シン・ウルトラマンからの伝言
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記事:kenken(ライティング・ゼミ4月コース)
映画のワンシーンが終わった。
思わず手に汗握る迫力だった。
はあ、はあ、はあ。
そんな中、近くに座っているご年配の方の呼吸音が聞こえてくる。
え?
思わずドン引きしてしまう私。
呼吸音、大きすぎやしないか?
周りに聞こえるくらい息を吸って吐いて。
そこまで激しく動悸されると、こっちは気が散るんだが。
いや、この人だけでない。
気がついたら、会場全体に呼吸音が響いていた。
もしかしたら、私もさっきまで同じように興奮していたのかもしれない。
周りの人と同じように、このご年配の方と同じように。
ウルトラマンが怪獣と戦っている。
それだけで会場に緊迫感が生まれる。
かんばれウルトラマン!
と心の中で叫びたくなる。
ウルトラマンを観たことがない私ですらそう思うのだ。
子供の頃にウルトラマンをリアルタイムで観てきた世代だったらなおさらだ。
シン・ウルトラマンを観に行ってよかった。
私は心の底からそう思った。
ウルトラマンの伝言?
書店に並んでいた本を手に取った。
シン・ウルトラマンが放映されると知って。
そういえば私、ウルトラマンを一度も観たことがなかったな。
そもそもどんなウルトラマンにシリーズがあるのかも私は知らない。
そんな時に、「ウルトラマンの伝言」という本が目に入った。
ウルトラマンって私たち日本人に何を伝えたかったんだろうか?
どんな想いでウルトラマンが生み出されたのだろうか?
気になってこの本を手に取って読んで、ウルトラマンのシリーズが好きになって、しまいにはシン・ウルトラマン見てみたい! と思うようになって、気がついたら映画館に足を運んでいた。
大勢の観客。
若い人、子供連れの人、ご年配の人。
きっとここまで観客が多いのは「庵野秀明が関わったから」という考えもあるのだが、実際に私もその一人なのだが、その評価を差し引いても、ウルトラマンが老若男女に知られていて、親しまれている証拠なのだろう。
なんとなくご年配の方が多い気がする。
子供の頃にウルトラマンを観て育ってきた世代だ。
しかし、そのことを差し引いても、若い人が多いのは意外だった。
やっぱり、みんなに愛されているんだな、ウルトラマン。
幕間の時間。
ひそひそと話し声が聞こえる。
ゆっくりと会場が暗くなる。
話し声が消えていき、会場に期待の空気が漂う。
シン・ウルトラマン開幕。
出だしからもうウルトラマンだった。
いや、私はウルトラマンを観たことがないからわからないけれども、ウルトラマンがわからない私でも「これウルトラマンだ」 と思ってしまうくらい、ウルトラマンだった。
何を言っているのが自分でもわからないけれども、これが偽らざる感想だ。
字幕、音楽、効果音、カメラアングル、演出の全てにおいてウルトラマンの匂いがする。
私が知らないだけで、多分、元ネタが絶対あるのだろう。
きっと元ネタを知っている人が見るとたまらない演出なんだろうな。
怪獣が街を破壊するシーン。
山やダム、発電所、工場が破壊されるシーン。
さすが庵野秀明。
特撮なのに特撮じゃない。
とにかくスタッフのこだわりがハンパなくて、街が、山が、発電所が破壊されるシーンなんか、リアルすぎて特撮であることを忘れてしまう。
特撮なのに特撮に見えないのだ。
庵野秀明恐るべし。
映画を観る前から疑問に思っていた。
なぜウルトラマンは人間を守ろうとするのか?
ウルトラマンといえども万能の存在ではない。
怪獣たちと異星人たち戦って、もしかしたらウルトラマン自身が死ぬかもしれない。
自分の身がボロボロになったとしても、自分の命をかけてでも、なぜウルトラマンは自分とは関係ない人間のために戦ってくれるのか?
映画の最後。
怒涛のラストバトルの興奮が冷めない。
ラストバトルが終わったにも関わらず、心臓がバクバクする。
そんな中、ぼんやりと頭の中に浮かんでくる。
なぜ、ウルトラマンは自分とは関係ない人間を助けるのか?
その答えが。
そんなタイミングで流れる米津玄師の「M八七」
ウルトラマンを観て育ってきた世代、ウルトラマンを観ずに育ってきた世代、誰一人としてエンドロールの時に立ち上がらない。
みんな聞き入っていた。
「M八七」
映画を観る前からYouTubeであらかじめ聞いていて、とてもいい曲だと思っていたけれど、映画を観た後に聴くと、ウルトラマンからのメッセージに聞こえてくる。
歌詞の一つ一つが日本男児に突き刺さる。
子供の頃、ウルトラマンに憧れてきた人たち。
仕事に追われて、育児に追われて疲れ果てた人たち。
誰かを助けようとして自分が傷ついて倒れそうになった人たち。
シン・ウルトラマンを観にきた子供たち。
映画を観終わった後、もしかしたら届いているかもしれない。
M78星雲から届く伝言が。
その伝言は、あなたが傷つき倒れそうになった時、心が折れそうになった時、きっと支えてくれると思う。
***
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