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38歳主婦が9歳に弟子入り志願した理由とは?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:J子(ライティング・ライブ福岡会場)
 
 
「みほちゃんとあすかちゃんと私の3人で春の演奏会するのどうかな?」
 
みずきちゃんからの提案だった。
みずきちゃんは幼稚園のママ友で、バイオリニストだ。
みほちゃんも幼稚園のママ友で、ピアノがとっても上手なお母さん。
 
我が家に3人で集まった日の出来事。
みほちゃんが高校時代に「旅立ちの日に」という曲を卒業式でピアノ伴奏をしたことを
話してくれた。
 
「素敵だな。みほちゃん、よかったらバイオリンと一緒にピアノ弾いてみる?」
バイオリンをちょうど持ってきていたみずきちゃんはみほちゃんを誘った。
 
ちょうどピアノが我が家にあり、
みずきちゃんのバイオリンとみほちゃんのピアノのセッションが始まった。
 
私はというと音楽は何もできない。
ピアノは小学校の頃、習ってはいたものの、ピアノの楽譜をわざと家に忘れて先生に
怒られるくらいやる気がなかった。
人前で演奏するなんて恥ずかしくてできないレベルだ。
 
観客として、2人のセッションを聞かせてもらった。
とても素晴らしいものだった。
 
みずきちゃんは、興奮した様子で、
「やっぱりピアノがあるといいね。ねえねえぇ、コロナ渦だからこそ、子供立ち向けに音楽会するのいいかも。ちょうど今は3月で卒業式のシーズンだし、春の演奏会してみたらどうかな?」
 
「とっても素敵な案!私、人前で弾くの恥ずかしいけど、やってみようかな」
みほちゃんは、少し戸惑いながらもトライしてみようとOKした。
私はというと、吞気に観客として参加しようと思っていた。
 
すると、みずきちゃんから意外な提案が。
「私がバイオリン弾いて、あすかちゃんがダンスしたらどうかな?
あすかちゃんの明るさでダンスを子供たちやお母さんとやったらきっと盛り上がるよ!」
 
ダ、ダンス!?
ダンスはほぼド素人なんですけど。
 
子ども大好きだし、体を動かすのは好きだが、ダンスを習っていたわけではない。
話はどんどん進み、みずきちゃんはバイオリンで何曲か弾き、
「旅立ちの日に」という曲は、みずきちゃんとみほちゃんがコラボすることになった。
 
私は子供達やお母さん達と一緒に楽しめるダンスと司会を担当することになった。
 
どうしよう。
頭をフル回転しても、振り付けはでてこなかった。
時間はどんどん過ぎていき、本番まで残すところあと2週間となる。
 
我が家で悶々としてたとき、突然救世主が現れた。
「ピンポーン」
インターホンをとると、近所のももちゃんだった。
 
ももちゃんは小学3年生、よく娘と遊んでくれているいい子だ。
「ねえねえ、あすかちゃん、今度ね、卒業する6年生のためにダンスおどるんだ!
見ててね!」
と突然スマイルという曲に合わせてダンスを踊ってくれた。
か、かわいい振り。
いつの間にか、私も娘も笑顔になっていた。
ダンスも簡単そうだし、この曲なら春の音楽会でも使えるかもしれない!
 
「ももちゃん、ぜひそのダンスを私に教えて下さい!」
 
ももちゃんは、
「あすかちゃん、いいよ~」と言ってくれた。
38歳の私は9歳のももちゃんに弟子入りすることになった。
「まずは肩をポンポンとしてね」
早速練習が始まったが、私の体は中々言うことを聞かない。
6歳の娘はなんなく振りを覚えている。
 
娘には負けてる自分が情けなくて泣ける。
 
動画をとらせてもらい、その日から猛特訓が始まった。
何度も何度も動画をみながら、体に振りをしみこませた。
 
司会の内容は、みずきちゃんとみほちゃんと何度も集まって考えた。
 
一度娘の幼稚園の子供たちと子供たちがどんな反応するかやってみた。
 
ダンスの振りの説明では、
「う~んちょ! と足をだしてね」と伝えると、
「う~んこね!笑」とダンスよりうんこで盛り上がり、全然ダンスをやってくれない。
 
「う~んちょ」の掛け声は却下することにした。
 
試しにリハーサルやってみてよかった。
まさかうんことつながるとは。
 
いよいよ本番当日。
 
お客様は5組。ほとんどが赤ちゃん連れのお母さん達だった。
 
みずきちゃんの言葉からいよいよ演奏会がスタートした。
「本日はお越しくださりありがとうございます。演奏中は小さいお子さんが泣いたり、走り回ったりしても大丈夫です。わいわいしながら、いっしょに音楽をつくっていきたいと思います。
私の名前はみずきです。今日はこの三人で得意なこと、好きなことやってみたいことに挑戦してみようと思います。みんなで色んな音を出しながら、動きながら音楽を創っていきたいです。メンバー紹介します!」
 
来た、私の出番だ。
「こんにちは! あすかといいます! 私はダンスが好きなので、みんなで体を動かして
音楽たのしみましょう!」
 
みほちゃんが続く。
「こんにちは! みほです。私も今日はピアノをひきながらみんなと音楽を楽しんでいけ
たらなと思います」
 
いよいよダンスの順番だ。
 
「今からスマイルという曲を踊ろうと思います!どんな時も笑顔で入れられたいいなと
思い選びました。お母さん達、日頃中々動く機会少ないですよね。この機会に体を動かして、肩こり解消しましょう!では立ってみましょうか?」
 
お母さんは、ちょっと恥ずかしそうにしながらも、みんな立ってくれた。
 
私はあえて
「お! いい笑顔ですね!」 「かわいい!」
とお母さん1人1人に声をかけながらダンスを一緒に踊った。
 
お母さんって、あんまり誰かに褒めてもらう機会が少ない。
特にかわいいなんて中々言われないからだ。
踊りながら少しでもすっきりとした気持ちになってもらえたらと、
とにかくほめることを意識した。
 
「みなさん、振りも笑顔もばっちり!素敵でした!ありがとうございました!」
 
ダンスのパートが終わり、最後は「旅立ちの日に」をみんなで合唱して、
演奏会の幕が下りた。
 
演奏会終了後、1歳の息子ちゃんと参加してくれたお母さんから感想を頂いた。
 
「いい意味でネジが外れるという言葉を体感できたなぁと帰りにしみじみ感じてました。
ぜひぜひ生演奏とダンス第2回も楽しみにしています。
あのイベント場があれだけ温かくて盛り上がったのはあすかさんのお人柄だと思っています。久々に、気を遣わずフゥフゥーッ!と運動できて体が喜んでました」
 
私は頂いた感想を胸に、駄菓子屋で500円分のお菓子を買い込み、ももちゃん家のインターホンを押した。
「ももちゃん、ダンス喜んでもらえたよ!教えてくれて本当にありがとう!神様もも様!」
 
ももちゃんのはにかんだ笑顔が忘れられない。
 
 
 
 
***
 
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2022-05-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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