「仲良しの二人」をつなぐ誕生日プレゼント
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記事:あこ(スピード・ライティング)
私の誕生日には、毎年必ずプレゼントが届く。
高校時代の親友が、忘れずに贈ってくれるのだ。
毎年忘れずに届くプレゼントは嬉しいが、最近は嬉しさよりも寂しさを感じていた。
なぜかというと、毎回、美意識高い系の女性が見るウェブサイトに載っているような、オシャレなお菓子が届くからだ。
確かに、私は高校の時からチョコや甘いお菓子が大好きだった。
だからきっと、私の好きそうなものをと思ってお菓子を贈ってくれるのだと思う。
私が寂しいと感じるのは、彼女の中で私の情報が更新されていないことだ。
高校3年の時に同じクラスで、5人の仲良しグループの中の1人だった。
確か、高校3年の時よりも、大学に入ってからの方が仲が良かったように思う。毎日のように連絡を取り合い、月に何回も会い、お互いの家族のこと、恋愛のこと、友達のことを何でも共有していた。お互いの彼氏には必ず会っていたし、お互いの友達を交えて遊ぶことなど普通にあった。
彼女は紛れもなく、親友だったと思う。
「30までにどっちも結婚してなかったら、一緒に住もうね」なんて、ふざけて言い合っていた。
そして、30歳を目前にした秋、本当にルームシェアをすることになるのだ。
部屋の更新はしない。2年間の期限付きのルームシェアだった。
母親からは「アンタはわがままで絶対に迷惑をかけるから、ルームシェアなんて止めなさい」と大反対されたが、当時の私たちは聞く耳を持たず強行突破した。
しかし、母親の言葉は正しかった。
私はやっぱりわがままだったし、そんな自分のことは棚に上げて相手に不満もあった。
ケンカこそしなかったが、なんとなく一人でいたい時間もたくさんあって、思い描いていた「仲良しルームシェア」とはちょっと違うものだった。
その違和感のようなものは、彼女も感じていたと思う。
2年の満期を迎え、ルームシェアを解消した頃から疎遠になり、1年に2〜3回連絡を取る程度になってしまった。
そんな状態で数年が経った頃、彼女から突然誕生日プレゼントが贈られてきたのだ。
可愛いお菓子だった。
育児で忙しい中、プレゼントを選んで贈ってくれたことがとっても嬉しかった。
数年ぶりの誕生日プレゼントが、また「仲良しの二人」に戻れる気がして嬉しかった。
それ以来、誕生日にはプレゼントを贈り合っている。
今年も彼女からはオシャレなお菓子が届いた。
でもやっぱりちょっとだけ寂しかった。
昔はお互いのすべてを知っていたから、「会社にお弁当を作っていくんだ」と言えば、お弁当箱をプレゼントし、「新しい趣味を始めた」と言えば、趣味に合うようなものをプレゼントした。
そんな二人だったから、毎年届くお菓子が二人の距離を表すようで寂しかったのだ。
何年も鬱々とした気持ちを抱えていたが、先日、初めて新居に遊びに行った時、そんな気持ちは吹っ飛んでしまった。
私が大昔にプレゼントしたマグカップを、今も使っていてくれたのだ。恐らく10年以上前にプレゼントしたものだ。しかも、欠けたり割れたりしたようで、きんつぎをして使ってくれていたのだ。
「あこちゃんからのプレゼントだから、きんつぎしてずっと使ってるの」
私が買ったマグカップより、絶対きんつぎにかかる費用の方が高いだろうと思った。
なんなら、新しいマグカップを買う方が安く済んだはずだ。
お菓子のプレゼントで感じた寂しさなんて、一瞬で消え去ってしまった。
きっと私なら捨ててしまうであろう割れたマグカップを、私からのプレゼントだからと今も使い続けてくれる彼女を、ありがたいと思った。
昔に比べれば疎遠にはなってしまったけれど、彼女はずっと「仲良しな二人」でいてくれたのかもしれない。
彼女はフルタイムで仕事もして、家事もして、まだ3歳の子供を育てながら、毎年忘れずにプレゼントを選んで贈ってくれる。
毎年お菓子で寂しい、なんて贅沢だ。
疎遠になった距離を縮める機会をくれた彼女に、今年はマグカップをプレゼントしようかと思っている。
ほぼ毎日在宅勤務だという彼女が仕事中に使える、可愛いマグカップを探そう。
きっと今の彼女の生活は子供中心に回っているだろうから、何を買うにも子供優先になるだろうから、誕生日プレゼントは彼女のためのプレゼントを贈ろう。
彼女と話したこと、彼女の家、色んなものを思い出して、彼女が喜びそうなものを時間をかけて選ぼうと思う。
***
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