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スーパーの牛肉をA5ランクの牛肉に変身させる方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:Allie(ライティング・ライブ東京会場)
 
 
コロナ禍という言葉が身近になって約2年が過ぎようとしている。ニュースでは絶えず日々の感染状況や病床使用率が伝えられているが、最近、私にとってはある意味それ以上に由々しき事態が起きた。
 
化粧の仕方を忘れたのである。
 
久々に小洒落たレストランに行くことになっていざ支度を始めた時、化粧とは何をどうやっていたのか、さっぱりわからなくなっていたのだ。難なく乗れていた自転車の乗り方を突然忘れたような感覚に陥って、洗面所の鏡を見つめながら手が止まっている自分がいた。
 
化粧って、何だっけ?
まず、何をするんだっけ?
そもそも化粧道具はどこにいった?
 
私は元々、化粧に時間をかけるタイプではなく、むしろ面倒だと思ってしまうタイプだ。でも外出する時や人に会う時はマナーの一環として化粧をするよう心がけている。でもコロナ禍で外出の回数が減り、人と会う回数も減り、通勤からリモートワークに切り替わったことで、化粧をする機会がめっきり減ってしまったのだ。スキンケアもいい加減になり、顔が乾燥しすぎて粉を吹いていることもある。
 
さすがにこれはひどい。
もはや「女子」とくくれる年代ではないが、あえて言おう。
これは女子としてマズい。非常にマズい。
 
その日は何とかやり過ごしたものの、正直、かなり焦った。仕事でオンラインミーティングがあっても顔出しすることはほぼないけれど、3ヶ月に1度くらいは顔を見せ合うミーティングがあるし、月に1回は天狼院書店に行く。マスクはしているといえど、肌が荒れている上に化粧もしないで街中を歩くのは、パンツ一丁でうろうろする風呂上がりのオッサンと同じような状態だ。
 
マナー的にも女子的にもアウト判定されそうな自分に危機感を覚え、これを機にきちんとスキンケアや化粧について学ぼうと決めた。早速インターネットで検索して、手頃な体験制度のあるメイクレッスンに申し込んだのだ。
 
何年も前にデパートの化粧品売り場で簡単にメイクを試してもらったことはあるけれど、プロのメイクアップアーティストからマンツーマンで指導してもらうのは今回が初めてだ。何だか心がワクワクした。
 
案内のメールには「いつも通りのメイクで来てください」と書いてあったものの、そもそも化粧の仕方をド忘れしている上に肌状態もよくないし、自分のお粗末な化粧を見せるのも恥ずかしかったので最低限のスキンケアに眉だけを描いて会場に向かった。
 
出迎えてくれたのは目力のあるメイクアップアーティストのIさん。マスクで顔が半分以上隠れているのに目の存在感がものすごい。ゴテゴテにマスカラをつけているわけでもなく、めちゃくちゃ長いまつエクをしているわけでもなく、アイシャドウをたっぷり塗っているわけでもないのに目が際立っている。これも化粧のなせる技だろうか、プロの化粧ってすごい……と思わずにはいられなかった。
 
化粧道具がずらりと並んだ鏡の前に座り、早速体験レッスン開始である。
自分で化粧やスキンケアをする上で困っていることを相談しつつ、どんな方向で化粧をするのかを決めていく。どうやら私は自分で思っている以上に肌が白いらしく、ブラウンよりオレンジのアイシャドウが似合うのでは、という話になった。オレンジのアイシャドウなんて自分ではまず選ばないのでとても新鮮だ。使ったこともないので、どんな風に仕上がるのか想像もつかない。
 
ビフォーアフターを見るために、まずは顔の半分だけに化粧を施してもらう。そこで驚いたのは化粧をする順番だった。私はいつもアイシャドウをつけてからアイブロー(眉毛)を描いていたのだが、Iさんはまずアイブローを描き始めたのだ。
 
「実は、眉毛は顔の印象を7~8割決めるパーツなんです。だから先に描いた方がバランスを取りやすいんですよー」
 
その情報にも驚いたが、さらにIさんが描いてくれた眉にも衝撃を受けた。普段、私が描くそれとは何もかもがまったく違っていたのだ。何ということか。顔のわずか数パーセントであろうパーツなのに、自分が描いた眉と比べて受ける印象が天と地の差だ。全体の70~80パーセントの印象を決めてしまう、という話にも納得である。
 
そして次にアイシャドウ。自分のまぶたに華やかなオレンジの色がのる。いつもとは違う眉と相まって、鏡に映る顔半分は見たこともない自分の姿だった。「化ける」という表現がピッタリ合う。
 
「自分の顔じゃないみたい。すごい……」
 
驚きすぎて言葉を失ったが、同じ化粧を顔のもう半分にも施してもらった時は衝撃的すぎて逆に大きな声が出た。
 
「え! 全然違う」
 
目の前の鏡に写っていたのは、いつもと違う自分の顔だった。文字通り「化け」ている。自分の顔なのに自分の顔じゃない。スーパーの100グラム398円の牛肉が、一流シェフの手によってA5ランクの牛肉と同じになった感じと言えばいいだろうか。Iさんのすばらしい腕前に、ただただ感動している自分がいた。
 
「これを自分でできるようになるのが目標です。 慣れたらできるようになりますので、繰り返し練習しましょう!」
 
Iさんの励ましにも後押しされ、しばらくメイクレッスンに通うことを決めた。私も自分でスーパーの牛肉をA5ランクの牛肉に変身させられるだろうか。外出するための化粧なんてただ面倒だと思っていたけれど、これからはきっと楽しいものになるはずだ。
 
 
 
 
***
 
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2022-03-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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