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教育的レジャーのヒミツ


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記事:大越香江(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
コロナ禍以前。我が家には教育的レジャーという名のお出かけがあった。
 
「今日は抹茶パフェを食べに行こう」
「やった〜」
 
思い立って、宇治の平等院に行くことにした。
子どもの塾の授業で歴史が始まったからである。
平等院は藤原頼通が父道長の別荘を寺に改めたものである。10円玉で有名だが、この写真がよく社会の試験に出るのだ。別荘を建てたのは「藤原道長」だが、寺としたのは「藤原頼通」と覚えておかなければならない。ついつい「藤原道長」と書いてしまう。
子どもたちがこの先、平等院の問題を間違えることのないようにという教育的配慮により、「教育的レジャー」に出かけることにしたのだった。
 
しかし、お勉強のために行くと言えば子どもたちは嫌がるに決まっている。
そこで、「抹茶パフェを食べに行く」と言う作戦だ。
宇治は抹茶パフェで有名なのだ、と説明する。
「宇治の平等院に行った後、抹茶パフェを食べよう」
平等院についてだけではなく、宇治がお茶の産地であることも学べる。
 
平等院鳳凰堂の阿弥陀如来坐像、壁に取り付けられている雲中供養菩薩のレリーフを拝観する。雲中供養菩薩は、楽器を演奏したり、踊ったりしている楽しい仏様で、私は昔から本尊の阿弥陀如来よりも好きなのだ。
たくさんの菩薩様がいるので、人によってそれぞれ「推し」が違う。この菩薩様には一体ずつ番号が割り当てられている。
 
「ママのイチオシは、南2号なんだよね」
「ふうん」
「どこがいいの?」
「この、何かぶら下げてる感じかな」
「何を持ってるの、これ? 釣りでもしてるの?」
「天蓋っていうらしいよ」
南2号の菩薩は天蓋を吊り下げた棒を持ち、その天蓋の方向に優しげな視線を向けている。楽器を演奏するわけでもなく、踊っているわけでもないが、私の昔からのイチオシの菩薩様である。
 
庭から、池と鳳凰堂を眺め、写真におさめた。
「この場面、試験に出るよ〜」
と言ったが、子どもたちに通じたかどうか。
「ママ〜そんなことより、抹茶パフェは?」
「暑い〜疲れた〜、抹茶パフェ〜」
 
カフェに入って抹茶パフェを注文しようとしたが、ガイドブックに載っている店はどこも行列だ。子どもたちはケンカばかりしてうるさいので、おしゃれなカフェなどもちょっと厳しい。参道を行ったり来たりして、ようやく比較的空いている店に入ることができた。
 
抹茶パフェを注文した。
巨大な抹茶パフェが3つきた。
 
ここで重要なことは、写真を撮ることである。
必ず、証拠写真を撮っておかないと、
「え〜、そんなところに行ったっけ?」
「え〜、そんなの食べたっけ?」
と子どもたちに言われてしまうからである。
 
抹茶パフェを食べている証拠写真を撮りまくってから、食べた。
これで、宇治といえば、抹茶パフェ……ではなく、お茶と平等院鳳凰堂という記憶は定着したであろうか。
 
ちなみに、「平等院鳳凰堂と抹茶パフェ」と同様の歴史的建造物とスイーツの組み合わせには、
「法隆寺と柿ソフトクリーム」
「三内丸山遺跡と栗ソフトクリーム」
「大山古墳(仁徳天皇陵)とGORYOラテ」
などがある。
 
「柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺」といえば、正岡子規の有名な俳句だ。法隆寺の門前の店では、柿ソフトクリームを食べることができる。
ちなみに、法隆寺のある奈良県は、都道府県別柿の生産地ランキング2位である。
法隆寺に出かけ、門前の喫茶店で柿ソフトクリームを食べている写真をパシャパシャと撮った。法隆寺、正岡子規、柿、生産2位……これで、きっと忘れない、はず。ちなみに、柿うどん、という名物もある。スイーツが苦手な人にはそちらがいいかもしれない。
 
三内丸山遺跡は青森県にある縄文時代の遺跡であるが、栗は三内丸山遺跡で建物の材料として使われたり、縄文人が食用に栽培したりしていた。栗は、縄文人の貴重な炭水化物だったのだろう。
遺跡のレストランで栗のソフトクリームを食べている写真を撮影。これで「三内丸山遺跡といえば、栗」と記憶が定着すればいいのだが。
 
大山古墳を訪れた際には、堺市役所展望レストランで古墳を眺めながら前方後円墳を描いたラテを飲むなど。前方後円墳というのはなかなか洒落たデザインだと思う。
 
そう、私の教育的レジャーのヒミツとは、美味しいもの(たいていはスイーツ)とセットにすることと、必ず記念撮影をすることである。そして、アナログだが、ノートに切り貼りして記録しておく。歴史のノートだかスイーツの記録だかわからないのが玉にキズ。
 
これで社会の点数が上がるかどうかは、これからの検証が必要なのだが。コロナ禍でこれらの「教育的レジャー」にも行きづらくなった今、貴重な記録である。
もっと行きたいところにどんどん行って、食べたいものをどんどん食べておくべきであった。
次はいつ、「教育的レジャー」に行けるのだろうか。
 
 
 
 
***

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2020-08-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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