メディアグランプリ

10年後に20年前の自分より輝く方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事;兼田佑子 (ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
今日は娘の6歳のお誕生日だ。4月生まれの3人姉弟の末っ子で、周りのお友達よりも頭一つ大きく、とにかくしっかりしている。姉や兄にできることは自分にもできるという絶対的な自己肯定感があり、何でも1人でやりたがり、親もいい意味でほったらかしにしてきたので本当に手がかからない。気が付いたらあっという間にこんなに大きくなっていたという感覚である。
子供の頃は私も自分の誕生日を指折り数えて楽しみにしていた。いつの頃からか、誕生日はまたひとつ年を取るだけの日となっていた。いつから誕生日にワクワクしなくなってしまったのだろうか。子供が生まれる前は、両親や友達や夫にプレゼントをもらい、祝ってもらう側だったが、子供が生まれてからは主催者側にまわり、気がつけば自分の誕生日はすっかり忘れてしまうほど忙しい毎日を送っていた。
10年前に、長女が生まれてから初めての育児に戸惑いながら必死に子育てと向き合ってきた。子供が誕生するというイベントは私の人生を一変させた。奇跡のような誕生の瞬間から母としての初めて尽くしの日々が始まる。子供の成長はすさまじく、とにかく毎日新しいことの連続だった。長女の1歳のお誕生日は両家の両親を呼んで一升餅を担がせて盛大にお祝いしたことを思い出した。
2年後に長男が生まれたとき、男の子と女の子ではこんなにも生態が違うものかと驚かされた。2歳差の子育てに奮闘しながらも、仕事にも復帰し本当に忙しい毎日となった。
そして、やっと仕事と育児の両立にも慣れてきた頃、まったく予想もしなかった末っ子の妊娠が発覚し、綱渡りのようにギリギリでなんとか回していた暮らしがついに崩壊した。4歳にして、2人のお姉ちゃんとなった長女は、ママを取られないように必死で、いつも私のそばにピッタリマークで張り付いている。一方、歩き始めたばかりのやんちゃな長男は一瞬でどこかにいなくなる。生まれたばかりの小さな末っ子を抱っこして、幼い二人の手を引いて、いつも駆けずりまわっていた。このころの記憶はほとんどない。ただただ毎日を精一杯生きていた。
子供が生まれる前は、自分のことだけ考えていればよかったのに、この10年間、自分のことを考える余裕なんてなかった。私も子供たちもいつの間にか少しずつ成長していた事に気がついた。6歳の誕生日を機に、自分自身の将来について考えてみた。
「10年後、私はどうなっているのだろう……」
10年後は長女が成人し、長男は高校を卒業し、末っ子は高校生だ。そして、私は54歳。子供はどんどん自分の人生を歩んでいき、今のまま自分のことを後回しにして生きていった先に、私に一体何が残るのか。なんとも言えない不安の波が押し寄せてきた。
子供が産まれる前は、平日は仕事の帰りにジムやプールに通い、仲間と飲みに行ったり、週末は海で趣味のサーフィンを楽しみ、お友達とホームパーティーをしたり、好きなことをして暮らしていた。今より10㎏程痩せていて、自分にももっと自信があった気がする。
しかし、最近は趣味の時間もなく、会話の中心はいつも子供の話で、いつの間にか、その当時の友達とも疎遠になっていた。子供の将来のことはいつも考えているが、自分の将来について考えたのは何年ぶりだろう。その時、ふとある考えを思いついた。
「そうだ、次の誕生日から、年をとるのをやめよう。1歳ずつ若返る日にしたらどうだろう。」
今、44歳だから、次の誕生日には43歳になる。見た目も、気持ちも若返るようにする。そしてその翌年は42歳になる。そうすれば10年後には34歳に戻れる。出産前のあの頃の自分に戻るのだ。10年後は子育てもひと段落していそうだし、1年に1歳ずつなら無理なく若返ることが可能かもしれない。そう考えたら、さっきまでの謎の不安感が嘘のように消えていった。時の流れに逆行するためには努力が必要なのはわかっている。しかし、維持は衰退だ。なりたいビジョンを描いてそれに向かって一歩ずつ進むしかない。早速、自分のなりたい未来を描き始めた。
10年後の私は、今よりもスリムで、ヨガやサーフィンを日々の生活に取り入れて自然と調和して生きている。子供たちはそれぞれ自分たちのやりたい夢に向かって頑張っている。夫も好きなことを仕事にし、お互いに好きなことをしながらもしっかりと絆で結ばれた成熟した家族の姿がそこにはあった。
10年後にあの頃の自分に戻るのではない、あの頃よりもっと人生を楽しんで綺麗になっていたい。この10年間で3人の子供を産み、仕事も子育ても経験値を増やしてきた。きっとこれから先の10年も思春期を迎える子供とのたくさんの新しい課題に向き合い、その度に悩みながらも共に成長し乗り越えていくだろう。見た目だけではない、若い頃には出せなかった内側から湧き出るオーラや幸福感を纏い、自分らしく生きていたい。この家族と共に10年後に輝いて生きる自分の姿を思い描くと、私は次の誕生日が楽しみになっていた。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2022-04-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事