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美人万歳幸福論


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:若林麻由(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
幼少期から、母に言われ続けてきたことはただひとつ。
「女の子はかわいいに越したことはない!」
“見た目“について、だけだった。
母の独裁、外見重視育児。
 
私の人生の中で、親に、勉強しなさい、と言われたことは一度もない。
父は休みなく働いていたため、母の育児スタイルを知らなかった可能性が高い。
 
外出先で母と並んで歩いてる時、ふとある鏡にちらっと映ったシルエットを見ては、
「姿勢良くしたほうが格好いいよ」
と、姿勢を意識することを教えられた。
 
小学2年生の時には、
「中学校はね、規則とかあるからパーマとかかけちゃダメだけど、小学生のうちは、そういう縛りはないから、かわいいならいいの」
と、美容室に連れて行かれ、長かった私の髪は、ゆるふわカールになった。
 
小学5年生で視力が落ち、眼科の先生から眼鏡をすすめられた時には、
「あなたの顔で眼鏡をしたら、眼鏡を取った時に腑抜けた顔になってしまう。だから眼鏡は絶対にダメ。お父さんもお母さんもコンタクトなんだから、大丈夫! あなたもコンタクトが絶対にいいって!」
と、私に眼鏡の選択肢はなかった。
コンタクトレンズをしている小学生は、学校内でも私だけだった。
 
私はどうも単純らしい。
母が言うことに対して、「そっか、そうよね〜」としか思っていなかった。
その結果、“勉強することよりも、かわいくあることのほうが大事“ということが、私の思考の芯を作った。
 
がしかし、残念ながら私は、持ち合わせているポテンシャルがいい、というわけではない。
ほとんどの人が、かわいい女子かどうかの第一基準となるであろう、目も、細い。
なんなら、えらも張っている。
美人枠には、どうあがいても入れない、いたって普通の女子だ。
 
そんな外見重視英才教育を受けた私が、美人への執着を確信したのは高校1年生の時だ。
同じ学年に4人の美人集団がいた。
類は友を呼ぶ、とはこのことだ。
美しいにも程があるその4人が一緒にいた。
ひと目見た瞬間に、
「うわー! 仲良くなりたい〜!」と、血が騒いだ。
 
1年生の5月には進路調査があった。
リサーチの結果、美人集団の4人中3人が、私立文系クラス希望であることが分かった。
「キター! 2年になったら、この3人と同じクラスになるじゃん私〜!」と、テンションがあがった。
2年生の私立文系クラスは、例年1クラスしかないことが分かっていたからだ。
同じクラスになれるなんて!
 
これはもう、ただ仲良くなる、というだけでは物足りない。
どうにか、私も美人集団の一員になれやしないか。
 
授業中、どうしたら私の望みが叶うのか、あれやこれやと考えた。
勉強への集中力はさっぱりなのに、美人への執着が、ある日、最高のアイディアを生んだ。
 
そうだ!
お弁当の時間だ!
2年生になっての初めての昼休みが、Xデーだ!!
 
もともと仲良い人達はそのメンバーで、お弁当を食べることになるはず。
となると、4限目の終わりのチャイムがなった瞬間、どう動くか、で決まるはず!
お弁当片手に、美人たちが班を作ろうとするその時間こそ、運命の時!!
 
「一緒にお弁当食べてもいい?」
 
何度もロープレした。
いかに感じよく、いかに爽やかに、そして軽やかに!
笑顔の練習もした。
 
春、2年生になり、いよいよ、その時がやってきた。
 
チャイムがなった瞬間、胸が、ドキン!と大きく鳴ったかと思ったら、
鼓動がドンドコドンドコ、私を応援しだした。
イメージ通りの場面になり、
ロープレ通りに声をかけることができた。
 
「うん! 一緒に食べよう〜!」
 
目の前の美人たちが声を揃えて言ってくれた。
なんて嬉しい返事なんだ!
私の望みは、意外とあっさり叶った。
ここからの学生生活、卒業までずっと一緒に過ごした。
あーー、なんて目の保養になるんだ〜!
そして何より居心地がいい。
美人集団は、性格がとてもいいのだ。
 
美しい人は心も美しい。
これは私の持論だが、間違いない。
見た目の美しさと、中身の美しさは比例する。
 
小さい時から、頻繁に“かわいい“と言われ続けて育った場合、自己肯定感が下がりようがない。
親や親族からだけではなく、ふと八百屋で出会った見知らぬおばさまや、よく会う近所のおじさまにも、何度となく、”かわいい”と言われたはずだ。
その回数が多ければ多いほど、自己肯定感は上がる。
間違いない。
 
じゃあ、美人に生まれなかった場合にはどうすればいいのか。
元が美人ではなくても、後天的に美人になれるのか。
そもそも、
あなたは美人、あなたは美人ではない、と誰が決めるのか?
 
その答えは職場にあった。
19年間、たくさんの女性と接してきての一番の気づきは、
美人かどうかは自分次第、ということ。
 
自分で自分のことを、美人、だと思えていたら、自分には幸せになる価値がある、と潜在的に思い込めている人が多い。そういう方は確実に、幸せな道を辿る。
そう、他人の評価は関係ないのだ。
そう考えると、母は、私の中の、一番かわいい私、を引き出そうとしてくれていたのかもしれない。
 
今から2年ほど前に、高校時代の美人の友人たちにカミングアウトした。
高校1年生の時から、美人集団に所属するための策を練っていたことを赤裸々に、実はね、と。
「なにそれ〜! そんなこと考えてたの〜! マユおもしろいわ〜! そうじゃなくても友達になってるって〜!」
と爆笑してくれた。
 
やはり。
時が経っても、美しい人は心も美しい。
言葉にも思いやりがあって温かい。
幸せな生活を送っている、自慢の友人たちだ。
 
かくいう私は9年前、女の子を授かった。
胎児の時から、
「かわいいね〜美人さんだね〜!」と、娘に言い続けている。
「お母さんってそれ口癖だよね」と、娘から言われる。
 
娘は自分のことをかわいいと思っているし、私もそう思ってくれるのが望み、だ。
美人であることは、プライスレス。
今日も私は美人を育てる。
 
そして、実は、ここだけの話、私も年々美人になっていく。
なんと、年々自分の顔が好きになってきたのだ。
“美人”というワードを日頃から口に出しすぎて、とうとう脳が、自分も美人の仲間入りした、と勘違いしはじめたらしい。
 
そう。
調子に乗るのも、プライスレス。
 
 
 
 
***
 
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2021-11-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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