今時の女子高生はUberEatsを学校に呼ぶ
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記事:鈴木(ライティング・ゼミ日曜コース)
女子生徒Kさん「ねぇ、先生。お昼、学校にUberEatsでピザ頼むと楽しいよ!」
私が経営する塾で教えている生徒に言われた言葉だ。
私は驚いて、すかさず他の高校の子にも聞いてみる。
私「何それ? ねぇねぇ、Sさんの高校でもUberでお昼頼むの?」
女子生徒Sさん「いえ、頼みません。学食あるんで」
私「Kさん、学校、そういうの大丈夫なんだねぇ」
女子生徒Kさん「うん。学校の先生も校則に載ってないからいいって。まあ、A高校だし。校門まで取りに行くんだ」
私「他の人も頼んだりしている?」
女子生徒Kさん「私たちだけ」
少し補足をすると、このA高校というのは神奈川県にある県立のかなり入りやすい高校だ。学区の中では内申点で並べたら下から数えた方がよほど早い。
普通は高校にUberEatsを呼ぼうなんて考えもしないだろう。
でも、彼女たちは当たり前のように呼んで学校のお昼で楽しむ。
みんながやっているわけでもないそうなので、恐らく、高校3年生でもう卒業だし、といった先生の配慮があるのかもしれない。
高校で教えている勉強の内容というのは、30年前の私の時代とあまり変わらない。
でも、子供たちが手にしているものは違う。
私の高校時代は、PHSもまだなく、せいぜいポケベルしかなかったのが、それがスマホになった。
学校にいても、外の世界とつながっている。
なかなか日本では許可が下りないが、もう少ししたらUberTaxiで通学する高校生たちも出てくるだろう。子供たちはそもそも、行く方向が同じなのだから乗り合いしたら安くすむ。
皆が使い始め、高校の前にUberTaxiの渋滞というわけにはいかないだろうから、最初は怪我したとき以外は禁止などといわれるだろう。
ただ、社会的に日常の足としてUberTaxiが使われだすと、今度は学校側がプラットフォームを整えるようになる。
つまり、自転車で来るのもUberTaxiで来るのも好きな方を選べるようになるということだ。
昔から、医者の娘だったりすると、学校まで高級車であるジャガーで送迎されている子がいたりもする。送迎されるのは特別な子だけだった。
誰もが自転車のように使えるようになる時代がいますぐそこに来ている。
UberEatsにしても別に本当は新しくない。
言ってみれば、出前なわけだから。学校の先生たちだって、来客があったりすると頼んでいたはずだ。
でも、かつては生徒が高校に出前を呼ぶというような発想自体が出なかったのではないだろうか。
50年前も、車も出前もあったが、生徒では誰も高校に呼ぶことはなかった。
何が変わったかといえば、子供たちの意識が変わったのだ。
一部の人しか使えなかったサービスをみんなが使えるようになる。
これが今起きている大きな変化だ。
かつて、携帯電話にドコモのインターネット、iモードが入った時、銀行の残高を携帯電話で確認できるようになったときはすごいと思ったものだ。
当たり前の話をするようだけど、私たちのこの生活は、1600年代に将軍だった徳川家康だって手にすることも想像することすらできない生活だ。
そうやって考えると、今、一部の高所得者だけが手にしているプライベートジェットだって、恐らく、近いうちに誰もが利用するようになるだろう。
Uberはすでに2023年にはダラスとロサンゼルスで「空のライドシェア」を事業化すると言っている。その仕様は4人乗りで一人のドライバーが操縦するeVTOL(イーブトール:電動垂直離着陸機)によるものとなっている。(eVTOLはドローンのような形になることが予想されている)
Uberは、車を所有するよりも「空のライドシェア」の方が経済的だといわれるところまでもっていくことを目標としている。
UberはeVTOLを普及させるだけでなく、所有からシェアにするという部分でも変革を行っている。若い人たちが車の所有をしなくなったといわれているが、それは稼働率を考えてみても所有という行為自体が時代遅れになってきている部分はある。
国土交通省の調査によると、少し古いデータだが2010年時点でも、全国平均で一日一人あたりの車の使用回数は1.08回だという。(三大都市圏では0.77回、地方都市では1.40回)
そして、その1回あたりの平均使用時間は26.3分とのことだ。
稼働率は365日のうち、1日1回使っていると考えるなら稼働率は100%ということになるが、1日24時間のうち、約30分しか使用されていないというのならば、稼働率は30分÷1440分=0.0208→約2%だ。
つまり、98%の時間は使用されていないということになる。
国内の乗用車の台数自体は約6,200万台(2019年)あり、世帯数は約5,000万世帯(2020年)とのことなので、一家に一台あると数字上ではなっているが、稼働率2%のために所有する必要があるのかというところは非効率以外なにものでもないということになっていくのだろう。
先の女子高生が10年後に母親になったとき、UberEatsを高校に呼ぶことですら、「昔は食事を人が運んでいたんだよ」と言って驚かれる時代はすぐそこまで来ている。
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