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メディアグランプリ

言葉ってなんて無力なんだろう。全然伝えられないじゃない。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:立石(ライティング・ライブ京都名古屋会場)
 
 
人を人たらしめているのは言葉、そして文字なのではないだろうか。
言葉と文字があるから、今ここにいない人、地球の裏側にいる人、そして遠い未来の人にまで、私たちは思いを伝えることができる。
 
誰かに伝えたいことができたとき、人はまず言葉を使う。インストゥルメンタルの音楽や、言葉が出てこない動画だってあるけれど、それらを評価するときに使うのはやっぱり言葉だ。
 
イルカやカラスといった動物やハチなどの虫たちも、超音波や鳴き声、羽音で言葉を紡ぎ情報を伝えあっているとされる。
だが、彼らが交わす情報はきっと、あくまで具体的なことだろう。
「あそこにエサがあるぞ」「集まれ!」「天敵がきた」「逃げろ!」などなど。
生きるために必要な情報を、今その場にいる個体どうしで共有することで、彼らは集団としての強さを得ているのだと思う。
 
対して人間は、言葉と文字を駆使して、具体的なことだけでなく抽象的な情報を伝え合い、場所や時代が遠く離れた人とも共有することができる。
桃太郎やシンデレラといったストーリーが日本中、世界中で語られが皆が知る物語になっていること。
クリスマスやお正月といった文化があり、季節がもたらす肌感覚とともに味わえること。
法律や聖書やコーランといった経典によって、人々に秩序や信仰がもたらされていること。
お金というものに価値があると誰もが信じ、貨幣と物・サービスの交換に応じ合って経済が成立していること。
どれも、言葉と文字がなければ成し得なかったことだろう。
距離や時間の隔たりを越えて、こうした設定を共有することができたからこそ、人間は地球上で一番の地位を手に入れることができたのではないだろうか。
 
そんな、私たちにとってかけがえのない「言葉」に、私は失望しかけている。
 
私は、とある地方都市のイベント会場で広報の仕事をしている。
イベント会場というのは、東京ビッグサイトや幕張メッセに代表されるような、一定の期間を区切って開催されるイベントに使用される、貸し会場である。
 
私の勤める会場でも、日々いろいろなイベントが開催されていて、私は広報としてそれらのイベントの宣伝を行っている。
イベントを行う主催者さんの一番の喜びは、多くのお客様が集まることで、主催者さんに喜んでもらうことが私の役割だからである。
 
先日は、なかなか他所では行えないすごいイベントが2つ開催された。
 
ひとつは現代音楽のコンサート。
一般的なコンサートの会場では、前方にステージがあり聴衆がみなステージの方向を向いているという形になるが、今回は一味違う。
中央に2m四方ほどの小さなステージがあり、そこに指揮者が立つ。その周りをバイオリンやビオラといった弦楽器の奏者が取り囲む。聴衆の席は彼らを囲むように設けられ、さらにその外側を木管楽器と打楽器の奏者が囲むのである。聴衆は、前から後ろから左右から飛び交う音に囲まれ、これまで味わったことのない響きに包まれる。
 
話は変わるが、あなたは映画館で、IMAXの上映をご覧になったことはあるだろうか?
きっとIMAXだと迫力が違うんだろうなということを知ったうえで、少し割高なチケットを購入し、自分の席についただろう。そして、作品の冒頭で流されるIMAXの紹介動画で、それを実際に体感して驚きはしなかっただろうか?
「迫力がある」ということは分かっていても、体験することで驚きを得たということは、この言葉がその実態を伝えきれていなかったということだ。
 
同じように、私はこのコンサートで音に囲まれる体験の迫力を、どうにか私は伝えたかったのだが、表現する言葉を見出すことができなかった。
 
このコンサートと同じ日に別の会場では、一人の画家が40年の歳月を費やして完成させた、約300mにも及ぶ長大な絵画作品の展覧会が開催された。
この作品は高さも3mに近く、鑑賞者は絵画を見上げながら歩いて鑑賞する形になる。
綿々と続く作品には日本の自然と四季が描かれているのだが、このボリュームに比して作品の緻密さがすさまじい。どこを切り取って見ても精密に書き込まれており、全体を眺めるとまるで自分がそこに描かれた山々に実際に立っているような不思議な感覚になっている。
ぜひ多くの方にこの感覚を味わってもらいたい作品なのだが、このすごさも言葉に尽くすことができない。
 
言葉というのはやはり人が作った記号に過ぎず、広い世界のすべての事象を表すことはできないのかもしれない。
そうして表しきれないからこそ、実際の体験に価値が生まれるのだろう。
行って体験しないと分からないことがあるからこそ、イベント会場にも意義がある。
 
そして、限界はあるのかもしれないが、少しでも力を持つべく、私はこのセミナーで言葉を磨いていきたい。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2022-12-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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