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メディアグランプリ

限定の魅力とともに


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:haruki (ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
車の窓が閉まらない!
 
真夏の中、海水浴からの帰り道だった。少しは動くが途中で窓が止まってしまう。帰る自宅まで離れているので、高速道路に乗るしかない状況だった。なんとか窓を手で押し上げて半分近くまで閉めて高速道路に乗った。室内に強烈な熱風と轟音を鳴り響かせながらなんとか高速道路を乗りこなした。
 
今まで、自分で車を買ったことはなかった。いつもタイミング良く、親戚から乗らなくなった車をもらっていた。もうそろそろ自分で車を買わなくては! と思っていた矢先だった。
 
暑い! クーラーは、つけていたが窓からの熱風で全く効果なく、汗だくになりながら運転した。暑さもあり、だんだんとどうしようもない怒りが込み上げてきた。
 
なぜ、こんな車に乗っているのだろう? 窓が閉まらなくなるなんて、ありえない! 自分で新しい車を買おう!
 
早速、半窓の車で、自宅付近の高速道路インターで降りて、たまたま目に入ったフランス車を販売しているお店に寄ってみた。お店に入ると涼しく、いい匂いがして、優しそうな受付の人が出迎えてくれた。
 
「いらっしゃいませ。どうされましたか?」
 
「車を見せて欲しいのですが、何かありますか?」
 
汗だくで、その場に合わないような海帰りの服装でも、優しく対応してもらい、色々とおしゃれなフラン車を次々に見せてくれた。しかし、今まで車に興味がなく、どれも同じような車に見えてイマイチ決め手にかけていた。他のメーカーの車をみた方がいいのかなと思い、帰ろうとすると奥から店長らしき男性が出てきた。
 
「今なら限定車で、かっこいいのがありますよ。それも全国での抽選に当選しないといけません。いかがですか? 現物はありませんが、写真ならありますよ。なんといっても日本で30台だけですよ!」
 
と言いながら、写真を見せてくれた。
 
かっこいい!
 
瞬時に思ってしまった。限定との魅力的な言葉にもひかれてしまった。しかし、さすがに高額で、人生で初めて購入する車でもありその場で即決できなかった。
 
後日、いろいろなメーカーの車を見てまわったが、どれもありきたりな車で心に響かなかった。やはり限定車の魅力を越す車はなかった。
 
もうあの限定車しかない!
 
購入決意をして、再度限定車を売っているお店に行った。購入の意思を伝えると店長も気合を入れて抽選してくれるとのことだった。そして、改めて装備品や仕様について説明を受けた。限定車なので現物もなく試乗もできないので、全てパンフレットでの説明だった。
 
「この車は、2ドアで、ガソリンはハイオクで、5段階ギアのマニュアル車になります」
 
「えっ マニュアルですか? オートマでなく、自分でギアを変えるタイプですか?」
 
思わず聞き返してしまった。
 
「そうです。マニュアルです。運転免許はもしかしてオートマ限定ですか?」
 
「一応、マニュアルも運転できる免許を持っています。でも、自動車学校でしか運転したことないので、自信がないです」
 
「大丈夫ですよ。すぐに慣れますよ。なんとかなります! なんなら私が横に乗って教えますよ」
 
とのことだった。不安はあったが、もう気持ちは限定車に取りつかれているので、そのまま購入手続きに突き進んだ。
 
マニュアル車って、どうすればいいのだろう? 練習するにしてもどこにもない。親戚や友達はオートマ車。イメージトレーニングにしてもなかなかできそうにない。考えを巡らせていると、バスがあったと思いつき、子供の頃のように運転手さんの後ろに張りついて、運転方法を勉強した。エンジンの音を聞きながら、左足でクラッチを踏み左手でギアを変える。上手くギアが変わったら左足を外しながら右足でアクセルを踏み込んで加速していく。なかなか困難な作業だった。オートマ車だったら、ドライブに入れて右足でアクセルを踏めば動くのに。
 
抽選にも無事当選し1ヶ月後には、限定車がやってきた! 今までパンフレットでしか見たことない限定車は、迫力があり写真通りに、かっこよかった。いよいよマニュアルでの運転生活が始まった。限定車だったので、運転していると他の車からの視線が気になった。心地よかったが、運転に一緒懸命でそれどころではなかった。
 
そして、初めてのガソリン給油。ガソリンスタンドで、ガソリンを入れていると店員さんが近寄ってきて
 
「どこの車ですか? 今まで、見たことないですね。おしゃれでいい感じですね」
 
と言われた。まー限定車ですからと心の中で思いつつ
 
「ありがとうございます」
 
とだけ答えて爽快にその場を車で去ろうとしたが、道路にでる瞬間にギアを上手く入れることが出来ずに、エンストして止まってしまった。慌てて、何かトラブルがあったと思って近寄ってきたガソリンスタンドの店員さんから逃げるように、再度エンジンをかけて、その場を立ち去った。
 
車に乗れば乗るほど、だんだんと運転に慣れてきて、ギアの変換も上手くいくようになりエンストすることも少なくなってきた。もう10年間乗っている。ちょっとした故障はあるが、満足している。限定車なので、同じ車に出会うことは、ほとんどない。そして、大変だと思っていたマニュアル運転になって、安全運転になった。発進するまでに、クラッチを踏んだりする作業があるので、急発進がない。左手でギアを変えないといけないので、運転中に携帯電話を触りたい衝動にも勝てるし、眠くもならない。
最近は、どんなことでもオートマばかりになり便利な生活なりつつある。今回は、限定の魅力にひかれて、一部生活がマニュアルになったが、不便さもいい面があるものだと気がついた。
 
 
 
 
***
 
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2022-04-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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