1年休学するはずが、4年休学になりました。
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:田中 惣規(ライティング・ゼミ4月コース)
「休学4年!? 生きた化石やん!」
休学1年目が始まる頃の私は、3年後、まさか自分がそう呼ばれる日が来るなんて、微塵も思っていなかった。
休学1年でも大きな決断。という人もいる中、まして休学4年なんて、聞いたことがない。
「むしろそんなに休学して何するの?」
そう思う人も少なくないだろう。そんな人がいたら、間違いなく私もそう質問する。
今回はそれが自分なんだが。
休学4年目となった今、「生きた化石」だからこそ思うことがあるのでいくつかまとめてみた。
「休学したら、一旦やりたいことを全部忘れて大自然の中で焚き火をする」
「大自然の中で焚き火?」
「休学に関係あるの?」
そう思った人もいるだろうが、私が休学して1年目、まず一番にやればよかったと後悔していること。それが「大自然の中で焚き火」だ。
休学3年目の9月、沖縄北部の海沿いで、深夜、友人9人と焚き火をした。
キャンプ場などの焚き火設備がある場所ではなく、本物の自然の中での焚き火。そんな野生的な焚き火は、私自身初めてだった。
暗闇の中、携帯の光で小石を並べ、小枝を拾い、燃えそうな木を集めて火をつける。
「本当にうまくできるのだろうか」
そんな不安は、火がつくと同時に忘れ、目の前でめらめらと燃える火に釘付けになった。
火を囲み、各々の過去、現在、未来について語る。今やりたいこと、これからやりたいこと、それを志したきっかけ。
普段なかなか照れくさくて話せない真面目な話も、火を囲むとなぜか話せた。
そう、「仲間と本気で自分の考えを語り合う」この経験が、とにかく休学して一番に大事だった。
その時の注意点は、恥ずかしい思いは全て忘れること。そして、自分が誰よりも先に先手を切って話し出すことだ。
休学期間中、それまでも、色んな人に会った。すごいと言われる人たちに会い、話を聞いた。本を読んだ。
だがそれ以上に、この時の焚き火は鮮烈に私の人生を変えたと、今となって分かる。
その日、私は休学期間、もしかするともっと先までの、自分自身の道を進む覚悟が決まり、その半年後の今、この時語った仲間と法人を設立し、今もその時の思いを胸に走り続けている。
「休学は諸刃の剣。何かカタチにするまで絶対に帰らない」
「諸刃の剣」
また大層なことを言い出した。と、思う人もいるかもしれないが、本当にそうなのだ。
やりたいことのためにする休学は、基本的には楽しいものだと思う。半年から1年、様々な挑戦、経験ができる。
ただ、休学の怖さは、「休学が終わった後」にある。
休学経験は、自分自身の経験談として多く語られる。言わば武勇伝だ。
自分から話さずとも、「休学期間はどうだったか」「何をしたのか」としきりに周りは聞いてくる。
「好きな人からもこれくらい興味を持ってもらえればなぁ……」と、そう思うほどに「休学」はパワーワードなのだ。
そして、周りから聞かれた際に、「自信を持って休学エピソードを話せるかどうか」が本当に大きく違うと、私は思っている。
休学をすると、必ず一度は聞くのが、
「休学期間中に世界一周したぜ」
「学生起業家になったぜ」
「こんな激アツなイベントを主催したぜ」
というバケモノ武勇伝だ。
休学をして何をしたか聞いてくる人も、基本的にはそういう、「普段の学校生活ではなかなか聞かない面白い話」が聞きたいのだ。
もし自分がなーなーと休学期間を過ごしてしまったとしたらどうだろう。休学期間中は楽しいかもしれない。だが、その後学校に戻ると、周りの期待とは裏腹に全然話せる話がなく、それを聞いた周りの反応はというと……。
ここまでいくと、もう想像ができるだろう。
休学という勇気ある一歩が、逆に自分の自信を失わせる黒歴史になり兼ねないのだ。
休学エピソードは人生において何度も話す機会がある。だからこそ、自信を持って話すことができれば、それは話すたびに大きな自信に変わる。そうでなければ、そのたびに自信を失ってしまうのだ。
この時、勘違いしてはいけないのが、自信を持つ上で一番大事な基準は「自分にとって、どうだったか」だ。
たとえ一見なにもしていないように見えても、「自分にとって本当に大事な休学期間だった」と言えればそれで良い。
何かの準備期間、心の整理期間など、目立つ休学期間じゃないとしても、それらの期間はその後の人生にとって、とても大切な期間と言える。
人に聞かれても、「自分の人生にこの休学期間がとても重要だった」と言えるなら、それは自信を持って伝えられる立派な武勇伝だと、私は思っている。
「休学期間は本当に人生を変える」
休学は、勇気ある一歩。自信に変わる一歩。
そして、自分と向き合う、本当にかけがえのない期間。
だからこそ、本気で自分と向き合い、休学期間中の覚悟を決める。
そして、決めたことをとことんやりきる。
私はそれを、休学3年目にして、大自然の中での焚き火で体感した。
「生きた化石」と呼ばれるようになった私は、おそらく今後、「休学期間の4年間、いったい何をしたのか」という問いと、一生向き合うことになる。
ただ、今回の休学期間、そしてその問いは、問われた数だけ自信を得られる私の財産である。
休学がもたらした影響は、その期間の枠を越え、私の人生に大きな自信を与えていく。
そんな財産を胸に、私は今日も走り続けるのだ。
おわりに
もしこれを最後まで読んでくれた人の中で、これから休学をする人、現在休学している人がいるならば、その大切な期間が、その後も自分自身のかけがえのない財産となることを、陰ながら願っている。
***
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