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私の沼はどこにもないけど何が悪い!?


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:yocca.(ライティング・ゼミ通信限定コース)
 
 
私の小学校低学年の息子は発達に凸凹があり、自閉症スペクトラム障害の診断を受けている。知力には問題はないものの、コミュニケーション能力や社会性に乏しい。そして物事に対する「こだわり」も強い傾向にある。
 
そのため、私は息子と一緒に支援プログラムをいろいろと経験してきた。内容はざっくり言うと「好きなこと、得意なことを褒めて伸ばす」プログラムであることが多いのだが、これは支援が必要な子だけでなく、あらゆる人に効果があるものであることが多い。
今回は、息子のこだわりをリフレーミングした結果、親である私のコンプレックスが解消してしまった話をしようと思う。
 
息子の長所を伸ばす支援の中で、度々「リフレーミング」という手法が用いられることがある。リフレーミングとは心理学でよく登場するもので、物事を見る視点を変える手法のこと。同じ物事であっても、受け止め方や感じ方を変えて現状を見直そうとするものである。
 
息子のこだわりは「東京の地下鉄」。本やネットを駆使し、路線と駅名、車両を数か月でほぼ覚えてしまった。用事で東京都内へ出かけるときは、息子がルートを設定し、たとえ遠回りになっても複数の地下鉄を利用する。変に断ればパニックを誘発して本来の目的地にも行けなくなることもあるので、私たちは可能な限り息子の指示通り移動する。その結果、目的地まで通常の時間の2倍以上かかることもあり、親としては鬼の乗り換えと長距離移動でもうヘトヘトである。
 
彼のこだわりぶりは、いわば底なし沼。これが続くと困るので、「地下鉄へのこだわりは何とかならないか?」と医師に相談したところ、「こだわりが地下鉄博士として花開いて、とってもいいじゃないですか~!」と褒められてしまった。
私がマイナスに捉えていた息子の「地下鉄への強すぎるこだわり」を、医師が「とことん突き詰める研究者」と言い換えることで、彼の強すぎるこだわりを、あっという間に長所にしてしまったのである。結局、息子には地下鉄にとことんこだわってもらうことになった。
 
状況は全く同じなのに、捉え方を変えて褒められると、困っていたはずなのになんだか気分が良くなってしまった。
気持ちが前向きになると、「どうせなら運賃を使って計算練習させちゃおう!」とか、「時刻表を使って時間を覚えてもらおう!」とか、いろいろとアイデアが思い浮かぶもので、気付けば息子の地下鉄へのこだわりを上手に利用する方法を考えるようになっていた。
 
一見マイナスに思えることも、見方一つでプラスに変えられる。
この一件以降、息子のつまずきを一度リフレーミングして、できるだけプラスの気持ちに置き換えられるようにしている。
 
こうして我が子のためにリフレーミングを覚えたわけだが、ある日、あることに気づいた。
「自分のコンプレックスも同じようにリフレーミングしてみたら、何か変化があるのではないか?」と。
 
私の数あるコンプレックスの中で、一番自分を苦しめていたのが、「好きなモノや好きなコトを聞かれても、胸を張って“ これ! ” と言えない」こと。
 
興味ひかれるモノ・コトは数多くあるのだが、どれもフワフワ~っと好きなだけ。そこから深堀りして知識を深めようとすると、なんだか飽きてしまって、別のことに目移りしてしまう。アラフォーになってもなお、“ 沼にはまる” 感覚を味わったことがなく、沼にはまっている人を見てはモヤモヤしていた。
 
そんな自分の性格をリフレーミングしてみた。
 
「何事も深堀りできず、飽きっぽく意志も弱い性格」
という、ペラペラで薄い感じ丸出しの私が、一瞬にして
「好奇心旺盛で柔軟性を持ち合わせた性格」
と、何ともポジティブな人物に変化してしまった!
ここにいる私は何も変わってないのに、不思議である。
 
そして「好奇心旺盛で柔軟性がある」という視点で自分を見つめ直してみると、
・相手のどんな話も、興味をもって聞ける。
・知識は浅いが広いので、いろいろな人の話についていける。
・自分のアンテナに引っ掛かるものが世の中に沢山ある。
と、自分のプラス面がニョキニョキと顔を出してきた。
 
確かに、思い当たることはある。
もともと夫にとっての沼である、歴史や仏閣のあれこれ。夫が楽しそうに説明するのでほほえましく思って聞いていたら、私も彼の趣味を一緒に楽しめるようになった。
それに、最近ライティングの勉強でいろいろなジャンルのテーマに触れる機会があるのだが、どれも何かしら発見があってワクワクする。
ここまできて、「そうか、私はもう無理して深い沼を探す必要なんてないのか!沼がなくてあれこれ目移りするのは、強い好奇心と柔軟性の証拠」。そして、「これが私なんだ!」と心が少し軽くなった。
 
マイナス面をプラスに置き換えることができる、リフレーミング。
ただ「言葉の置き換える」だけともいえる行為なのに、気持ちや価値観が変わることがあると、身をもって知ることができた。
 
発達障害のある子に対する支援から学ぶことは多い。そして最近、子どもの心を軽くして健やかに成長してもらいたいと取り組んだことが、自分の心にも効果があることを知った。私は子どもを支援しているのではなく、私は子どもに支援されている、ともいえるだろう。こうなると、もはや子どもには感謝の気持ちしかない。
 
 
 
 
***
 
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2020-08-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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