メディアグランプリ

好きなことで、生きていく?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:よしかたよしこ(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「好きなことで、生きていく」
この言葉を見ると胸がザワつく。
 
今年私は40歳になる。新卒で入社した会社はもう18年目だ。
転職を一度も考えなかったわけではない。だけど結局ズルズルとここまできてしまった。
財閥系グループの企業。ほとんど足並みの揃った昇給。革新的よりもリスク回避重視。過剰なルールとマニュアル。お作法を守ることが大事。派閥。
「この仕事が嫌」「あの人が嫌」そう言えば言ったもん勝ちで配属を変えてくれる優しい人事。なんだかんだボーナスは出る。まあ、こんなところに長くいたら人は守りに入る。汎用的スキルを磨くことをおろそかにした結果、転職し他の会社で即戦力として働く勇気を私はなくした。もちろん転職していく人達もたくさんいる。私は勇気ある仲間を少し羨ましく思いながら見送るばかり。
仕事をすることは好きだ。でもこの会社の仕事が好きかと聞かれたらそうでもない。役割があるから責任を全うしているだけ。
 
ある時、大学時代のダンスサークルで一緒だった友達がtwitterでつぶやいた。
「仕事つまんないって言ってる人、なんなんだろう。さっさとやめて転職したらいいのに」
 
グサッ。
 
彼女は仕事が大好きで、やりたいことを見つけては会社を変え、どんどんキャリアップしていく女性だった。キラキラ見えた。
一方、彼女も私も卒業後もダンスを続け、同じダンススクールに通っていた。次の発表会には彼女も私も出演予定。作品は違ったので、近況を聞いた。
「なんか立ち位置後ろの方ばっかり。いつもレッスン出てるメンバーばかり目立つ位置になるんだよね。なんかコスパ悪い。ダンスは続けるけど、発表会はこれっきりにしようと思う」
 
グサグサッ。
 
私は社会人になってからかなりダンスに打ち込んでいた。発表会の作品の立ち位置は先生が決める。だから普段のレッスンも毎週必ず出て、前の方で踊ってアピールした。発表会のリハーサルが始まってからは自主練も欠かさず、良い立ち位置を狙った。
 
だからまるで、自分が頑張っていることを馬鹿にされた気持ちだった。
 
ダンスは好きだし一番頑張っている。でもプロになれるほどうまくない。
何か仕事につながる「好きなこと」をもっと極めなければならない。私は迷走した。
 
友達がアロマセラピストの資格をとり、自宅でトリートメントをするようになると、「それなんかおしゃれだしおもしろそう!」私もまずはアロマ検定を受けてみよう。テキストや、香りテスト用の精油を買って勉強し、1級をとった。
うん、満足! 好きな香りの精油を集めて、アロマオイルやアロマスプレーを作って楽しんだ。趣味が増えた。
 
そうだ、私ビールが大好きだった。クラフトビールを極めよう。
ビール検定というものがあることを知った。1級は合格率がかなり低いので2級をとった。
ビールの製法を覚えるために、ビール工場見学に行った。できたてのビールは泣けるほど美味しかった。ビールのスタイルを覚えるために、クラフトビールをたくさん扱っている酒屋に通って何本も買い飲んだ。都内のクラフトビール屋も巡った。海外旅行に行くと現地のビールはあるだけ飲んだ。ビール日記用のアプリに飲んだビールは750種類以上記録したが、どうやらすぐ酔いがまわるらしい。レビューは一言。「おいしい」
 
そうだ、旅行サイトを運営する会社を立ち上げた友達がいた。私も旅好きだし、旅の方をもっと掘り下げよう。
大学生の頃からバックパッカーをしているし、現地のおもしろ情報とか旅のテクニックを集めてみたら。とりあえず毎年どこか海外旅行へ行った。うん、楽しいな! 次もまたどこかに行けるようにしっかり働いて稼ごう。
 
そうだ、家に着物があるし、着付けを覚えよう。歳とっても仕事できそうだし。
着付け教室に通った。自分で着物を着れるようになって着物友達とおでかけを楽しんだ。でもなんか色んなルールが厳しいのは性に合わないな。それより、リサイクルで可愛くて安い着物を買って、洋装ミックスで楽しむ方が好き。おでかけ着のバリエーションが増えた。
 
そして気づいた。私何にも仕事につながることを見つけられていない。趣味がどんどん増えていくばかり。
だけど周りの友達は私に言った。
「本当に好きなことに全力だよね。人生楽しんでるよね」
 
私は仕事に向き合おうとせず、自分の好きなことばかりあれもこれも楽しんでいた。
だけど結局、それが私にとって一番幸せな人生なんじゃないか?
就活していた頃を思い出した。好きなことがたくさんある。だから、好きなことを仕事にするんじゃなくて、好きなこと全部できるように働きたい。
別に時代の流行りのキャッチフレーズに乗っかって生きる必要はない。それとズレていても自分が楽しい人生であればいいじゃないか。ひと昔前に勝ち組とされていた安定企業のサラリーマンとか、それを夫に持った専業主婦とか、今の時代で勝ち組かと問われたらそうではないじゃないか。
それも言い訳なのかもしれないし、今も迷走中だからこうやってライティングゼミを受講しているのだけど。
まあでもひとつ言えること。私は、「好きなことと、生きている」
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2022-05-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事