歯周病を駆逐するぜ!
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:島田惇史(ライティング・ゼミ日曜コース)
「朝起きたら、前歯が口の中に落ちていました。戻せますか?」
患者さんからの訴えを聴いて、お口の中を見てみると、前歯が取れて無くなっていた。
寝起きからショックであったと思う。長年連れ添っていたものが突如無くなり、鏡の前に立った自分は、もはや昨日の自分ではない。前歯がないだけでもガラリと顔の印象は変化する。
まるで、黒魔道士に老化の魔術をかけられたかの様だ。
患者さんは元に戻せる前提で来院されている。
しかし、歯医者サイドからすると、
「無理です」
と即断言できるレベルで重症な状況であった。歯の根っこから丸ごと抜け落ちていたので、結果戻すことは出来なかった。
原因は何か?
その人の歯が乳歯でたまたま抜けました、あるいは、寝相が壊滅的に悪いせいで何処かにぶつけて折れましたでは勿論ない。
歯周病である。30代ごろから発症し、気がついたら重度になっていてもう手遅れになる。そんな厄介者である。
殆どの方は勘違いされているが、歯はそもそも歯茎に刺さっているのではない。歯を支える顎の骨があって、そこに歯の根っこが埋まっている。そしてその上に歯茎が覆われている。
この患者さんは何年か前のレントゲンを見るとまだ骨がしっかりしていた。ただ奥歯が歯周病でダメージを受けている状況であった。自分自身が歯周病であることから背を向けていたのか、或いは真の恐ろしさを分かっていなかったのかもしれない。
そのような患者さんには、まず歯周病って何? というところから始まる。
「歯を支えている骨が溶けてしまって、歯と歯茎の間に深い溝が出来てきます。そこに悪い細菌や汚れが溜まってさらに炎症を起こします。歯周ポケットってCMとかで聞いたことあると思いますが、歯周ポケットの中で恐ろしいことが起きています」
歯周ポケットという言葉を聞くと、「あ、なんか聞いたことあるぞ」とちょっと聞く耳を持ってくれる。
その後、歯周病のさらなる恐ろしさを伝えていく。
「最初は歯ブラシをした時の歯茎の出血とか、口臭のように小さい症状から始まっています。歯茎の境目を触ってみるとヌメヌメした汚れが付いていますが、これは細菌の塊です」
「そうなんですね」
「プラークとか歯垢って呼ばれていますが、これをとらないと次第に硬くなり歯石になります。プラークは歯ブラシで取れますが、歯石は歯ブラシでは取れません」
「はい……」
「歯石やプラークが大量に付いていると、歯茎がブヨブヨし始めます。歯ブラシをすると出血します。さらに歯周ポケット内にも汚れや歯石が付いてきます。渓谷のように深くなると、奥底までは磨けません。歯周ポケット内では歯石が蓄積し周囲の骨を溶かしていきます。そして、骨が溶け落ち歯がグラグラし、最終的に抜けてしまいます」
歯周病を処置せずに拗らせ、そのまま放置した症例を数多く診ており、そのような人の末路は散々である。
検診の受診や、何か口に違和感があった時に歯医者に来れば、歯を抜かずに済むかもしれない。放置すればするほど、処置の内容が厄介になり時間やお金もかかってしまう。
故に、早めに来院して頂きたい。拗らせて良いことは決してない。
歯周病を拗らせることは、厨二病を拗らせていることに似ているかもしれない。
若かりし頃に好きだった漫画やアニメ、ゲームを愛し、そこから培った価値観を引きずってしまい、それが言動、行動に出てしまうのが厨二病である。そのままにしておくと、将来的に痛い目にあうことになる。
自己中心的になる、それにより自分が一番と思い、自己主張が強くなり相手を認めようとしない等の問題が生じてくる。そして拗らせてそのままの状態だと社会的に孤立する。
厨二病には「病」という文字がある通り、ある種の病気なのだ。病気を拗らせても決していいことはない。
歯周病を放置して歯が抜け落ちるように、厨二病の拗らせは、社会という口の中から、自分という歯が抜け落ちてしまうのだ。
六芒星を描き、黒魔術を唱えても、歯周病は治らない。
「俺は伝説の剣士の力をこの身に宿し、どんな攻撃もきかぬ! 最強の剣で歯周病を駆逐するぜ!」
と豪語しても歯周病の前には無力なのである。最強の剣を持つ前に歯ブラシや歯間ブラシを持つべきである。
私も以前、歯ブラシ時の出血があったため、衛生士に診てもらったが、歯石がついており、その部分の歯茎が炎症を起こしていた。もしそのまま放置したら自分も歯周病になっていたであろう。その後は歯ブラシ時の出血もなくなり、一安心している。
歯周病を治すのは歯医者や衛生士のケアと、患者さんの日々の口腔ケアなくして成立しない。共存なくして歯周病には太刀打ちできない。
もし、歯ブラシをして出血がある場合、歯がぐらつく、あるいは歯の検診に行かれていないのであれば、一度検診に行ってみてはどうであろうか?
「病」を拗らせて良いことはない。
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