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結婚できないドラクエ5が示した未来?


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記事:村人F(ライティング・ゼミNEO)
 
 
人生で1番繰り返したゲーム。
それは間違いなくスーファミ版の『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』だ。
おそらく10回以上はやり直した気がする。
それだけに作品に対する思いも深い。
 
このドラクエ5の特徴は、なんといっても結婚できることにある。
ビアンカかフローラのどちらを生涯のパートナーとするかは、既プレイ者にとって常に大激論の元になるだろう。
 
といっても私は、このゲームで1度も結婚したことはない。
その場面まで到達したことがないからだ。
 
昔の話だけれど、スーファミまでのゲームはセーブデータがよく消えた。
ソフトにちょっと足をぶつけた程度の衝撃でこれまでのプレイが吹っ飛ぶことが日常茶飯事だったのだ。
その上、私は物の扱い方がとても雑な子どもだった。
だから頻繁に最初からやり直すハメになっていたのだ。
 
この有り様なので結局、スーファミ版ではフローラに会うことすら叶わなかった。
つまり私は人生で最も繰り返したドラクエ5にて、醍醐味である結婚ができなかったのである。
 
もちろん今はデータの消えないスマホでリメイクされているから、そちらで全クリはした。
だから昔のゲームの苦労話として済ませていい話題でもある。
 
ただ現状を考えると、そう言い切ってよいか疑問に思ってしまう。
私が未だに結婚していないからだ。
それどころか彼女もできたこともない。
そう、あのときのドラクエ5と同じ状況が私の人生に降り掛かっているのだ。
 
だから、ふと思ってしまう時がある。
アレは将来の自分を予言していたのではないかと。
 
友達の家に遊びにいったとき、レベル99まで育てられたデータを消してしまうほど雑な男だ。
そんな奴が結婚してもうまくいくわけがない。
だから早いうちにその現実を教えてあげよう。
こう、ドラクエ5がお告げをしたように思えるのだ。
 
そして、この呪いが今も冒険の書が消えた時に流れる音楽と共にこびりついている。
それが未だに独り身である原因ではないかと思ったこともあった。
 
しかし、本当は気づいている。
こんなこと言い訳にすぎないと。
 
なぜなら、これは人生だからだ。
スーファミと違ってセーブデータは消えないし、消せない。
だから自分のこれまでの行いがそのまま現状に降り掛かっているのだ。
単にビアンカやフローラに出会おうとしなかったことが尾を引いているだけである。
全ては因果応報。
現実世界だからこその無情だ。
 
そうやって結婚を諦めようとしていた。
「独り身も楽だから一生このままでいいじゃん」と言い聞かせたときもあった。
ただ、この生活にNOと言い放ったのもまたドラクエ5だった。
 
なぜなら本作は、立ち向かった男の話だからである。
主人公は子どもだったころ、目の前で父親を殺された。
しかもその仇の元で10年もドレイ生活を強いられた。
普通だったら人生ごと諦めてしまう場面だろう。
しかし、彼は抗ったのだ。
父の遺言である「母親を探せ」という言葉を胸に過酷な生活を耐えきったのだ。
それがあったからこそ、結婚を勝ち取ったのである。
 
ならば、まだ1度も戦っていない私が結婚できなくていいと抜かすのは負け犬の遠吠え以外の何物でもない。
そう本作のストーリーが奮い立たせてくれたのだ。
 
そして現実もその後押しをしているように思える。
ずっと見ているFacebookでは『ブックラブ』なる婚活イベントの広告が毎日のように出ていた。
なんでも天狼院書店という本屋が企画しているらしいが、店長が「俺はこのイベントで絶対カップルを生み出したいんだ」と常軌を逸した熱量で語りまくっているのが印象的だった。
そのせいか敬遠していたマッチングアプリとは毛色の違う圧力を感じ興味を持っていた。
ひょっとして今になってこのイベントが現れるのは、戦う時が来たことを世界が教えているのではないかと思えてしまう。
 
ならば私も、抗うべきだろう。
この独り身の現状と。
もちろん今も楽しい。
でも、一緒に時を過ごす人がいる生活も楽しいはずなのだ。
その選択を自分には縁がないと決めつけて見ないようにするのは、ドラクエ5をプレイした人が行ってはいけない逃げだと思う。
だからこそ、本気で戦うべきなのだ。
 
そして、その先にビアンカでもフローラでもない人との出会いが待っている。
そうやってみんな結婚してきたのだ。
 
これまでずっと独り身の生活でこじらせてきた。
女性と会話できる気が全くしない。
経験値があまりにも少なすぎる状態だ。
 
でもドラクエだって、最初はみんなレベル1である。
だから今から始めても遅くはない。
それに戦った分だけ成長することもゲームは教えてくれたじゃないか。
ならば私も挑まなければいけない。
あの結婚できなかったドラクエ5が予言した未来に。
 
もう例の『ブックラブ』には申し込んだ。
そこには何が待っているのだろう。
この不安もまた冒険である。
そして、その楽しさもドラクエが教えてくれている。
だから思い切って挑もう。
ゲームではない現実ならではの出会いに。
 
 
 
 
***
 
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