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HSPである私の行動心理


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記事:牧 奈穂 (ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)という言葉を聞いて、人はどんな人を思い浮かべるのだろうか?
 
あくまで自己診断だが、私はHSPだ。
 
今では、だいぶ広く知れ渡っている言葉のようだが、簡単に言えば、「とても繊細な人」を表すカテゴリーと言えるだろうか。気質であって、障害とも違う。
 
私の場合は、人混み、音、匂い、痛み、目に見えない「人の空気」に敏感なようだ。子供の頃は、もっと刺激に弱く、学校に行くのが苦痛で、不登校になったこともある。
 
そして、普通の人より、喜びや悲しみに対する感じ方が強いように思う。敏感だからこそ、疲れやすい。心を回復するために、一人でいる時間がないと、ストレスを感じてしまう。
 
HSPという言葉に出会う前は、傷つきやすい自分自身を、弱い人間だと思っていた。神経質な自分を嫌いだったこともある。人に神経質だと思われたくないから、神経質でないフリをすることもあった。
 
だが、この言葉に出会ってからは、「人と違っていてもいいんだ」と自分を肯定できるようになったように思う。だいぶ「自分」を分かってきたつもりだが、「瞬間的」な判断に、今でもHSPを実感することがある。
 
ある寒い日のことだ。
 
「ココアね!」
職場近くのカフェのマスターが、お店に入った瞬間の私に、そう語りかけた。
 
私が働く塾は、コロナ禍で、やむを得ず「zoom授業」をしなければならなくなっていた。突然の動きに、私自身も、対応に追われていた。そして、少し考え疲れてしまい、職場を出て、カフェに入ったのだ。
 
普段、私は、隣りのコンビニのコーヒーを飲んでいる。だが、少し甘いものが飲みたい時は、通りを渡ったカフェに行く。その日は、疲れた頭をリラックスさせたくて、甘いものが飲みたかった。
 
マスターは、私がココアをよくオーダーするのを、覚えていてくれたのだろう。いつの間にか、私の職場も分かっていて、「今、大変でしょう?」と、話してくれる。
 
息子からの情報では、「いつものね!」と、お客の立場から最初に注文するのは、失礼なのだそうだ。店主のほうから、「いつものですか?」と聞かれて初めて、自分が認められたことになる。そして、それから、「いつものね!」を使い始めていいとのことだ。
 
それが本当なのかは分からないが、きっと店主に対する「リスペクト」の気持ちの表れなのだろう。
 
私は、その日、「いつものね!」と言われたのと同じわけだから、「いつものを……」と、オーダーしていいことになる。
 
だが……その日の私は、違っていたのだ。本当は、甘いけれど、たまにはココアではないものを飲もうかな? と考えて、店に入ったのだ。
 
こういう時に、私のHSP気質が発動されてしまう。
 
マスターは、私を気遣ってくれて、「ココアね!」と言ってくれた。だから、その心は傷つけたくない、と考える。マスターに恥をかかせたくはない。きっと、否定したって、恥だなんて思わないはずだ、と後では分かるのだが、私がその瞬間で出した答えは、
 
「はい、ココアをお願いします」
 
だった。何となく、欲しいものを逃したようで、心がモヤモヤした。そんな私の心は知らず、マスターは、「チョコソースをサービスするけど、かけようか?」と、さらなるサービスまでしてくれた。そして、常連さんにいつもサービスする、シナモンクッキーまで、私に手渡してくれた。
 
人生で、どれだけ「ココア」を選んできたことだろう? いつも相手ありきで、相手を一番先に考え、自分の思いは伝えずに、大切なものを失ってきたことが何度もある。「瞬間」に弱い私は、自分を引いてしまうことが、なかなかやめられないのだ。
 
以前、とても好きだった人に、「気になる人がいるんだ……」と言われたことがあった。「なぜ、私と会っていて、そんなことを言うのだろう?」「いつから?」聞きたいことが、山ほど心に湧きあがった。
 
それなのに、彼が幸せならば……そう、瞬間的に思って、私は、「物分かりのいい大人」を演じてしまったことがある。そして、あとに引けなくなった。とても大切だった人なのに、なぜ、相手に自分をぶつけず、手放してしまったのだろう。
 
心のままに「私がオーダーしたいもの」を選んでいたら、私の人生はどうなっただろうか? と思うことが何度かある。
 
息子に「ココア」の話をしたら、笑っていた。息子なら、もっと上手にマスターと会話をしながら、欲しいものを手に入れられる気がする。きっと、こういうことが重なって、HSPは生きにくい、と言われるのだろう。
 
瞬間的に自分を引いてしまう、生き方が下手な「自分」に気づいた、ひと時だった。
 
まずは、小さな一歩からだ。
何か行動を起こすと決めたら、まずは、自分の気持ちを曲げないでみよう。
そして、次こそは、「ココアでないもの」を、ゲットしてみたい。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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