知るは一時の恥、知らぬは一生の恥
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記事:Raito(ライティング・ライブ福岡会場)
「知らない」 ことが恥ずかしく「知らない」 と言えない子どもだった。
「人様に笑われないように、恥ずかしくないようにしなさい」 そういって育てられた。
どちらかといえば行儀、礼儀作法、周りへの気遣いなど厳しく躾られたほうだと思う。
そのためか、もともと恥ずかしがり屋だというのに加えて間違えることに強烈な羞恥心を感じてしまう子どもだった。 だからできるだけいろいろなことを覚えられるよう努力した。 けれど、いつの間にか知ったかぶりもしてしまっていた。
それが原因ではないがいじめも経験したりしたために同級生、クラスが苦手になった。
特に同級生との感覚の違いには違和感しかなかった。
一人でいることのほうが気楽だったのでグループになる必要のない限りは一人でいた。
それでも間違えることに強烈な羞恥心を感してはいた。
二十歳までは。
厳密にいえば二十歳になる歳までは、だが。
それまでの私は自分で言うのもなんだが、子供らしくない子どもだった。 自分で振り返ってもかわいくない子どもだっただろうな、と思う。
早太りだったこともあって小学5、6年の時には160㎝近い身長だった。体格もがっちりしていた。 おかげで細くて小柄な同級生とバスに乗った時には子供料金でバスを降りようとしたら運転手さんに止められてしまった。 その時は同級生が一生懸命説明してくれてどうにか疑いのまなざしの残るまま微妙な気持ちでバスをおろしてもらったなんとも言えない経験がある。
そんな私だが二十歳になる歳に生涯の恩師となる人に出会った。 高校を出て就職して、まだまだ社会を知らない子どもだった私だったけれど、それまで出会ってきた大勢多数の大人たちとは違う、”何か” を強烈に感じた。 何気なく他愛のない話を交わしているだけにもかかわらず、 ”ああ、この人はちゃんと向き合って話してる” と強く感じた。 私よりも三周りも年上の職人さんだ。 普通なら営業的、表面的、プライドもひしひしと感じることが多いのだが。 意外と平穏な人生を生きられている人は多い。 いや、もしくは問題だという認識さえしたくないのかも知れない。 見たくないものに蓋をして何もなかったかのように”ふつう” に生きているもかもしれない。
人間性なんてものはどうやっても結局のところどんな経験をして生きてきたかだけなのだと思う。 出会った出来事の中で苦しんだり悲しんだり精一杯努力したり自分の身に起きた
できごとから、自分のかかわる人の中で起きた経験の中から考えて、考えて、理解して学び取っていくのだと思う。 理(ことわり)道義(どうぎ)人の道。 出会ってすぐにそんな深い話をしたわけではないのだけれど些細な会話に感じられた事は本当に幸運だったと思う。 人が人として生きていくために心を感じられる人との縁は大切だと思うからだ。
そしてわずかな時間の中でたまたまその方が 「それはしらん、教えてくれ」 といった。
何についてだったかはもう覚えていないけれど、その時のその言葉が”ふつう” ならなんとなく流されたりごまかされたりするオトナの方が多いのに。 その人は違った。
「知るは一時の恥、知らぬは一生の恥」 をして見せたのだ。
ただ、それだけのことだけれど、その時の私にはとても鮮烈に感じられた。
何か、なぜか、この方から学びたい。 そんな気持ちが強く沸き起こった。
もちろんその時から「知らないことは知らない」 というようにした。
そしてもちろん「おしえてもらえますか?」 と教授していただくようになった。
おかげで、スマホでなんでも検索できる昨今。 もちろん自分で検索もするが、時と場合によっては自分で検索して知ることも大切だけど、あえて、もちろん相手に時間の猶予があるときにはだが、相手の感性と、それにまつわる思い出とその方の世界観を見せていただくべくお話を聞かせていただいたりしている。
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