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忘年会にあいつがいない。

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記事:スターボード (ライティング・ライブ名古屋会場)
 
 
忘年会シーズンである。クリスマス前の街はネオンで煌めき、どこを歩いていても鈴の音が聞こえてくる。せわしない時期ではあるが、この年末に向かう時期はワクワク感が増す一年の中でも一番好きな季節でもある。
 
思えば3年前の12月に初めて見つかったウィルスは、あっという間に世界を席巻してしまった。一例目の感染者の報告からわずか数ヶ月ほどでパンデミックと呼ばれる世界的流行になったのである。
 
そんな状況から早3年、今年の年末はようやく元の賑わいを取り戻しつつあるように感じる。街には人が繰り出し、お店も大勢の人で溢れている。以前は年末のあたり前の風景が、今は懐かしさを感じさせてくれる。
 
かくいう自分も、今年はいくつか忘年会に誘われている。去年までは「忘年会やろうよ!」 と口を開くこと自体が何となく憚られる空気感だったので、こうした日常が戻ってきたことが素直に嬉しい。
 
そんな忘年会復活の兆しが見える中、私にはひとつ大きな変化がある。それは忘年会の主役であるお酒をやめたのだ。そう、断酒である。
 
お酒をやめたのは、昨年の5月。今日で断酒生活577日目。つまりもう一年半以上、アルコールを一滴も口にしていない。
 
もともとお酒を飲まない人にしてみれば、一年半くらい酒を止めたくらいで何を偉そうにと言われてしまいそうだが、私はそれまで文字通り浴びるように酒を飲んでいた。
 
お酒を抜くのは健康診断の前日くらい。そう364日、毎日、酒を飲むような男である。
 
そんな酒好きの自分がきっぱりと酒をやめたのだ。節酒や禁酒ではない。酒を断つと書いて断酒である。一切のアルコールを今は口にしていない。
 
これに一番驚いたのは妻である。そりゃそうだ。健康のためにと妻と交わした約束は毎日缶ビール2缶まで。でも飲みだすとそんな約束はどこへやら、止まらないのである。
木枯らし吹きすさぶ真冬の晩だって、数歩歩けば汗が吹き出すような真夏の日にだって、酒がなくなれば小銭を握りしめてコンビニに向かうような男だったのだから。
 
ではなぜ断酒を決意したのか? それは時間が欲しかったから。「何?その理由」と思った方、どうか呆れないでほしい。酒飲みには時間がないのだ。
 
なぜなら、飲み出すと楽しくなってとことん飲んでしまうから。飲むか飲まないかというより、酔うか酔わないか。ほろ酔いで止めるってことが、うーん、、できない。気づけば2軒、3軒、終電なんてザラだった。
 
ただ、気づいてしまったのだ、アルコールは自分にとって一番の時間泥棒だということに。
 
断酒する前までの自分は、毎日の仕事終わりにビール飲むのが習慣になっていて、当然時間も持ってかれていた。お酒を飲みながら思索するのは楽しいけど、自分の場合、アルコールが入った頭での思考はいつだってボンヤリとしていて、飲んだ時の一瞬の閃きという名の妄想は大抵形にならなかったのだ。
 
では、断酒してどうだったかというと、これには想像以上のメリットがあった。余りにもプラス面が多いので、3つだけ皆さんにも断酒のメリットをお伝えしたいと思う。
 
最初のメリットは、時間が生まれることである。そもそもお酒をやめた動機がこれなのだが、お酒をやめてまるで時間が2倍になったように感じている。
 
酒飲みの諸氏なら共感してくれるだろうが、お酒を飲んでいると2時間、3時間などあっという間である。
 
一方、酒をやめた今はどうだ。酒を飲まなくなった分、その時間を仕事や読書や映画にあてることができるようになった。加えて時間の濃度が増した。お酒を入れない頭であれば、寝る直前まで考え、朝、目が冷めた瞬間からクリアに思考できるわけだ。思考が深くなることで時間の密度が増す。これは本当に大きな利点である。
 
そしてふたつ目のメリット。それは健康になったことだ。お酒を飲むことは、借金することに似ている。お酒は幸せな時間を一時的に連れてきてくれるが、羽目を外して飲みすぎると次の日に二日酔いというおまけがついてくるのだ。これは借金した時の利子みたいなもので、必ず自分が責任を持って返さなくてならない。
 
お酒をやめた今は当然、頭痛とともに目を覚ますことはない。何より睡眠の質が劇的に改善した。もし寝酒を習慣にしている人がいたら、ぜひ3日間だけお酒なしの生活をしてみてほしい。そうすれば睡眠の質がぐっと改善していることに気づくはずだ。アルコールは睡眠を壊す、だから断酒すれば睡眠の質が改善するのは自明である。
 
そして最後3つ目。実はこの効用が一番大きい。それは何かを言うと、自己肯定感が増すということだ。平たく言えば、自分に対する自信がつくのだ。
 
そんな酒をやめたくらいで大げさな! と思うかもしれない。だけどこれは私が実体験しているまぎれもない事実なのだ。
 
お酒は時として現実を忘れさせてくれる。飲んで勢いがつく、気持ちが大きくなる、自信がわく。でも、それって全て一過性のものなのだ。お酒には現実を変える力はない、現実からそっと目を逸らさせる効用しかないのだ。
 
以上が断酒のメリットだが、もちろんお酒を全否定するつもりはない。自分にとっては飲むより飲まないメリットの方が大きかったというだけの話である。何よりお酒はやめても宴席や宴会は今も大好きである。明日も忘年会。ノンアルで盛大に乾杯しよう!
 
 
 
 
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2022-12-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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