メディアグランプリ

スマホという四次元ポケットは私たちの味方なのか?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:冨井 聖子(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
初めて買ってもらった携帯電話は、ソニーの水色のもので、まだ2つ折りのものだった。
 
今でも鮮明に覚えている。
それを持っただけで、気持ちは舞い上がった。これ1つで、すべてのことができる気がして、最強の気分だった。ブラックコーヒーを初めて飲んだときみたいなのだ。大人になったような気がしたんだ。
でも、高校に入ってみれば、意外と持っていない子も多かった。携帯所持率8割の世代。私が好きだった男の子は、携帯を持っていなかったので、必ず実家に電話だったが……。
 
大学生になってから、もうiPhoneが登場。
社会人になってからスマートフォンに取り替えた。(以下、スマホと表記しよう)
起業してからSNSを使って、自分の活動を人に伝えていくようになったら、どんどん手放せないものになった。
 
今回コロナに罹患したけれども、それについてもスマホありきだった。連絡はショートメール。注意事項はリンクを押して、ウェブをつないでご覧ください、だった。基本的に【持っているのが当たり前】と言うスタンスで、社会全体が流れているように思えた。
 
スマホ1つで、今や何でもできる時代である。
 
人との連絡。
写真も動画も撮影できる。
知らないことを調べたり、ものを買ったり売ったり。
イベントの申し込みに、振り込みもできる。
音楽も聴けるし読書もできる。
お勉強のアプリを入れれば勉強もできるし、ダイエットだって叶う。
健康管理までしてくれる。
お料理のレシピも取り放題。
彼氏や彼女を見つけるのも、スマホありきである。
 
でも、ふと思う。
 
果たして、この【スマホ】というものは、私たちにとって便利になるための4次元ポケット的ツールなのか?
はたまた、私たちをダメにするツールなのか?
 
「ママ!今日の天気、なにー?」
我が家の子どもたちは、私に聞いた後に、
「タブレットで調べればいいや」と言ってタブレットを持ち出す。でも、外に出て感じることはない。
空気を手でしっかり掴み、風や草木の匂いをかぎ、そこに漂う水の粒を感じない。しっとりした爽やかさなのか、じめっとした重たさなのか。
肌で、匂いで、耳で、五感をフルに使ってから、天気を予想するということをしようとしない。
 
雨には、雨の匂いがある。
雨が降る前の独特な空気の中は、実はキラキラとした小さな泡が舞い踊る。楽しそうに、たくさん集まってきて、それが少しずつ大きくなっていく。そして、その濃度が濃くなって、匂いでも感じられるようになる。
空気に手を触れるだけで、ほんの少しだけしっとりとした膜がつく。それが雨の前兆。雨の香り。
 
「明日は晴れるかなぁ」と気になったら、空を見上げたらわかるし、雲を見たらわかる。雲の流れで天気も読める。
 
果たして、それが正解なのか?
そこに命題を立ててしまったら、GoogleやYahoo!に勝ちを譲ることになる。調べた天気の方が正確だろう。
でも、正確さよりも、もっと大切なものが、実は転がってて、そっちの方が私にはどうしても宝物に見えてしまうのだ。
すぐに検索できる時代だからこそ、白か黒か、というどちらか一方が正しいという価値観で見がちだけれども。
実は、人生も何においても、グラデーションだと思わずにはいられない。
 
質問を1つ。今日は雨の日か、否か?
 
雨が降っていれば雨の日だし、降ってなかったら雨の日ではないのか?
でも、肌にまとわりつくようなきれいな雨の日だってあるし、天女が羽衣を纏うかのごとく、柔らかく包まれる霧のような日もある。
あれは雨の日なんだろうか?
傘の出番のない雨の日は、雨の日と呼ぶのだろうか?
そんなふうに【雨】という言葉1つでさえ、たくさんの種類があって、バリエーションがある。極彩色だけじゃない。まるで、バイキングのようである。決して、オンオフ2パターンではないのだ。
自然は、正しいとか正しくないとか、良いとか悪いとか、そんな二極化ではなくて、グラデーションも全て含めて、1つのものを多様性として受け止められて生きている。
 
スマホが私たちにもたらしたものは、素早い解決策だったり、素早い回答だったり、正しい答えだったりする。とても便利な機能である。
けれども、実は対極にある、不便さだったり曖昧な答えだったり、そこに匂い立つグラデーションのなかに、私は美しさを見出してしまう。
 
きっと、これにはたくさんの解釈があるのだろう。
 
あなたにとってスマホは、魔法のツールなのか?
それともグラデーションを見落としてしまう色眼鏡なのか?
 
そんなことを考えながら、もう冷めてしまった珈琲を飲み干した。

 
 
 
 
***
 
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2022-07-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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