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メディアグランプリ

「ワクワク」の幻想


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:深谷百合子(ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
昨年私は起業して早々、壁にぶち当たっていた。思うように集客できないし、そもそも誰かに必要とされている実感がなかった。「頑張らなきゃ」と思うけれど、辛いと思うことの方が多かった。そんな頃、学びの場でよく言われた言葉があった。
 
「ワクワクすることだけをやりなさい」という言葉だ。
 
私は正直に言うと、その意味が分からなかった。
「ワクワクってそもそも何?」
 
「ワクワクとは、例えば、遠足を明日に控えた子どもの時の気持ち」というのはイメージできたのだけれど、ワクワクすることと仕事のイメージがどうしても結びつかなかった。
「ワクワクすることだけをやりなさい」って、つまり「楽しいと思うことだけをやりなさい」ということなのだろうか? でも仕事って楽しいことばかりではない。
 
会社員時代から仕事は好きだったけれど、決して楽しいことばかりではなかった。だから、自分が楽しいと思うことだけをやって、それが仕事として成立するようには思えなかったのだ。
 
フリーになった時、私は自分が好きなこと、得意なことを仕事にしたつもりだった。好きで得意なことならワクワクしそうなものなのに、いざ始めてみたら、ワクワクするどころか苦しくなった。周りには自分よりはるかにできる人が沢山いたからだ。
 
それに、いくら自分が好きなことであっても、それを欲しいと思う人がいなければ、仕事にはならない。それなのに「ワクワクすることだけをやりなさい」って、どういうことなんだろう?
 
その答えは見つからないまま、数か月が過ぎた。
 
ある日私は、以前から尊敬し、憧れていた方が主催する勉強会に参加した。会えてお話するだけでも嬉しかったのに、その方は私にこう言ってくれたのだ。
 
「中国で仕事をされていたのでしょう? 次の勉強会で中国での経験を話してもらえない?」
「え? 私がですか?」
「はい、テーマはお任せしますので、ぜひ」
「わかりました」
 
そう引き受けたものの、「どんな話ができるんだろう? 私にできるのかな?」と不安が先に立った。でも、引き受けた以上はちゃんとやりたい。話すテーマを決め、内容を考え始めると、「この話はぜひ伝えたい」、「このことはぜひ知ってもらいたい」と色々とアイディアが浮かんできた。資料を完成させ、迎えた講座当日は、自分の経験してきたことを伝えるのが楽しくて、あっという間に時間が過ぎた。
 
そして何よりも「すごく興味深い話を聞けてよかったです。ありがとう」と言って頂けたことが嬉しかった。
 
この時のご縁がきっかけで、その後いくつかの仕事を依頼されるようになった。でも、どれも自分ではやったことのないことばかりで、「本当にできるかな?」というところからのスタートだった。それでも、やってみたら意外とできた。
 
それを繰り返している内、私の中で「頼りにされていることの喜び」や「価値を提供できている実感」が湧いてきた。以前のような苦しさを感じることはなく、毎日が充実していて、楽しい。無邪気な子どものように「わーい!」みたいなノリではないけれど、今自分のしていることが誰かの役に立っていると思うと、「やりたい」と思うことが溢れ出てくる。
 
「ひょっとすると、こういう気分が世に言うワクワクというものなのかもしれないな」と、ふと思った。でも、今その気分を味わえているのは、ワクワクすることをやったからではない。ただ、「こんなことできますか?」と言われたことをやってみただけだ。
 
「ワクワク」って「自分が楽しい」と思うことをやって感じるものではなく、誰かの役に立てた結果味わう充実感なのかもしれない。
 
そして、振り返ってみて、もうひとつ言えることがあるとしたら、「ワクワクすることだけをやりなさい」は「楽しいと思うことだけをやりなさい」という意味ではないということだ。
 
「ワクワク」というより「ドキドキ」と言った方が近いかもしれない。つまり、ちょっと緊張するとか、不安とか、怖いとか、そういう感情だ。
 
「これをしたらどうなるかなぁ。ちょっとやってみたい気もするけど、でも怖いなぁ。できるかなぁ」という気持ち。
 
これこそが、「ワクワク」の正体ではないかと思うのだ。この先に何が待ち受けているのか? と恐る恐る扉を開けるのに似ている。そして、その扉は往々にして誰か他の人によってもたらされるのだ。なぜか? それは、自分では気づいていない自分の価値を他人は知っているからだ。「この人ならできる」と思うから扉を用意してくれるのだ。
 
だから、もし「それはワクワクしないから」という理由で、やらない選択をしている人がいるのなら、私は声を大にして言いたい。「ちょっと怖いな」と思うことをやってみた先に、本当の「ワクワク」を感じられる日がやってくるよと。そして、1年前の私にも教えてあげたい。「ワクワクすること」を見つけるのが先ではなく、目の前にやってきたことから逃げずに積み重ねた先に「ワクワク」が待っているんだよと。
 
 
 
 
***
 
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2021-11-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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