高級寿司屋で気付いた食の楽しみ方
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:村人F (ライティング・ゼミ 超通信コース)
「寿司が食べたい」
とある休日、私の頭にはこの言葉がずっと頭に浮かんでいました。
行こうと思ったのは、某回転寿司チェーンのお店です。
しかし、なかなか踏ん切りがつきませんでした。
理由は単純、お値段を気にしていたからです。
私は回転寿司では10皿以上食べるのですが、そうなると結構な金額になってしまいます。近所に全皿100円の店もありませんので、玉子のようなお手頃価格から大トロなどのリッチなネタまで食べると、2000円以上の出費になります。
そうなると、ラーメン2杯分の値段になるわけです。
そのため、そこまでお金をかけたくないなあとウジウジ悩んでいたのです。
このとき、電流が走りました。
「ちょっと奮発すれば、回らないお寿司屋に行けるんじゃないか」
そのことに気付いたのです。
皆さんも、回らないお寿司屋さんは回転寿司に比べて、かなり高級な印象を持たれているでしょう。
しかし、回転寿司も食べざかりの人だったら、結構な金額になるわけです。そう考えると、値段はさほど変わらないのです。
ということで、ここは思い切って高級寿司屋に行ってやろうと頭を切り替えました。
選んだのは、近所で一番高かったお店でした。
ランチで9貫しかないのに、4000円もするトンデモナイ価格です。
その高級寿司屋に、ワクワクしながら行ってきました。
最初に驚いたのは付け合わせです。
普通の寿司屋だったら、ガリのみになります。
しかしそのお店では、ガリに加えてセロリもついてきたのです。
寿司屋でセロリです。このギャップにいきなりやられました。
肝心の寿司もビックリの連続です。
まずシャリが白色じゃない。少し茶色がかった色をしています。使っている酢が違うのでしょうか。
更に醤油をつけるなど、自分で味付けする必要がありません。
職人が1貫ごとに最良の状態にしてくれるから必要ないのです。
寿司の出し方も素晴らしいものでした。なんと1貫ずつ出してきたのです。
1つの皿に9貫全部が乗っているスタイルではありません。
これの何がいいかというと、寿司を食べるときに論争になる、白身を先に食って赤身は後にするのが通だとかいう、順番を考える必要が一切ないわけです。
職人のお導きのままに食べていけばいいので、集中して目の前の寿司と対面できます。
そしてイカ、アジ、エンガワと、ネタのランクがどんどん上がっていきます。クライマックスのウニが出てきたころには、ちょっとした大作映画を見終えたような気分になりました。
ここまで読まれて「でも9貫しかないんでしょ、そんなんじゃお腹いっぱいにならないよ」と思われた食べざかりの方もいらっしゃるでしょう。私も最初はそう思って、隣のカレー屋をハシゴする気まんまんでした。
しかし、実際に食べ終えて見ると、わずか9貫だけなのにお腹いっぱいになったのです。
その理由は噛む回数にありました。
皆さんも「お米は飲み込むまでに30回以上噛むといいんだよ」というお話を聞いたことがあるでしょう。
しかし、今回1貫の寿司を飲み込むまでに噛んだ回数は、60回を超えていました。
ものすごくよく噛んでいたのです。
そうなるのも無理はありません。なんせ9貫で4000円です。つまりイカのような回転寿司だと1皿120円で食べられるネタも、大トロと同じ値段になっています。
そのため、すぐに飲み込んだら大変もったいないわけです。こんなに高いんだからじっくり味わってやろうと、自然と口の中にキープするようになりました。
そうなるとよく噛むので、満腹中枢がいっぱい刺激されてお腹いっぱいになったのです。
こんな具合に、初めての高級寿司ランチは最高の体験でした。
そして、ここから食事をする上で、大切なことに気付きました。
それは、美味しい食事を味わうときは、その姿勢が非常に大事だということです。
いつもの回転寿司での様子を考えてみると、あの高級寿司屋のように1貫ごとに五感の全てを集中させて味わうことがありませんでした。
サーモンを食いながら、目の前を流れるツナ軍艦の皿を取る。こんな感じで常に雑念と一緒に食べていました。
もちろん飲み込むまでも一瞬です。いろんな種類を食べたいから10回くらいでゴックンしちゃいます。
このように口の中にある食べ物に対して、真摯に向き合っていなかったのです。
しかし高級寿司屋では、1貫ごとに全集中の味覚で味わいました。
そうなると色々な発見が生まれます。
塩と醤油だと、同じしょっぱいでもニュアンスが違うんだな。
ワサビはこの引き締まる感じを与えるためにあるんだ。
そのネタへの切れ込みに行き着くまでに、どんな苦労があったんだろう。
本気で向き合ったお寿司は、出会ったことのない景色を私に見せてくれました。
そしてこの姿勢を与えてくれることも、高級である理由だと知りました。
そのお店では、私が寿司と向き合うときに邪魔になる要素を徹底的に排除しています。
コースですから、次のネタを何にするか考える必要はありませんし、塩で食べるか醤油で食べるかすら決められています。
そのため余計なことを考える必要がないので、心置きなくそのお寿司と向き合えるのです。
そしてお店もゆったりとした雰囲気で、集中できる環境になっています。
このように高級寿司屋は、料理を最高の状態で味わうための環境づくりをしていたのです。
こういったお店には縁がないだろうな、と思われる方もいるかもしれません。
しかし、このランチは4000円で味わえるのです。
ラーメン4杯分です。回転寿司2回分です。居酒屋の飲み放題と同じ金額です。
そう考えると決して手の届かない金額ではないでしょう。
そのうえ、高級寿司で得られる体験は、人生観を変える可能性すら秘めた特別なものです。それを考えると、こちらの方が高いコスパを持っているとすら思えます。
明日のランチに回転寿司を検討している方がいましたら、ぜひ高級寿司屋に変えられないか検討してみてください。ちょっと勇気のいる金額ですが、その価値は十分あると思います。
洗練されたサービスの数々は、最高の食の楽しみ方を教えてくれることでしょう。
***
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
お問い合わせ
■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム
■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。
■天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)
■天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
■天狼院書店「京都天狼院」
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00
■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」
〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168
■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」
〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325
■天狼院書店「シアターカフェ天狼院」
〒170-0013 東京都豊島区東池袋1丁目8-1 WACCA池袋 4F
営業時間:
平日 11:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
電話:03−6812−1984