
僕自身、こうした疑問が浮かんでくる時がある。正確には、あった。
いや正直に言うと今でもたまに考えてしまうことはある。でもかなり減ったし、出てきた時もすぐに気づいて、また前をむくことができるようになった。
 
僕がそうなったキッカケは後半でお伝えさせていただくが、結論から話すと、こうした疑問を解決するためのたった1つの方法は、自分の軸を明確にすること。それしかない。
 
“自分の軸” と言うと何だか抽象的だけど、簡単に言えば、自分の価値観だ。
 
自分にとって大切なこと。譲れないもの。
いつか成し遂げたいと思うもの。
自分らしさ。
それをする目的。
どんなことが嬉しくて、どんなことが悲しいか。
 
文章にするととてもシンプル。
だけどこんなシンプルなことが、意外と僕たちは、自分でわかっていない。
 
僕の話をさせてほしい。
僕は就職を機に東京に引っ越して、新卒入社した会社で6年目になる。
入社当初は初めての経験ばかりで、学生時代と比べると自由なお金も増え、楽しかった。
けど、小さい変化はあっても、大きくは同じことの繰り返しで、10年〜20年後の想像がつく。そして想像してもワクワクしなかった。
 
3年目の頃には疑問が浮かんでくるようになった。
「何のために、この仕事を続けているのか。」
 
そうした疑問、違和感に耳を傾けることができれば良かったのかもしれないけど、それもできなかった。
友達とお酒を飲んで、笑って、一晩眠ったら、翌朝はまた電車に乗っていた。
そんなことをずっと繰り返していた。
 
今はこの繰り返しから抜けることができた。
キッカケは2年前、入社して4年目の夏のボーナスだった。
 
仕事の頑張りが認めてもらえたのか、その期はそれまでで1番良い評価をもらえた。評価だけでなく、金額としてもそれまでで1番だった。
 
嬉しかった。
金額ももちろんだけど、頑張りを認めてもらったこと、それを評価してもらったこと。それが嬉しかった。
 
と同時に、矛盾しているように聞こえるかもしれないけど、そんなに嬉しくなかった。言うほど喜んでいない自分がいた。
 
成果に繋がる仕事をして、それが認められ、評価されることは、会社に勤めるサラリーマンとしてかなり嬉しい出来事ではないのか。嬉しさランキングの上位に入っている出来事じゃないのか。
 
それなのにどうして、言うほど嬉しくないのか。
これでこの程度しか喜べないなら、これから退職までの40年、頑張れない。
 
この時の感情は、絶望に近かった。
そこから真剣に、胸の奥に押し込んでいた疑問と向き合うようになった。
 
なぜ働くのか。なぜこの仕事なのか。
働くとは、言い換えれば自分の人生の限られた時間をそこに費やすことだ。
その人生の時間を使って、自分は何が成し遂げたいのか。最終的にどんな状態を作り上げたいのか。
 
こうしたことに向き合い、自分の答えを出すことはとても難しかった。
時には一人で、時には誰かに話を聞いてもらいながら、ひたすら向き合った。
 
参考になれば幸いだが、これまでの経験をうんと古い記憶から掘り起こしてその意味を考えたり(記憶に残っているということは、絶対に何かしらの意味を持っている)、お金があればしたいと思うことを挙げてその理由を深堀りしたりした。
 
いま僕は、自分が働く目的、働くことを通して成し遂げたいことを明確に持っている。大切にしたいことを明確に持っている。
 
人々が自分の軸を持って、楽しく仕事をして、それぞれの人生を歩んでいる状態を作りたい。これが僕自身の“自分の軸” だ。
 
“自分の軸” が明確になったいま、目の前で起きる出来事は同じでも、自分の捉え方は大きく変わった。成し遂げたいことがあるから、少々大変なことがあっても頑張ることができる。
 
「何のために、この仕事を続けているのか。」
 
この疑問が胸の奥に眠っているのなら、いまこのタイミングで、ぜひ向き合ってみてほしい。
けっっっこう大変だと思う。けれどだからこそ、それだけの価値が絶対にある。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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