沼にハマって書いてみた
*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:樋口 紀子(ライティング・ゼミ平日コース)
やられた……天狼院は沼だ。
私はただ、その日、心斎橋にできた新しいパルコに散歩に行っただけなのだ。
大阪初出店の美味しいものを堪能して、ご機嫌でエスカレーターを上がっていった。それがまさか危ない沼への入口だったなんて、その日の私は思いもしなかった。
9階についた。
新しいパルコも十分堪能したと思ったその時、本屋さんがあるのに気が付いた。
流行りのカフェ併設の本屋さんじゃない。その割には小さいな……
そんなことを思いながら覗き込んだ。
店頭に平積みにしている本は、ベストセラーではない。見たことない本ばかりだ。 専門書の本屋さんなのだろうか?
店員さんのおススメは、普通の本屋さんのようについている。
「当店のライティングゼミの卒業生の本です!」と書いてある。
……ライティングゼミ?? 本が書けるようになるゼミがあるの?
目が釘付けになってしまったのだ。
「ズブッ」と一歩目がはまったのは、今思えばその時だろう。
他の棚を見てみることにした。
……んん?? なんだこれは?
真っ黒の袋に包まれた本が並んでいる。
中身は、秘密だが絶対面白いと保証する、というようなことが書いてある。
自分じゃ選ばないジャンルの本、だけど、絶対面白い本、読んでみたいでしょう?
そんな、文章に私の心は釘付けだ。
「ズブズブッ」二歩目がはまったのだ。もう抜けられない。
しかしその日の私は、まだ気づいてはいない。
ここで、沼への水先案内人が登場したのだった。
にこにこと笑いながら、お店のお兄さんがやってきた。
「おもしろいでしょう? 中身は秘密なんですよ」
いや、まず本屋でお兄さんが、にこにこと寄ってきたことにびっくりしたって。
にこにこお兄さんは、そんなドン引きの私にかまわず、コタツがあることや、様々なイベントがあること、天狼院書店という沼の面白さを語ってくれている。
そこで私が聞いてしまったのだ。
「ライティングゼミ卒業生が書いた本ってありましたよね?」
そうだった。
「開けゴマ」を言ってしまったのは、間違いなく私自身だ。水先案内人のお兄さんのせいではなかった。
にこにこお兄さんが、かっこいいパンフレットを持って来てくれた。
パラパラ見ただけでも、いろんな講座がある。本好きなら、ちょっとでも文章が上手になりたいと思う人なら、どれも受けたくなるネーミングじゃないか。
そこで読みふけってしまいそうになり、お礼を言って、そっとカバンにしまったのだった。
やっぱり家に帰って、しっかり読み込んでしまった。
ちらちらと知らない言葉が目に入ってくる。
「ABCユニット」「リーダビリティ」……作家の人は、そんなことを考えながら文章を編んでいるのか。面白い、引き込まれる文章の、その底に一体何があるのだろう。
それが知りたくなってきていた。
パンフレットの奥にある、沼の底を見たくて、もう顔も突っ込んでいたのだ。
一旦は、諦めた。
どこにも何にも発信していないパートのおばちゃんが、何しに行くのか?と。
夜8時に心斎橋に行って帰ってくるなんて、片道一時間も電車に乗って通うのは絶対めんどうになるはず……と。
それでも、いつかその秘密を知りたいという思いは消えず、そっとパンフレットをしまっていた。
それからどれくらいたっただろう。
自分の書いた文章をやっとインスタグラムに載せる勇気が出たころ、フェイスブックに「天狼院ライティングゼミが、オンライン講座になりました!」とお知らせが流れてきた。
もうそれを知ってもいいインスタグラム発信という理由があり、オンラインなのでで、通うのがめんどうという理由はなくなっていたのだ。
とうとう、申し込んでしまった。
そしていま、その秘密を講座で教わりながら、見よう見まねながらも、一人前に毎週締め切りだけには、追われている。
締め切り……わざとつかってみたくなる、かっこいい響きだったりもする。
そんなことをインスタに載せていると、ライティングゼミを受けたくなって申し込んだ友人が、なんと二人もいる。
みんな「締め切り」のフレーズにはやられてしまうのだろう。
ようこそ、友よ。天狼院の沼へ。
気が付けば、私は水先案内人までやってしまっているではないか。
グランプリへの掲載が決まれば、喜び、書評をしてもらっては、悩み。また書く。
まだその秘密をこの手に掴めないから、毎週手探りで書くしかない。
「今度はどうだ?」それが知りたくて、また書く。
沼にどっぷりはまって、書き続けているのだ。
この先には、まだ、「ライターズ倶楽部」や、「小説家養成ゼミ」なんて沼がある。
まだライティングゼミですら、見よう見まねレベルでも、締め切りと同じくらい、魅力的なかっこよすぎる響きに憧れてしまう。
沼だ……。
やられた……だけど、まだ抜けたくない。
このちょっとだけ作家さんの気分が味わえる、天狼院の沼にどっぷりはまって書いていることが、たまらないのだ。
***
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