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私のお尻に黒アゲハチョウが再び乗る日はやって来るのか


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田盛稚佳子(ライティング実践教室)
 
 
お付き合いした人から、下着について細かく指定をされたことがある方は、世の中にどれくらいいるのだろう。
私は少なくとも、これまでに2回その経験がある。
一人は、「デートの時はどうしてもTバックがいい」と2回目のデートで言い放った。
もう一人は、「白とベージュの下着だけは着けないでほしい」と初日から懇願された。
ええ、それはもうしつこいくらいに……。
そして、心の中で毒づいた。
 
「脱いでしまえば、一緒でしょうに」
 
ノドどころか、うっかり舌の先まで出てきそうになっていたセリフを言わなかった自分を、ムツゴロウさんばりに「よーしよしよし!」と撫でくり回して、褒めてやりたい。
言いたかった。本当は言ってやりたかった。
あなたのその白いブリーフはどうなんですか。私はトランクスかボクサーパンツのほうがいいんですけど……。
しかしそれを言ってしまえば、男性のプライドを崩し、さらにはお付き合いそのものが消滅してしまうと思ったからである。
 
下着のことで私なりに少々意見があるので、ここで述べさせていただきたい。
まずTバックについて。常にお召しになっている女性はともかく、普段なじみのない私にとって、当時はとんでもなく落ち着かない代物であった。
本来お尻をすっぽり覆うはずの布がないとこんなに寒いものなのか! と思ったからだ。
彼氏にお願いされて、初めて着用した時には、
「なに、このふんどしみたいな布切れは。博多山笠にでも出させる気かよ! これで普通のショーツより高いって、一体なに? ぼったくりだわ」
と一人憤慨したものである。尻も肝も冷えた。
薄いうえに、ひらひらとフリルがついた黒のTバックを見て思った。黒アゲハチョウみたいだな。
若いお尻に黒アゲハがひらひらしているのはいいかもしれないが、お尻と太ももの境目がなくなる年齢に近づくほど、着用することにかなりの抵抗がある。
やだなぁ、こんなのを見て殿方は何が楽しいのかしらと思うのだが、相手が普段よりもコーフンしてくれると、不思議と大人の時間が盛り上がる。ということは、黒アゲハも十分にお役目を果たしてくれているのである。うん、悪くない。
またTバックに慣れてくると、いいところも見えてきた。体に沿うぴったりとした洋服を着た時に下着の線が出ない=うしろ姿が美しく見える、ということがわかったのである。
 
また、白とベージュの下着問題については、言った本人は
「オバサンに見えるから、気持ちも萎えるし嫌だ!」と言っていた。
ただ、どちらの色でも総レース生地や刺繍が施された商品は見ているだけでも美しいし、着るほうも気分がよくなるせいか、肌がよりきれいに見える。
身に着ける側からすれば、色ではなくデザインが問題なのだと思う。
そんな年がら年中カラフルな下着を着けている女性が、はたして何処にいようか。
クローゼットが七色のショーツで輝いているような方を、私はまだ見たことがない。
 
男女間でもこの下着いいなという好みの違いはあると思うが、男性に「こういうの好みだな」と言われて、ガン無視する女性は少ないのではないかと密かに思っている。
というわけで、彼女もしくは奥様にセクシーな下着を身につけてほしいと思った男性諸君!!
一度だけでもいい。ぜひご自身の手でお相手のために用意していただきたい。
今はネットで何でも買える時代ではないか。
ほらほら、少し前であればセクシー系のDVDとか、大人の玩具的なものも、おそらく商品名を隠した状態でつつましやかにご自宅に届いたはずである。
あんな感じで、身に着けてほしいと思うモノをネットで検索してゲットしていただきたい。
そして、少々恥ずかし気に
「あのさ、今日はこういうの着けてほしいんだけど……」
とおずおずと差し出してみよう。また、差し出された側は
「なんでそんなもの持ってくるのよ! 一体どこで買ってきたのよ!!」
と怒らずに、そっと受け取って頬を赤らめてみてはどうだろうか。
「私、あんまりこういうの着けたことないんだけど……。〇〇さんが望むなら……」
と恥じらいながら、颯爽とバスルームに消えてしまおう。たとえ何度か着たことがあったとしてもだ。
 
さて、50代を目前にして私のお尻も重力には逆らえなくなってきた。黒アゲハチョウも今はクローゼットの奥のほうにしまい込んでいる。
お尻が気になるお年頃。テレビや雑誌で「美尻特集」があると、ついついガン見してしまう。
先日もあるワイドショー番組で「お尻トレーナー」と呼ばれる方が出演し、美尻エクササイズなるものをやっているのを目にして、つい食事も忘れて見入ってしまった。その講師が
「いいですか。お尻がキュッと上がると、足も長~くキレイに見えるんですよ!」
と力説しているのを見て、なるほど! と思った。
実際にビフォーアフターの違いは歴然で「別人じゃない!?」と思うほどだ。
たしかにこれだけキレイなお尻ならTバックは様になるし、白でもベージュでもオールOK!
タイトなレギンスパンツを着るとめちゃくちゃかっこいい。見惚れた。そして姿見で自分のモノと比べて思わず苦笑した。桃と干し柿、雲泥の差だった。
 
よし! こうなったら冬の間にお尻を鍛えてみるか。
Tバックをはく予定も、はいてくれと懇願される男性もいないけれど、いざ、いや万が一でもその時がやって来たら、あの黒アゲハチョウを手に
「私、あんまりこういうの着けたことないんだけど……」
とちょっと恥じらいながらバスルームに消えることを夢見て。目指せ、美尻!!
 
 
 
 
***
 
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2022-11-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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