メディアグランプリ

『おかあさんといっしょ』をパパが観たらエモかった!


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記事:久田 一彰(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「あつこお姉さんとガラピコ達、4/2で卒業らしいよ」と妻からそんな衝撃的な話をされた。
「え? まじ? なんで?」とすぐに聞き返した。
その情報は聞き捨てならない。
 
NHKの幼児教育番組のロングセラー『おかあさんといっしょ』は、私の子供のからやっている長寿番組だ。昔は母と観ていたが、今は妻と2歳の息子と一緒に観ている。
 
現在の『おかあさんといっしょ』の着ぐるみを着た人形劇は『ガラピコぷ〜』だが、私の頃は『にこにこぷん』だった。
 
随分長くやっており、この間にも他のキャラクター達もいたはずだと思い、妻と一緒にネットで検索してみた。
 
「え〜と、『にこにこぷん』は1982年から1992年までやっていたんだって。 じゃじゃまる、ぴっころ、ぽろりの3人だよな。 意外と長くやっていたんだね。 その後に、『ドレミファ・どーなっつ!』『ぐ〜チョコランタン』『モノランモノラン』『ポコポッテイト』、その後2016年から今の『ガラピコぷ〜』になったんだって。 つまり、チョロミー、ムームー、ガラピコがキャラクターを引き継いだわけだ」
 
「うたのお兄さん、お姉さんも随分変わっているよ。俺の知っているのは、おさむお兄さんとゆうこお姉さんだったけど、今は、ゆういちろうお兄さんとあつこお姉さん、それに体操のお兄さんお姉さんも2人体制だもんな。 まことお兄さんとあづきお姉さんか。 体操のお姉さんは初めて登場したもんな〜」
 
「随分歴史があるけど、変わってない歌もあるよ。『はみがきじょうずかな』と『パジャマでおじゃま』は今でもやってるじゃん、懐かしいな〜」
 
歌もどんどん新しい曲が生み出されているが、懐かしいものも沢山ある。
キャラクターやお兄さんお姉さんだけでなく、歌も引き継がれている。
 
まるで、駅伝のように皆んなでたすきを繋いでいるようだ。
 
そんなことを会話しながら、息子はTVの前でかぶりついて観ている。
子供のみならず、親もいつの間にか夢中になっている。
 
一緒に見ながら手を叩いたり、体操の振り付けを一緒にやったり、見よう見まねでやる。
見始めの頃は、歌詞もリズムも何も分からなかったが、今や私の方から息子を誘う。
 
「ほら、一緒にやろうよ」と言いながら、私が観たくてチャンネルをつけることもあるのだ。
 
人形劇のストーリーもいいところで終わると、次回のストーリーが気になるし、「あれどうなったの?」と観ていない回も気になって仕方がなかった。
 
伏線じゃないか? みたいなまとめサイトもある様で、Twitterで時折こっそりチェックしている。
 
それだけではない。
 
家にいる時、何気に鼻歌混じりにテーマソングを歌ってしまう。
 
息子と繰り返し観ることで、脳の記憶に定着してしまっているようだ。
繰り返し学習とはこういうことか、掛け算九九の様だと身を持って実感している。
 
それ以外にも、令和のキッズソングを集めたCDを車の中でもかけている。
歌に触れる回数がここでも増えていっているのだ。
 
気が付けば、私の方が『おかあさんといっしょ』という沼にはまっていっている様だ。
 
妻からお姉さんの卒業と、最終回が迫っているという話を聞いた後、ニュースサイトにも記事が載っていた。
 
次回作『ファンターネ!』のこと、新しいお姉さんのこと。
 
知ったと同時にだんだんと、もう終わってしまうのかと寂しい気持ちになっていくが、まだまだ実感は湧かない。
 
心のどこかでは、まだ続いてくれるんじゃないか、そんな時は来ないで欲しいと、一つの希望を持っていたのだ。
 
しかし、終わりはやってきた。
 
お姉さんの最後のあいさつ、新しいお姉さんへのバトンタッチ。
『ガラピコぷ〜』のキャラクター3人達の最後のあいさつ。
オープニングが流れた後に、いつものエンディング曲が始まる。
 
お兄さんとお姉さん達、そして『ガラピコぷ〜』のキャラクター3人達。
それぞれ歌いながら、顔を合わせて目を合わせている。
 
笑顔の中に想いをのせて、目で会話しているような尊い時間だ。
 
今日でこのメンバーを見るのが、もう最後なのだ。
そう思うと洪水の様にさまざまな感情が込み上がってきた。
 
お兄さんお姉さん、『ガラピコぷ〜』のキャラクター達が手を振る。
さよならの手を振る代わりに、少しの涙が私の右目からこぼれた。
 
そうか、私は泣いているのか。
今の今まで誰にも気持ちを話したことはないのに、泣くほど寂しいことに気が付き、私の正直な気持ちを涙が教えてくれた。
 
とうとう終わってしまった。
少しの余韻に浸っていると、息子が怪訝そうに私を見ている。
 
「大丈夫だよ」といって、ティッシュで鼻をかみ、涙を拭う。
 
「泣いちゃった」と妻に言う。
「私も一度目は泣いたよ。 また会えるよ。 DVD買おう」
 
そうか、もう一度お姉さんと『ガラピコぷ〜』が家に来てくれるのか。
また会えるのか。
あの楽しい時間を一緒に過ごせるのか。
そう思うと、いつの間にかもう涙は出てこなくなっていた。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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